4ドアセダンか、4ドアクーペか
AクラスセダンとCLAはいずれも3ボックスの4ドアセダンであるものの、決定的な違いはスタイリング(とボディ構造)にある。
2台を並べて見比べてみると、CLAの全高のほうが低く見えるが、1430mmの全高は両車とも同じ。セダンよりも30mm幅広く35mm長い寸法により、CLAのほうが低く構えた格好に映るのだろう。A/Cピラーが寝かされているデザインもまた、それにひと役買っているかもしれない。ピラーが寝ていると当然のことながら乗降性は悪くなる。特にリアシートへのアクセスは大変で、首から上だけでなく、上半身をかがめないと入り込めない。どうにかリアシートに着座してもCピラーやルーフが頭部に触れてしまい閉塞感は否めない。事実上、CLAは2+2のクルマだと個人的には思っている(メルセデスもCLAを“4ドアクーペ”と呼んでいる)。
もうひとつ、両車の大きな違いはドアを開けた時によく分かる。CLAはサイドウインドーが剥き出しのサッシュレスドアを採用しているからだ。セダンのようにサイドガラスをフレームが囲んだドアとガラスのみのドアとでは、閉めた時のボディ剛性に明らかな差が生じてしまう。今回の2台はエンジンも駆動形式もまったく同じだが、車両重量はCLAのほうが30kg重い。車検証で確認すると前軸重で10kg、後軸重で20kg、それぞれセダンよりも重くなっている。ボディが広く長くなっているのでその影響もあるだろうが、ボディ剛性の低下を抑えるための構造補強も図られていると推測できる。
全幅の広いCLAは前後のトレッドもフロントで35mm、リアで45mmそれぞれセダンよりも広い。全高が同じでもトレッドが広がれば重心はわずかながら下がる。CLAのほうがややスポーティなハンドリングに感じるのは、ワイドトレッドの恩恵もあるだろう。でも結局のところ、CLAはそのスタイリングで選ばれるに違いない。