第1回 走行安全性:運転上の事故を起こさない安全性
本連載「メルセデス安全原論」では、メルセデス・ベンツの揺るぎない設計思想と技術の系譜を紐解く。第1回は、1951年に特許取得された安全性の基本理論、そして「シャシーはエンジンより速く」という名言に象徴される走行安全性の真髄に迫る。事故を未然に防ぎ、被害を最小限に留める──その論理的な安全哲学の原点とは。
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ルール規制以前から始まった「人間中心」の安全設計と特許の公開
自動車の安全性がルールとして取り沙汰されるずっと以前から、メルセデス・ベンツの設計思想には「安全性」が大きな地位を占めていた。つまり、メルセデス・ベンツの技術陣が追求しているのは、常に「安全性」である。事実、人間工学(エルゴノミクス)に限らず、生理学、心理学を取り入れ、人間を中心に安全設計をしており、人間のクルマ=メルセデス・ベンツといわれる所以である。
1939年にメルセデス・ベンツの安全技術開発がスタートし、衝突安全性の研究に着手した。1951年にはメルセデス・ベンツの技術陣は自動車の安全性理論を確立し、「前後衝撃吸収式構造」と「頑丈なパッセンジャーセル構造」の特許を取得。その後、取得した多くの特許を独占せず次々と公開してきたのは、メルセデス・ベンツだけでなく、世界中のクルマの安全性の向上を願ったからである。
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