Garage Life

自ら”箱スカ”を所有するクルマ好き社長と建てた、クルマを整備するための新築「ガレージがある家」。【ガレージライフ】

クルマ好きな施主と、クルマ好きな工務店がタッグを組んでこだわりのガレージハウス。完成したガレージには、いろいろなパーツが応用されていた。

「三和シヤッター」製の電動扉を開けると、そこには映画『ワイルド・スピード』を彷彿とさせるフルエアロを纏った「FD」「マツダ・RX-7」が現われた。

そう、今回のガレージのある家で紹介するのは、自分でクルマを整備するオーナー、Sさんのガレージハウス。仕事の疲れを癒し、ストレスを解消するためにサーキット走行やツーリングを楽しむための愛車を格納するガレージハウスは、社長自ら箱スカを所有するクルマ好きの「岩橋建築」の岩橋社長とこだわって建てた空間だった。

これまでは集合住宅で暮らし、屋外駐車場でクルマを整備していたが、いつかはガレージハウスを夢みていたときに、雑誌『Garagelife』で掲載されていたクルマ好きの岩橋社長の記事を発見したことが、大きなきっかけとなったという。

当初は地元の工務店にも相談に行ったが、ビルトインガレージはできないと断られ、すぐに岩橋社長の事務所に連絡して相談した。ところが家の話ではなく、クルマの話ばかりとなり「ここであれば楽しく、しかも念願のガレージハウスを依頼できる」と、話がスタートしたのは2021年4月のことだった。

【写真20枚】映画『ワイルド・スピード』を彷彿とさせる愛車たち 

土地もない状態であったが、勤務地からわずか15分の場所に約100坪の未公開の工場跡地の行き止まりの土地の話が岩橋社長から提案されたことで、これはこのタイミングしかない、とガレージハウスを建てる決断をしたという。

約100坪ある敷地に、クルマを整備するガレージは必須条件としてリクエスト。ほか、子どもが生まれたときに過ごしやすい庭があるとこと、医療関係に勤める夫婦にとって家に入ったらすぐに手を洗えるスペースがほしかったことなどを要望。

キッチンは奥様の希望で、使いやすくてフラットなものを依頼したという。その結果、玄関を入ると大きなサニタリースペースがあり、手を洗うことができるスペースが用意された。

またガレージはご主人の愛車が入る1台のスペースとし、奥様のクルマはカーポートで出し入れができるようにしたが、ガレージにアクセスできるように扉を設けたことで、雨に濡れることなく自宅と行き来できるようになったのは非常に便利だという。

ガレージには、将来2柱リフトを導入してクルマの整備ができるよう、屋根を高く設計しているが、現在は油圧式のクイックジャッキがあるので問題はない。また打ち合わせの中から、ミッションをベースとした水まわりや、ロータリーをモチーフにしたアイアンなどのデザインが取り入れられるなど、クルマ好き2人でこだわったアイテムが設置されている。

壁面にはあらかじめ穴が開けられ、排気ガスを排出するためのホースを導入できるように、と依頼している。床面は独自のナノ密着技術で、コンクリート床に密着する「染めQ」テクノロジーが発売している塗料をSさんが自ら施工している。

約21畳のリビングダイニングスペースには、畳スペースが用意された。これはS夫妻のリクエストによるもので3枚の畳のスペースの床を掘り下げて埋め込むことでフラットとしリビングを使いやすくしている。また人通りがほとんどないのでカーテンは設置せず、YKK製のスリットシャッターを設置することでプライバシーを確保。リモコンの操作により網戸のような機能もあるなど最新の技術を提案するなど岩橋社長により今までの経験が注ぎ込まれた。

ガレージハウスが引き渡しになって約1年半が経過。クルマを時間に関係なく整備できるほか、庭の植物を季節によって楽しむなど、これまでできなかったことができるようになったとご主人は語る。これでは生後7か月になる娘さんも家族に加わり、3人で楽しい毎日を過ごしている。

クルマの盗難を心配することもなくなったのも大きい、とご主人は語る。クルマ好きの岩橋社長と建てた家は、生活動線もよく考えらえていて過ごしやすそうだ。将来は娘と一緒にドライブに行きたいと語るご主人。非常に満足した家を手に入れたことが手に取るようにわかってのが、とても印象的だった。

◆Planning Data
 施 主:Sさん
 所在地:愛知県
 敷地面積:約100坪
 延床面積:約139.5平米
 ガレージ面積:35平米
 外装/内装仕上げ:ガルバニウム鋼板/クロス
 愛 車:2003年式 マツダ・RX-7 FD3S
     マツダ・タイプRバサースト
     2016年式 スバル・WRX S4
 設計・施工:岩橋建築 愛知県半田市板山町13丁目154番地
 Phone 0569-27-7492 https://www.iwahashi-home.co.jp

◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
 ロータリーエンジンを模したアイアンの柵と、ミッションを利用した手洗いは、クルマ好きには伝わるアイテムで気に入ってます。
・ちょっと失敗
 油圧ジャッキを使用するとき、もう少しレイアウトを考えておけばよかったかなと。
・これからの夢
 自分のガレージで自分のクルマのエンジンをオーバーホールしてみたいですね。
・読者へのアドバイス
 クルマもガレージも、興奮と安らぎを得ることができる空間です。楽しみにながら建ててほしいですね。

◆Comment from a Builder:岩橋建築 岩橋和雄さん
クルマが好きなオーナーさんからの依頼でクルマの話も盛り上がり、いろいろと提案をさせていただきました。その結果、ガレージにはオリジナルの手洗いなど気に入ってもらえるアイテムを導入できました。愛知県内でガレージハウスをお考えの方、施工ノウハウ多彩な岩橋建築にぜひお問い合わせください。

『ガレージがある家 Vol.50』掲載

photo / Keigo KIMURA(木村圭吾) text / Jun ISHIHARA(石原 淳)

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