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単なる顧客からチームの一員へ。マクラーレンが新型ル・マン・ハイパーカーで提案する、新時代のレーシングカー所有形態とは

2027年シーズンを戦う新たなマシンを公開

世界有数の高級車が集う祭典「モントレー・カー・ウィーク」。その舞台で2025年8月16日、英国の名門マクラーレンが未来の耐久レースを戦うための新たな「ル・マン・ハイパーカー」の姿を、一部の限られた顧客やリテーラーに向けて披露した。そのボディに与えられたリバリーは、マクラーレンの輝かしいモータースポーツ史、その中でも特に重要な1ページを飾る伝説的なカラーリングであった。

【写真12枚】伝説の『マクラーレンM16』に捧ぐカラーリング、マクラーレンの新たなル・マン・ハイパーカーの詳細を見る

マクラーレンのモータースポーツの血統を物語るカラーリング

公開されたリバリーのインスピレーションの源泉は、今から半世紀以上も前の1974年に遡る。この年、マクラーレンは世界三大レースのひとつであるインディアナポリス500を制覇した。これは、後に同社が唯一達成することになる「トリプルクラウン」制覇の、記念すべき第一歩であった。この偉業を成し遂げたマシンこそ、ジョニー・ラザフォードが駆ったマクラーレンM16である。今回のハイパーカーは、この歴史的なマシンへの深い敬意を込めてデザインされている。

ボディの基本色は、マクラーレンの魂ともいえるパパイヤオレンジから、現代的なマクラーレン・オレンジへとアップデートされた。その中央を貫くのは、テキサス出身のドライバーであったラザフォードの故郷、テキサス州旗の色に由来するダークブルーのストライプだ。さらに、コックピットのルーフには、白いひとつ星「ローンスター」が高らかに輝く。これは、「ローンスターJR」の愛称で親しまれたラザフォードがヘルメットにも描いていた、彼の象徴ともいえるデザインである。サイドには彼のレースナンバーであった「3」が誇らしげに記され、マクラーレン伝統のスピーディー・キーウィとスピードマークのロゴが、その血統を雄弁に物語っている。

新たなマシンが目指す前人未踏のトリプルクラウン

この歴史的なカラーリングをまとったハイパーカーは、2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)からワークス参戦することを表明している。その最終目標は、ル・マン24時間レース、インディアナポリス500、そしてモナコグランプリという世界三大レースを、同一シーズン内にすべて制覇するという、前人未到の新たなトリプルクラウン達成である。かつて、長い年月をかけてこの三冠を達成した唯一のチームであるマクラーレンが、今、自らの偉業を超えるという壮大な挑戦に乗り出すのだ。

そして、この挑戦と密接に結びついているのが「プロジェクト:エンデュランス」である。これは、選ばれたオーナーが、単に完成したハイパーカーを購入するだけでなく、その開発とテストのプロセスに深く関与できるという、極めて特別なプログラムだ。オーナーは、来たるWECキャンペーンの舞台裏に完全にアクセスでき、チームの主要スタッフや現役ドライバーと直接交流する機会を得る。

さらに、世界の名だたるサーキットを舞台にした2年間の専用トラック走行プログラムが用意され、プロのレーシングドライバーによるコーチングや、個別に編成されるピットクルー、レースエンジニアからの全面的なサポートを受けることができる。それは、オーナーが自身のドライビングスキルを磨き、スポーツカーレースの頂点に君臨するマシンの限界性能を自らの手で引き出すための、究極の道筋を提供するものである。

この野心的なプロジェクトについて、マクラーレン・グループ・ホールディングスのニック・コリンズCEOは「世界中の顧客やファンから非常に大きな期待が寄せられている。このル・マン・ハイパーカーを所有できる数少ない1人となり、開発・テストプログラムに直接関与できる機会は、非常に特別な提案だ」と語る。今回の特別なリバリーをまとったマシンは、今後8月末にかけて、テキサス州ダラス、そしてフロリダ州マイアミでも披露される予定であり、アメリカ大陸の富裕なエンスージアストたちの熱い視線を集めることは間違いないだろう。

【写真12枚】伝説の『マクラーレンM16』に捧ぐカラーリング、マクラーレンの新たなル・マン・ハイパーカーの詳細を見る

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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