スイフトの高い運動性能は軽量ボディの恩恵だ
一方、スイフトはどうか。高速走行での乗り心地はとても良く、少し荒れた路面をハイスピードで通過しても、サスペンションがしなやかに動き、バネ上のボディはフラットな状態をキープし、安定感は抜群だ。この走りこそスピード域が高めのカントリー路がたくさんある欧州の道で鍛えた証なのだろう。なぜ欧州車の走りがよいのか。アルプスを抱くイタリア、フランス、スイス、オーストリアは地形的に山岳路が多く、いまだに中世時代に作られた道も現役で道幅はタイト。条件的には日本と似ているが、異なるのはスピード。カントリー路でも速度域は高く、当然卓越した運動性能が求められる。その欧州で開発、生産、販売するスイフト・スポーツは、まさにその環境に適正化されているのだ。
少し残念だったのは、ESCの制御。ダブルレーンでは進入速度が速く、タイヤの限界性能を使うことになったが、せっかくESCが備わっているのだから、速度を低下させながらタイヤに余裕を持たせるダイナミクスを実現するべきだろう。最近のダイナミクスの思想は、ドイツ車を中心にタイヤの性能をギリギリの領域まで使わないという傾向があるようだ。スズキは電子デバイスの制御を学ぶ必要がありそうである。
テストを通じて、スイフト・スポーツの基本性能の高さを実感したが、それをもたらしているのは紛れもなく、その軽量なボディの恩恵だろう。