清水和夫のDST

メガーヌGT vs シビックはタイヤの状態が良ければ実力は互角といえるのか!?【清水和夫のDST】#93-3/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number93 SEASON.10:欧州育ちのニッポンを代表するハッチバックがフランスの強敵に挑む

ルノー・メガーヌGT vs ホンダ・シビック・ハッチバック/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト

●テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。

ホンダ シビック ハッチバック vs ルノー メガーヌ GT(ウェット旋回ブレーキ編)

タイヤコンデション

HONDA CIVIC HATCHBACK

グッドイヤー・イーグルF1はスポーツ性が高く、シビック・ハッチバックとの相性はいい。タイヤはほぼ新品状態でウェット路でも安心してステアリングを握ることができた。ダンピングが効いた乗り味だ。

 

RENAULT MEGANE GT

タイヤの溝をチェックしていて「えっ、ウソでしょ?」と声が出てしまったほど、激しい摩耗を確認。なんとリアタイヤの溝が2mm前後だった。法規的には1.6mmのため、テストは決行したのだが……。

タイヤの状態が良ければ実力は互角!? ライントレース性はともに秀逸

HONDA CIVIC HATCHBACK

●制動距離:56.8m(★★★★☆)

タイヤ溝がしっかりと残っているおかげで、安心してウェット旋回コースに進入することができた。ブレーキは直線での制動と変わりなく、旋回時もよく効き挙動は常に安定している。ただし、ステアリングの操舵感がやや重めで、ラインをトレースする際にフロントの斬れ味がもう少し欲しいと感じさせた。気になったのは、狙ったラインよりもフロントがやや外に逃げる点。軽快な動きをみせるライトウェイトなハッチバックというよりも、GTカー的な重厚感のあるスタビリティ重視の味付けになっている。ワインディングよりもドイツのアウトバーンを中心に、シャシー性能をセットアップしたのだろう。

 

RENAULT MEGANE GT

●制動距離:71.0m(★★★☆☆)

スリップサインが出てしまいそうな状態のリアタイヤが、走りにどのような影響を及ぼすのか。走行前から99%スピンするだろうと予想してテストに臨んだが、実際にはESCが即座に介入。リアの制動力を落として安定性を稼いでいた(合わせてリアステアも機能しているはずだ)。その副作用として制動距離が想定以上に伸びてしまったことが残念で仕方ない。ライントレース性は実に正確で、もしタイヤの山があればもっと短く停止できただろう。逆に、今回のテストにおいて、擦り減ったリアタイヤを履いていても、スピンだけは避けるメガーヌGTの素質の高さを再確認することができた。やはりタイヤのケアは欠かせない。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2018年11月号より転載
LE VOLANT web編集部

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