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敦煌の壁画、ロールス・ロイスを彩る。「ファントム」「カリナン」「スペクター」のビスポークが拓く“自動車のシルクロード”

東西文化の交流と融合

ロールス・ロイスは2025年7月24日、中国の敦煌莫高窟(ばっこうくつ)の壁画にインスパイアされた、3台の特別なビスポーク車両を発表した。この3台は、ファントム・エクステンデッド、ブラック・バッジ・カリナン、ブラック・バッジ・スペクターをベースとしたのもので、東洋と西洋、過去と現在が対話する芸術的なプロジェクトであると言えよう。

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シルクロードの芸術遺産への敬意

その着想源となったのは、ゴビ砂漠の端に位置する敦煌の洞窟群である。この聖域は、古代シルクロードの文化的な十字路という特別な場所であり、世界で最も偉大な壁画群のひとつを擁している。ロールス・ロイスのビスポーク部門は、3台の車両を通して、この芸術遺産に現代的なトリビュートを捧げたのである。なおこの3台は、招待制の顧客向けスペース「プライベート・オフィス上海」を通じて実現したものだ。

同オフィスのビスポーク・デザイナー、シュアイ・フェン氏は次のように述べた。
「敦煌莫高窟の壁画は、ここ中国における我々の文化遺産における、最も力強いシンボルのひとつです。その色彩、フォルム、象徴性にインスパイアされ、私たちはこれらのテーマを手描きの要素と厳選された仕様を通して再構築しました。これは、ロールス・ロイスと中国との創造的な対話を、若々しく現代的な方法で反映した意義深いトリビュートです」

3台のモデルは、「シルケン・スピリット」と名付けられた共通のデザインモチーフを共有する。これは、ロールス・ロイスの象徴であるスピリット・オブ・エクスタシーと、インペリアル・シルクの流麗さから着想を得たものであるという。以下、各モデルの詳細について述べていこう。

ファントム・エクステンデッド:紫禁の夜空と飛天の舞

万里の長城上空の深い紫色の空をイメージした「ニンイエ・パープル」と、対照的な「イングリッシュ・ホワイト」のツートーンカラーをまとったファントム・エクステンデッド。Cピラーにはニンイエ・パープルでシルケン・スピリットのモチーフが手描きされ、グレース・ホワイトのコーチラインで仕上げられている。

そのインテリアで見る者を圧倒するのは、手描きのビスポーク・ギャラリー・アートワークだ。黒いレザーのキャンバスに、仏教文化の天人「飛天」の動きを想起させる風景画が描かれているのである。

制作を担当したビスポーク・アーティストのクロエ・ダウセット氏は、中国の伝統的な彫り進み木版画の技法を応用したと語る。
「彫刻された木版の代わりに上質なセーブル筆を使い、すべての色を個別に連続して塗り、表面にイメージを浮かび上がらせました」

また、1344個の光ファイバーが星空を描き出すビスポークのスターライト・ヘッドライナーにも、シルケン・スピリットのモチーフが織り込まれている。

ブラック・バッジ・カリナン:砂漠に咲くピンクと雲の意匠

ブラック・バッジ・カリナンは、鮮やかな「タンチャン・ピンク」のエクステリアが特徴で、その色は23インチの鍛造ホイールの中央にまで及ぶ。フロントシートには「ブラッシング・ピンク」のレザーが採用され、ホーム・オブ・ロールス・ロイス(同ブランドの本拠)上空の雲の形をイメージしたパーフォレーション(パンチング)が10万7000個も施されている。

後席は深い「ネイビー」のレザーで落ち着いた空間を演出し、フロントとリアで異なる雰囲気を醸し出している。フロントフェイシアとリアシート間ウォーターフォールには、シルケン・スピリットのグラフィックがステンレススチールで象嵌されている。

ブラック・バッジ・スペクター:壁画の青と緑をまとう電動クーペ

スペクターは、敦煌壁画の山々の青と緑の色調からインスパイアされた「チンシャン・ブルー」と、対照的な「ダイヤモンド・ブラック」のエアロ・ツートンで仕上げられた。イルミネーテッド・グリルは鮮やかな「ターコイズ」で彩られ、エクステリアを一層ドラマチックに演出している。

インテリアは、フロントに「ターコイズ」、リアに「ブラック」のレザーを配したユニークな「スプリット(分割)」デザインを採用。この配色はセンターコンソールやラムウールのカーペットにも反映されている。

ビスポークが紡ぐ文化の対話

この中国壁画アート・ビスポークは、古代の芸術的遺産と現代のラグジュアリー表現の共鳴を具現化したものであると、ロールス・ロイスは述べている。この3台を通じ、デザインとクラフトマンシップによって奥深い物語を翻訳するという、ビスポークの持つ無限の可能性が示されたと言ってよいだろう。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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