フェラーリが提供するエレガントなオープンエアクルージングを、硬派な装いを持って力強く支えていたアドバン・レーシング。クルマ好きを唸らせる造形美が、飽くなき性能追求の姿勢が、ポルトフィーノが持つ世界観と、見事なまでに呼応していた。
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ポルトフィーノの世界観に調和するアドバンの魂
スポーツホイールの理想像を追い求め続けるアドバン・レーシングにとって、今や大黒柱となったのがGTシリーズだ。骨太の5本スポークと、それを立体的に成立させるディープリム&コンケーブスタイルが、世のクルマ好きを虜にして止まない。「for PORSCHE」と謳って専用モデルを取り揃えてきたポルシェ勢をはじめ、BMWのスポーツモデルやR35GT-Rなど、スポーツカーを愛でてその本来の走りを親しむような層に広く支持される。
そうした意味で今回は異例に思えた。お相手はフェラーリ、それもポルトフィーノに、GTプレミアムバージョンが装着されたのだ。もともとはR35GT-Rのサーキットアタック用20インチとして登場したもの。つまりは硬派一辺倒のスポーツホイールだ。時とともに19インチ、18インチへと拡大されて対象車種は拡がっていくが、初発となる20インチの中には、ひっそりとフェラーリ用が用意されていた。発売当時はフェラーリ458イタリアへの装着を見越したというフロント9.0J、リア11.0Jの20インチである。フロントは大径ブレーキシステムを無理なく包み込むためのスタンダードリム、リアは11.0Jもの太さを活かしてアドバン・レーシングの真骨頂と言えるエクストラ・ディープリムだ。前後の違いを見るだけで、造形にかけるこだわりを感じさせる。
それを458イタリアだけに留まらせず、ポルトフィーノにも持ち込んだというのが今回の事例である。ポルトフィーノはリトラクタブルハードトップを持つ2+2のオープンカーであり、硬派なスポーツカーとは一線を画す優美なグランツーリスモだ。アフターホイールをはじめ、そこに手を加えるとなったら、あれこれと飾り立てたい気持ちは理解できる。それでもあえて、硬派なレーシンググロスブラックをまとうGTプレミアムバージョンで支える。この意外性が似合っていて、見事にポルトフィーノと調和した。エレガントな世界観の中に、ひっそりと顔を覗かせる硬派な雰囲気は、まさにフェラーリらしさだ。
しかもアドバンキャップリングを装着することで、フェラーリ純正オーナメント(センターキャップ)を組み合わせている。だから足もとを見る限りは、まるでフェラーリが送り出したスペチアーレの風情のように思えてくる。しかし全体としてポルトフィーノらしさを損じていないのがいい。美しい光沢を放つ塗装品質に加えて、三次元加工機によって彫り文字加工されたブランドロゴなど、随所に高級感が漂うからだろう。
異次元の出力性能を持つGTRのタイムアタックマシンを満足させてきた銘柄なだけに、性能の面でも申し分ない。600ps以上の出力性能を前にしても抜群の剛性感を持ってドライバーに安心感を与えてくれる。アドバン・レーシングGTが思い描くスポーツカーの理想像は、フェラーリをも満足させることを知った。
GT Premium Version
◎サイズ/価格
Front:20inch×9.0J/119,350円(税込)
Rear:20inch×11.0J/128,150円(税込)
◎カラー:レーシンググロスブラック
◎対応車種:フェラーリ