「初代コネクティッドカー」を銘打って登場した15代目クラウンとカローラスポーツ。いずれも車載通信モジュールを標準で搭載、新たなクルマ生活の提案として”繋がる”機能をアピールしているが、このトヨタ伝統の両銘柄、特にクラウンは中身の激変ぶりも要注目だ。
伝統も息づくクラウンと完全新作のカローラ
圧倒的知名度のトレードオフとして新鮮味が薄れてしまうのは、長寿モデルにおける宿命のようなもの。それゆえに、今年で52年目のカローラと63年目のクラウンにとって〝変わること〟は必須命題だった。その覚悟のほどは、特に後者の外観を見れば明らか。
クラウン史上、初めて6ライトウインドーを採用した新型の変貌ぶりは「ゼロ」を名乗った12代目以上。それが市場でどう評価されるのかは今後の動向を見守らなければならないが、フォーマルさと引き替えに格段に若返った佇まいになったことは確かだ。
その一方、伝統的美点も継承されている。全長こそ先代より若干伸びているが、全幅は1800mmと変わらず。リアがハイデッキな造形でも視界は良好とあって、狭い日本の路上でも持て余す心配はない。ホイールベースが先代より70mmも伸びた新型クラウンだが、小回りが効く点も相変わらずだ。後輪操舵などを使わずとも5.3m〜という最小回転半径は、よりコンパクトな欧州Cセグメント級と比較しても遜色がない。
エンジンは2.0リッター4気筒ターボがベーシックで、その上に2.5リッターと3.5リッターのハイブリッドを揃える3本立て。グレードは従来までのロイヤル、アスリートといった性格分けが見直され、エンジン別に数種類とシンプルになった。
その動力性能は2.0リッターターボでも不足はなく、3.5リッターともなれば力強さが際立つほど。2.5リッターは従来までのクラウンのイメージに一番近いが、それとて積極的に回せばただ静粛で滑らかなだけではないところを垣間見せる。
一方、シャシーは剛性感の高さとステアリング操作に対する正確なレスポンスが印象的。特に2.0リッターの「RS」仕様はリア回りが強化されているだけに、スポーティなセダンとしても十二分に通用するダイレクト感すら実現している。だが、決して宗旨替えしてしまったわけではない。走行モード切り替えで「コンフォート」を選ぶと、クラウンらしいソフトなライド感も愉しめるようになっていた。