ボルボ

【雪上試乗】北欧ブランドならではの卓越した氷上&雪上の走行性能を披露!「ボルボEX30ツインモーター」

国内でデリバリーが開始されたボルボEX30だが、そのAWD版となるツインモーター仕様に、母国の北欧スウェーデンで試乗することができた。場所柄、装着されていたタイヤはスタッド(スパイク)だったが、果たして極寒の地の雪上や氷上で、EX30ツインモーターはどんな走行性能を披露してくれたのか?

ツインモーター仕様で雪上&氷上を試乗

欧州メーカーの中でも、早い段階から電動化シフトへ積極的に取り組んでいるボルボは、2021年に2030年まで全ての新車をBEVとすることを宣言。また2040年までにクライメイトニュートラルな企業になることを掲げており、2025年までにはスチールとプラスチック素材の25%、アルミニウム40%をリサイクル素材に代替することを目標としているという。
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それゆえ近年は続々とBEVモデルをリリースしており、現在は国内ではクーペSUVのC40と、コンパクトSUVのBEV版となるXC40リチャージ、EX30シングルモーターの3モデルをすでに導入。本国ではラージSUVのEX90と、MPVのEM90を発表するなど、全5モデルがラインナップされている。

氷上のテストコースでは、優れたトラクション性能に加えスポーティなハンドリングも味わうことができた。今回はスタッドタイヤゆえグリップが高められているが、スタッドレスでも同様の性能を発揮してくれるのを期待したい。

そのうち国内で導入されたばかりのEX30は、BセグメントのSUVでは数少ないBEVとなり、いま話題のモデルだ。2023年8月に発表されて以来、国内では先ごろシングルモーター仕様のデリバリーが開始されたが、今回AWDのツインモーター仕様を北欧スウェーデンのルーレオで初めて試すことができた。
試乗の舞台となったルーレオは、北緯65度でラップランドの玄関口に位置し、3月でもマイナス20度に達するなど極寒の地で、オーロラも鑑賞できることもあって観光地にもなっている。そんな雪深いとともに凍結した路面環境で、EX30がどんな走りをを披露してくれるのかを期待しつつ試乗に臨むこととなった。

まずEX30の見どころのひとつは、エクステリアのデザインだ。
近年ボルボのアイコンであるトールハンマーのヘッドライトは採用されているものの、グリルレスとなったことで、ボンネットやフェンダーと一体化されたフロントまわりや、上下に分割されたテールランプは斬新。エンジン車はもちろん、他のBEVとも一線を画したデザインとなっている。

ダッシュボード中央にメーター表示やエアコン&オーディオ操作系等の機能を集約することで、極めてシンプルな印象のコクピット。トリムやシートにはリサイクル素材が多用されるなど、環境対応にも余念がない。ステアリングはトップとボトムがフラットな形状だ。

インテリアは12.3インチのディスプレイをダッシュボード中央に配置し、ここにメーター表示やエアコン&オーディオ操作系等の機能を集約することで、極めてシンプルな印象を醸し出している。トリムやシートの素材には、リサイクルされたポリエステルやペットボトルが使用されるなど、環境に配慮しているところもボルボらしい部分。フロント部のスピーカーは、ダッシュボード奥にサウンドバーの如く設置されているのみで、これは極力配線を少なくするためだという。

ディスプレイの設定画面で「Performance All Wheel Drive」を選択すれば、常時AWDとなり、氷上等での走行性能が向上する。

そしてEX30ツインモーターの最大の注目すべきポイントは、そのスペックだ。前後アクスルのモーターは、コンパクトSUVにも関わらず最高出力428ps、最大トルク543Nmを発生。0→100km/h加速は3.6秒とスポーツカー顔負けの動力性能を持ち合わせる。これはセグメントのレベルをはるかに超えるものといえるだろう。

フロント&リアアクスルに搭載されるモーターは、最高出力428ps、最大トルク543Nmを発生。0→100km/h加速は3.6秒と、スポーツカーに匹敵するパフォーマンスを誇る。航続距離は480kmを実現している。

今回の試乗車には、冬の時期の北欧ということもあり、ミシュラン製のスタッド(スパイク)タイヤが装着されていた。スタッドタイヤは以前フィンランドで試乗した経験があるが、BEVでの体験は初めてでこれも楽しみな要素のひとつである。

今回の試乗車には、北欧の一部地域での使用が許されているスタッド(スパイク)タイヤを装着。銘柄はミシュランX-ICE NORTH 4で、サイズは前後とも245/50R20と、このクラスではかなり大径の部類だ。

AWDならではの卓越したトラクション&コーナリングを披露

今回の試乗スケジュールは、初日に一般道を約1時間半走り雪上性能を、2日目は特設のアイストラックで氷上性能を試しつつ、その行き帰りでも雪上を試乗できるというもの。スタート地点となるルーレオ空港でブリーフィングを受け、駐車場へ移動したのだが、周囲の光景に愕然とした。路面に全く雪がないのだ。聞けば数日とはいえこれは事前に諦めていたドライでの試乗ができる絶好の機会と気持ちを切り替え、早速走り始めた。

ルーレオ空港の駐車場はドライ路面。これにはさすがに驚いた。

乗ってすぐに感じたのは、乗り心地の良さだ。装着されているスタッドタイヤは、ピンを打ち込む関係で、サマータイヤやスタッドレスタイヤよりもトレッド面の剛性が高められているとのことだったが、それを感じさせないほどにしなやか。さらに当然ながらノイズも大きいはずだが、気にならないレベルだった。これは路面の舗装状況にもよるが、おそらく遮音が効いているのとボディ剛性が高いことが奏功しているのだろう。

こちらの凍った路面はルーレ川。河川も凍結するとはさすが北欧である。

途中、凍った河川のフォトスポットや世界遺産にも登録されているガンメルスタードの教会街を抜けつつ、1日めの試乗が終了した。

 

途中、世界遺産にも登録されているガンメルスタードの教会街に立ち寄った。

ツインモーターによる動力性能は、さすが0→100km/h加速3.6秒を標榜するだけあって、とにかくパワフルだ。発進時はもちろん、中間加速もレスポンスよく、想像以上の加速感が味わえる。その後、途中でようやく積雪路面が現れたので、雪上での性能を試すことができたのだが、ここでもEX30は、安定した挙動を披露。AWDの駆動配分は通常は後輪駆動で、リアがスリップした際に前輪を駆動するとのことだったが、その制御は全く分からないほどで、安心してドライブすることができた。

リアのラゲッジスペースは標準状態で318L、60:40の分割可倒式リアシートを畳めば、904Lまで容量が拡大。

そして翌日は、楽しみにしていた氷上での試乗。ここではインストラクターから、車両設定のレクチャーを受け、まずはESCオンで試したが、際立っていたのは、氷上でのライントレース性の良さだ。もちろんスタッドタイヤの効果もあるだろうが、比較的高い速度域でもステアリングを切った通りにコーナーを駆けぬけることができる。制御の介入具合も絶妙で、車両の挙動も安定していた。

全長3.7kmにもおよぶ氷上のコース。女神湖の氷上ではスタッドレスタイヤでしか走行できないが、今回はスパイクタイヤだったのもあり、ドリフトを存分に楽しむことができた。

次にESCをオフにして走行したが、これはまさにドライビングファンを満喫できるものだった。モーターならではのレスポンスの良さで、アクセルワークとステアリング操作によって、姿勢を自在にコントロールすることが容易で、ドリフトも存分に楽しめる。まさに気分はスウェディッシュラリーのSSを走るドライバーの気分だった。

ESCをキャンセルすれば写真のようなドリフト走行も可能。モーターはレスポンスが良いため、アクセルワークひとつでドリフトアングルを操れるなど、コントロール性も抜群だ。

このようにドライ、雪上、氷上でセグメントのレベルを大きく超える乗り味を披露してくれたEX30ツインモーター。上陸は今夏頃を予定しているというから、今から国内での試乗が楽しみである。

今回の試乗イベントでは、EX30のツインモーターのほか、同シングルモーター、そしてXC40リチャージのAWDで氷上コースを走行できた。XC40は、重厚感のあるどっしりとしたハンドリングで、思いのほか好印象であった。

【SPECIFICATION】ボルボ EX30ツインモーター・パフォーマンス
■車両本体価格(税込)=─
■全長×全幅×全高=4233×1837×1555mm
■ホイールベース=2650mm
■トレッド=前:1590、後:1595mm
■車両重量=1885kg
■モーター形式/種類=─/永久磁石同期電動機
■モーター最高出力=428ps(315kW)/5375-9536rpm
■モーター最大トルク=543Nm(55.4kg-m)/5345rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=69kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=480km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/45R20(8.0J)
問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン TEL0120-55-8500

フォト=ボルボ・カー・ジャパン ルボラン2024年5月号から転載
相澤隆之

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