自動車型録美術館

モンテヴェルディ/短命ながら魅力的なスイスの自動車メーカー【自動車型録美術館】第31回

MONTEVERDI /モンテヴェルディ

モンテヴェルディはスイスの自動車メーカーです。活動期間は1967年から1984年までと短いですが、いくつかの魅力的なクルマを送りだしています。

モンテヴェルディ

モンテヴェルディという社名は、スイスでBMW、ランチア、そしてフェラーリやロールスロイス、ベントレーなどの販売を行なっていたペーター・モンテヴェルディの家名に由来しています。彼は父が興したディーラーを継いだだけでなく、1950年代にF1マシンを製造し、レースなども行なっていたようです。

モンテヴェルディの名を冠した本格的市販車の最初は、1967年のモンテヴェルディ・ハイスピード375Sというクルマです。

モンテヴェルディのクルマ

モンテヴェルディ・ハイスピード375Sのデザインは、ピエトロ・フルアが担当しています。そのためか、同時期のマセラティ・ミストラルやAC482によく似ています。そうしたことが背景にあるのか、モンテヴェルディとフルアはけんか別れしたとの噂があり、その後のデザインはカロッツェリア・フィッソーレが担当することになりました。

モンテヴェルディと聞くと、個人的に真先に思い浮かぶのはHAIというモデルです。ドイツ語で鮫を意味するHAI、ミッドシップのスーパースポーツで、当時290km/h以上と謳われていた最高速に、ただひたすら、心躍らせたものです。
尚、このHAIはオートピレンという会社が1/43のミニカーをつくっていました。

スーパーカーブームの時に、密かに憧れたクルマです

カタログ等を収めている書庫を整理していると、時々思わぬものに出くわすことがあります。いつどこで入手したのか、そもそも、実物を目にするまで、手許にあったことすら忘れている。今回とりあげるモンテヴェルディのカタログも、そのような範疇のもののひとつです。見つけた時は、恥ずかしながら、小躍りしてしまいました。モンテヴェルディは、スーパーカーとして、フェラーリやマセラティ、そしてランボルギーニなどに較べるとやや地味な存在。このカタログを入手した頃は、モンテヴェルディの地味派手な良さに、まだ気付いていなかったのでしょう。このカタログを目にして、モンテヴェルディにはこの総合カタログのほかに、一車種一葉のものもあったことを思い出しました。

先ほどふれたように、モンテヴェルディには当時、いくつかミニカーがありました。なかでもスーパースポーツのHAIは、スペインのオートピレンによる1/43だけでなく、マッチボックスもモデル化しています。他に、ディンキーからはハイスピード375Lが商品化されていたように記憶します。実車を手許に置くことはかなわなくとも、当時のカタログと当時のミニカーで想像の世界に遊ぶ。これもまた、旧車趣味の醍醐味のひとつではないでしょうか。

●サイズ(縦×横)246mm × 347mm ●全16ページ

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン483号(2018年9月号)より転載

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