魅惑の自動車カタログ

キラキラ眩しいアーバンスポーティ4WD!「二代目ハイラックスサーフ」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第39回

一時代を築いたクロカン四駆の代表選手

この連載では、これまでもマスターエースサーフやチェリーバネットなど、かつてRVと呼ばれていたジャンルのクルマたちのカタログをご紹介してきたが、今回はバブル期クロカン四駆ブームの代表車種のひとつである、二代目のハイラックスサーフを採り上げたい。

【画像21枚】パワフルなV6が加わっていよいよ充実したサーフを見る!

サーフは、ハイラックスの名が冠されることからも分かる通り、トヨタの小型ピックアップトラックであるハイラックスの派生車種として生まれた。四代目ハイラックスの4WDをベースに、荷台部分にFRP製のキャノピーを載せた2ドア・バンとして、1984年5月に発売されたのが、その初代モデルである。同様の成り立ちを持つ他車とは異なり、専用ボディを与えられていた訳ではなかったが、ワイドフェンダーなどによってスポーティに装っていた。

なお、この商品企画のルーツは、北米での架装業者によるトラックのレジャービークル化にあり、ハイラックスサーフは、そうした製品をトヨタが自社の製品ラインナップに取り込んだかたちでもあった。そのため、北米では先行して前年のうちに「4RUNNER」という車名で発売されている。

本題の二代目ハイラックスサーフは、ベースであるハイラックスのモデルチェンジからすこし遅れて、1989年5月に発売された。先代との最大の違いは、もはやキャノピーを載せたピックアップではなく、ワゴン・タイプのボディを持つようになったことであったが、さらに、2ドアだけでなく4ドアが設定されているのも大きな点である。これについては、北米の輸入関税が変更されて、2ドアであるメリットがなくなったためということも言われている。

機構的には基本的にハイラックスの四輪駆動モデルと同様のもので、フルフレーム式シャシーのフロントにエンジンを搭載する、FRベースのパートタイム4WDである。サスペンションは、フロントがトーションバーを併用したダブルウィッシュボーン、リアが4リンク式リジッド。また、二駆と四駆の切り替えを自動的に行うADDシステムが全車に標準装備されていた。

エンジンは3種類あり、まず2Lのガソリンとして用意されていたのが、直4 OHVの3Y-E(最高出力97ps)。ディーゼルは2.5Lの直4 OHCターボである2L-T(94ps)、2.8Lの直4 OHCである3L(91ps)があった。なお、この3Lは4ドアのみに設定されたバン専用のユニットである。トランスミッションは5速MTを基本に、ワゴンでは4速ATも組み合わされていた。

1990年8月には、パワフルなガソリンエンジンとして3LのV6 OHCである3VZ-E(150ps)を追加。1991年8月のマイナーチェンジではワイドボディを加え、1993年8月には3Lのディーゼルターボ車を新設するなどしたのち、1995年12月に三代目へとモデルチェンジされている。

ジェットスキーの航跡によって「V6」の文字を海面に描くという、爽快なイメージが、カタログ最初の見開きとなっている。

クルマによって広がる楽しさを最大限にアピールしたカタログ
さて、ここでご覧いただいているカタログは、この二代目サーフの中でも、比較的初期のものと言えるだろう。V6ガソリンエンジン追加直後のものであるが、表4には「9008」のコードがあるため、V6登場と同時の1990年8月に発行されたものだと思われる。サイズは297×245mm(縦×横)、ページ数は表紙を含めて全28ページ。

カタログを見てまず感じられるのは、タイトルに掲げたページなどがその最たるものだが、このクルマによってどんな世界が広がるのかを、具体的に示している点だ。1980年終わりごろから1990年代にかけて、クルマだけを黒っぽい背景のもとで見せているような、味気ないカタログが多くなってきたことは、この連載の以前の回でも述べてきたが、その点、このカタログは大きく異なる。この時期、RV(今で言えばSUVだが)のカタログではこのような演出がまだまだ主流であったのだろう。今見ると、当時のコカ・コーラの広告などにも似た、「スカッと爽やか」的なものが感じられる。

筆者は自他ともに認めるインドア志向の人間なので、こうした「海に!」「山に!」というような車種とはいまひとつ縁遠いものがあるのだが、しかし当時、ハイラックスサーフの格好良さには圧倒的なものがあった――ということは、よく記憶している。この頃はまだ中学生であったが、実際に、道端に停まっているサーフを「なんて格好いいんだ……」と、羨望の眼差しで見つめたこともあるほどだ。今ではSUVというものも全く珍しくはなくなった分、こうしたキラキラしたイメージは、完全にどこかへ消えてしまった気がする。

カタログ協力:宇佐美健太郎

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