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【フロントライン】「フォルクスワーゲンID.4」VW帝国のエレクトリック戦略が加速!

IDシリーズの第二弾はクロスオーバーSUV

フォルクスワーゲン・グループは今後、2029年までに75機種のBEVを市場に送り出し、その時点での累計販売台数は2600万台に達すると予測している。また、VWブランド単独では、向こう5年間に150万台のBEVを販売するとも公言している。

クロスオーバーSUVとしてグローバル展開される予定のID.4。後方に向けてキックアップしたボディラインがエネルギッシュだ。

ID.3はその最初のモデルで、9月12日にドイツで最初のカスタマーの手に渡っているが、その直後、来年から発売予定のID.4を正式に発表した。このモデルはVWのBEV専用プラットフォーム上に構築されたクロスオーバーSUVで、BEVの世界戦略車として欧州だけでなく、中国や北米でも生産する計画を立てている。

テストコースにはオフロードも用意されていたが、後輪駆動とはいえ確かなトラクションと頼もしい走破性を発揮してみせた。

今回、この正式発表に先立ち量産プロトタイプのテストに参加する機会を得た。エクステリアデザインは、サイドパネルに抑揚があるスポーティで頼もしい印象。「オープン・スペース・アーキテクチャー」と名付けられたキャビンは文字通り広く開放的で、ラゲッジスペースは通常時で543L、最大で1575Lが確保される。

ドライバー正面には5.3インチのスクリーン、ダッシュボード中央には12インチ(標準は10インチ)のタッチパッドがマウントされる。

テスト車は当初発売される後輪駆動モデルで、最もパワフルな77kWhの電池と150kWのモーターを搭載、ダイナミック性能は0→100km/hが8.5秒、最高速度は160km/hとアナウンスされる。スタート直後から発生する310Nmの最大トルクは日常でのほとんどのシーンで十分以上の加速性能をもたらし、回生ブレーキもごく自然なフィール。もはやBEVは路上で完全な市民権を獲得したといえる。なお、搭載される493kgのリチウムイオンバッテリーは、24枚のパウチタイプのセルが入った12個のモジュールからなっており、最大航続距離は520kmという。

実用性も万全で、ラゲッジスペース容量は通常時で543L、6:4分割可倒式の後席をすべて倒せば1575Lまで拡大することができる。

懸念される充電時間とインフラだが、125kWのDC急速充電では30分もあれば320kmの航続距離を約束。AC充電は欧州全域で15万カ所の公共充電システムを使用することが可能で、さらに家庭用に388ユーロ(約5万円)でウォールボックスも提供、ガレージに一晩駐車しておけば翌朝には満充電で出社可能だ。

気になる電池の保証は8年間、16万kmだが、この時点でも電池は使用開始時の70%のキャパシティが残されているという。

ID.4のベースモデルの価格は3万7000ユーロ(約465万円)と予想されているが、最初にデリバリーされる限定モデル、エディション・ファーストの価格は4万9950ユーロ(約630万円)、エディション・ファースト・マックスは5万9950ユーロ(約755万円)と、やや高めなのが玉に瑕だが……。

リポート=キムラ・オフィス/Kimura Office ルボラン2020年11月号より転載
CARSMEET web編集部

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