2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型)
2025年11月29日に栃木県で開催された「ALPINA BUCHLOE FINAL MEETING」には新旧さまざまなアルピナが集まった。同ブランドのメーカーとしてのラストイヤーである今年1月に、あえてE時代の名車、E92型アルピナ B3ビターボ・クーペを選んだというオーナーを紹介しよう。
【画像6枚】日本に2台の輝き。チタンシルバーを纏った「E92型アルピナB3ビターボ」の全貌を見る
「E時代」の直6フィールを求めて
「直列6気筒エンジンを積んでいる最高のクルマに乗りたかったんですよ」
愛息の宗一郎さんとALPINA BUCHLOE FINAL MEETINGを楽しんだ遠屋和浩さん(取材時62歳)は、2025年1月にE92型のアルピナ B3ビターボ・クーペ(2008年式)を増車。通勤に使い、週末のツーリングも楽しんでいるのだという。

「E92でチタンシルバーのB3ビターボ・クーペは、おそらく日本に2台しかないと思います。以前E90のBMW 325iに乗っていたので、6発のスムーズさを再び味わいたくて買いました。型式がE時代のクルマに戻りたかったんですよね」
2025年はアルピナのラストイヤーだったこともあり、直列6気筒エンジンを積んでいるBMWではなくアルピナを探すことにしたが、選択肢を広げて、リムジン、クーペ、カブリオレの中から状態のいい個体を選ぶことにしたそうだ。
最新モデルよりも「味」を優先
「アルピナを買おうと思ったときにホンダ S2000とW205型のメルセデス・ベンツ C200に乗っていましたが、たくさん走ったS2000はもう手放してもいいかと思ったので2015年式のC200を残すことにしました。アルピナの傑作の系譜の最終章を飾るモデルとして登場したB3 GTにも試乗させてもらったのですが、B3ビターボ・クーペのほうが味があったので、あえて17年前のモデルを選びました」

そのように話してくれた遠屋さんは、かつてNA6CE型のユーノス・ロードスターに乗っていたことがあり、W123型のメルセデス・ベンツ 280TEやE46型のBMW 318iを所有していたこともあるのだという。そう、ちょっと旧いクルマに対する免疫ができているので、2008年式のB3ビターボ・クーペを迷うことなく購入できたのであった。
M3に匹敵する動力性能と、これから深まる絆
アルピナはB3ビターボ系各モデルのエンジンにマーレ製スペシャルピストンを組み込み、ターボ最大過給圧を上げ、インテークおよびエキゾーストを見直してマネージメントを適正化している。その結果、6速AT仕様のB3ビターボ・クーペは同世代のBMW M3と同等の加速性能を有していた。

「普通にドライブするとジェントルですが、ひとたびアクセルを踏み込むと2速ダウンして猛烈に加速していきます。まだ買ったばかりなので、これといった苦労話もなく、イジったり直したりした部分もありません。いろいろあるのは、これからですね。今後、ATF、エンジンマウント、ミッションマウントを交換することを計画しています」
まだまだお若いが、もう増車せず、アルピナは終のクルマになるであろうとも話してくれた。B3ビターボ・クーペをパートナーとした遠屋さんの自動車趣味生活は、これからさらに深遠なものになっていく。





