清水和夫のDST

ルノー・メガーヌGT vs ホンダ・シビック・ハッチバック 欧州育ちの日本を代表するハッチバックがフランスの強敵に挑む【清水和夫のDST】#93-1/4

メガーヌGTは伝統的なフランスのホットハッチの王道を行く

メガーヌGTは、ホットハッチとして、各部のチューニングの巧みさが際立っている。

リアサスペンションはトーションビームタイプだが、そのポテンシャルを高めるために、リアステアを採用。マルチリンクの採用はルノー日産にとって投資的に重かったのだろうが、トーションビームでも高速ステージはステアリングのレスポンスがシャープで、リアの安定性も高い。乗り心地はマルチリンクに及ばないが、ダンピングの特性が上手にフラットライドに奏功した。

テストディはほぼ終日雨だったので、リアタイヤの減り具合が余計気になったが、ESCとリアステアのおかげで、最低限の安定性は保たれていた。Uターンする時にはリアステアが逆位相に作用するため、ホイールベースが短くなったような取り回し感で小回りでき、実用性とホットハッチの走りをうまくミックスして、バランスさせている。エンジンはシビックよりも出力が高く、トランスミッションはデュアルクラッチゆえにダイレクト感があって、これだけでもクルマ好きには刺さりそうだ。

シビックは高速領域で初期ロールを感じるが、そこから踏ん張る感じ。一方のメガーヌGTはロールに一体感があって、ノーズの動きとマッチしている。これぞ、伝統的なフランスのホットハッチの王道——ファンな走りはやはり健在である。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2018年11月号より転載
LE VOLANT web編集部

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