××年前の今日…

”アメリカ唯一のスポーツカー”「シボレー・コルベット」はこの日ベールを脱いだ!【72年前の今日、こんなことが…】

1953年型シボレー・コルベット

欧州流の軽量スポーツを米国で造るとこうなる

この記事の公開日は2025年1月17日。今から72年前の今日――すなわち1953年1月17日にその最初のモデルが発表された名車をご存じであろうか? シボレーの2シーター・スポーツカー、コルベットである。

【画像6枚】ドライビングの楽しさを予感させたファースト・コルベットを見る!

コルベットと言えば今日の日本では、アメリカらしさ満点のスポーツカーとして捉えられているものと思われるが、その登場時点である1950年代当時においては、欧州流の小型かつ軽量なスポーツカーに大きく影響された車種、と言うべきモデルであった。

戦前のアメリカにおいても、動力性能を売り物にする車種というのは存在していたが、それは例えばデューセンバーグやスタッツといった、ゴージャスな重量級モデルだったのである。戦後のアメリカでヨーロッパ流のスポーツカーの人気が盛り上がったのは、第二次世界大戦によって若い兵士たちが欧州に多く派遣されたことと関係が強い。そこでMGやジャガーなどに触れその楽しさに心動かされた彼らの中には、そうした車両を故郷へと持ち帰る者も多かったのである。

のちにジャガーやトライアンフ、オースチン・ヒーレー、あるいはポルシェやフェラーリなどが戦後のアメリカを重要な市場と捉えたのも、そうした状況が一因となっていた。もちろん、当のアメリカの自動車メーカーがそうした市場の動向を見逃すはずもなく、特にGMはこれに敏感に反応し、1950年代に入ってからは、独自のスポーツカーの開発を始めていた。

そんな訳で、GM初の2シーター・スポーツカーであるシボレー・コルベットは、1953年1月17日に発表された。当時のGMは、独自の移動式モーターショー“モトラマ”というものを開催しており、米国各地を巡業していたのだが、この1月17日からはニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルでの開催となっていたのである。日本とニューヨークの時差は14時間であり、日本時間で考えるとほぼ18日の出来事となるのだが、この点はご了承いただきたい。

既存コンポーネンツを利用しつつもその後の発展を予感させる内容
さて、ここで発表されるやいなや大反響を巻き起こしたコルベットのプロトタイプ(EX-122というコードネームで知られる)だが、その内容はかなりの所まで固まっており、のちに市販された生産型とほぼ変わらない。当時のGMスタイリング部門責任者ハーリー・アールの肝いりで作られた2シーター・ボディは、欧州スポーツカーのイメージと、当時のアメリカを覆いつつあった宇宙感覚の融合と言うべき、魅力的なものだった。

ホイールベースは102インチ(2591mm)と短く抑えられ、重心も低い。同年型のシボレー・セダンと並んだ写真を見ると、コルベットのウィンドシールド上端が、セダンのウェストラインとほぼ同じ高さである。幅を別とすれば、ディメンションの面ではジャガーXK120に酷似しているという。

1950年代後半に大きな盛り上がりを見せたテールフィン・スタイルだが、初代コルベットもこれとは無縁ではない。この通り1953年型コルベットにも控えめにフィンスタイルが取り入れられている。しかしそれも初期の2年半だけのことであった。

車体はほぼコルベット専用に新規に設計されたもので、ボディパネルにはFRPが使用されていた(量産市販車としては初!)が、ラダーフレームに前ダブルウィッシュボーン/後リーフリジッドのサスペンション(当時のシボレー・セダンからの流用)というシャシーは、特に高度な設計という訳ではなかった。もっとも、当時の英国製スポーツカーなどもそうした点は同様であり、特にコルベットだけが「見掛け倒し」というような批判を受けるべき筋合いのものではない。

搭載されるエンジンも既存ユニットを流用した直列6気筒OHV 235-cid(3.9L)の”ブルーフレイム”であったが、圧縮比を上げキャブレターを3連装とすることで、最高出力はベースの115hpから150pにまでアップされていた。変速機は2速オートマチックのみであった。

アメリカ車はイヤーモデル制を採っているので、翌年型をその前年秋に発表・発売するのが通常である。GMとしてもコルベットの発売は1954年型からというつもりで、ここではあくまでプロトタイプの発表を行うのみの予定だったという。しかし、その反響はあまりに大きく、予定を変更して速やかに市販へと移されることとなった。

そのため初代コルベットは1953年6月から1953年型として生産が始まったのだが、ゆえに1953年型コルベットの生産台数は315台にすぎないという。EX-122はドアの前に短いメッキモールを持ち、その下に突起状のアクセントと車名バッジが付いていたが、市販モデルではモールが長く(前後ホイールアーチ間を結ぶかたちに)なり、アクセントと車名バッジはモールの上に付くよう変えられている。この他、フロントのバッジなどの細部にも微妙な変更があった。

こうしてデビューした初代コルベットは、以後、V8やMT、フューエルインジェクションの採用などを行い、スポーツカーとしての脱皮を重ねていく。同じようにアメリカ独自のスポーツカーを目指したはずのフォード・サンダーバードが、年々スペシャリティ的性格を強め、4シーターや4ドアへも発展したのとは対照的に、コルベットはあくまでスポーツカーを標榜し続け、独自の地位を築いていったのである。

LE VOLANT web編集部

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING