コラム

【インタビュー】BMW完全傘下でアルピナはどう変わる? 新デザイン統括M・ミッソーニが明かす「ビジョンBMWアルピナ」の真意《LE VOLANT LAB》

ビジョンBMWアルピナ

新生BMWアルピナの行方

2026年1月にBMWグループの正式な一員となった新生BMWアルピナ。同年5月のヴィラ・デステで世界初公開された「ビジョンBMWアルピナ」は、最高峰のラグジュアリーブランドとして生まれ変わる同社の未来を提示した。完全傘下となった名門はこれからどう変わるのか。モータージャーナリストの大谷達也氏が、BMWアルピナのデザインを統括するマキシミリアン・ミッソーニ氏を直撃し、次世代ビジョンに込められた真意を紐解く。

【画像104枚】伝統のモチーフはどう進化した?「ビジョンBMWアルピナ」のエクステリアとデザインスケッチを一挙公開

新生アルピナのデザインを導くマキシミリアン・ミッソーニとは

5月初旬に南ドイツで開催されたBMWアルピナのワークショップに参加した私は、そこでマキシミリアン・ミッソーニにインタビューする機会を得た。2年前にBMWデザインのバイスプレジデントに着任したミッソーニは、現在、BMWブランドのミッドサイズ、ラグジュアリーカー、BMWアルピナのデザインを統括する立場にある。

マキシミリアン・ミッソーニ/Maximilian Missoni:2024年9月撮影

マキシミリアン・ミッソーニ/Maximilian Missoni:2024年9月撮影

ちなみに、同じBMWブランドでもコンパクト、ミッドサイズ、そして“M”はこれまでミニのチーフデザイナーを務めてきたオリヴァー・ハイルマーの管轄下に置かれる(5シリーズ以上がミッソーニで、それ以下がハイルマーの担当)。

つまり、ドマゴイ・ジューケッツひとりがBMWブランドとBMW Mの全モデルを監修していた2024年以前とは、デザイン部門の体制そのものが大きく見直されたわけだ(BMWグループ・デザインの責任者がエイドリアン・ファン・ホーイドンクであることは不変)。

マキシミリアン・ミッソーニ/Maximilian Missoni:中央

マキシミリアン・ミッソーニ/Maximilian Missoni:中央

1978年にオーストリアで誕生したミッソーニは、これまでに数々の名自動車デザイナーを輩出してきたロイヤル・カレッジ・オブ・アートで2年間学んだのち、2002年にフォルクスワーゲンに入社。そこで10年間を過ごすとボルボに転職し、当時同社のチーフデザイナーだったトーマス・インゲンラートとともに数々の名作を生み出すことになる。やがてインゲンラートがポールスターのCEOに就任すると、ミッソーニも彼のあとを追うようにしてポールスターへ転籍。ここで2024年まで過ごしたのちに現職に就任した。

歴史を遡り、創業者のアイデアを現代に再構築する

まずは、この前日にわれわれメディア陣にお披露目されたばかりのコンセプトカー、ビジョンBMWアルピナについてミッソーニに説明してもらうことにした。

「今回のビジョンBMWアルピナはブランドのキャラクターや考え方などを明確にするために制作しました。基本的にはスピードとラグジュアリーをひとつのステートメントとして取り上げましたが、表現に用いる要素をできるだけ減らすことで、より力強く、そしてピュアなスタイリングを目指しました」

ビジョンBMWアルピナ

なにかを付け加えるのではなく、要素を減らすことでデザインを研ぎ澄ませていく。この結果、BMWアルピナのブランド性がより明確に伝わってきたという私自身の感想を伝えると、ミッソーニは破顔一笑してからこう語り始めた。

「ありがとうございます。それは素晴らしい。私たちの狙いどおりです。アルピナは例外ですが、いま、多くのブランドが時間の経過とともにデザイン上の変化を重ねています。しかし、BMWアルピナの立ち上げに際して、私たちは歴史を大きく遡ることにしました。創業者はなにを考えてアルピナというブランドを作ったのか。そのアイデアはどこからやってきたのか。そうした出発点はラグジュアリーブランドにとって非常に重要なものです。そして、もしも私たちがその出発点を誤って捉えたら、大きな間違いを犯すことになります。私たちはアルピナというブランドをほんの少し現代的に、そしてさらにラグジュアリーに進化させました。ビジョンBMWアルピナでは、そうした新たな方向性を示しましたが、同じ考え方は量産モデルのBMWアルピナにも適用されることになります」

たしかにミッソーニらはアルピナの伝統的なモチーフをうまく採り入れているが、いっぽうでビジョンBMWアルピナが全体的に醸し出す雰囲気は現代的で、進歩的といっても間違いない。

伝統のロゴを「透明化」した真意と、既存ファンへの回答

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Photo: BMW
大谷達也

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大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。

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