試乗記

【比較試乗】「メルセデスベンツ Aクラス」ベスト“Aクラス”を探せ!

4ドアセダンか、4ドアクーペか

AクラスセダンとCLAはいずれも3ボックスの4ドアセダンであるものの、決定的な違いはスタイリング(とボディ構造)にある。

CLA 250 4MATIC(左)、A250 4MATIC Sedan(右)

2台を並べて見比べてみると、CLAの全高のほうが低く見えるが、1430mmの全高は両車とも同じ。セダンよりも30mm幅広く35mm長い寸法により、CLAのほうが低く構えた格好に映るのだろう。A/Cピラーが寝かされているデザインもまた、それにひと役買っているかもしれない。ピラーが寝ていると当然のことながら乗降性は悪くなる。特にリアシートへのアクセスは大変で、首から上だけでなく、上半身をかがめないと入り込めない。どうにかリアシートに着座してもCピラーやルーフが頭部に触れてしまい閉塞感は否めない。事実上、CLAは2+2のクルマだと個人的には思っている(メルセデスもCLAを“4ドアクーペ”と呼んでいる)。

Aクラスセダン/ともにインテリアは新型Aクラスの基本的デザインを踏襲し、モダンでアバンギャルドにまとめられる。ワイドスクリーンディスプレイがダッシュボードの上に置かれることで解放感を演出。5つの円形のエアアウトレットも共通で、ジェットエンジンのタービンを思わせるスポーティなデザインを採用。

Aクラスセダン

Aクラスセダン

もうひとつ、両車の大きな違いはドアを開けた時によく分かる。CLAはサイドウインドーが剥き出しのサッシュレスドアを採用しているからだ。セダンのようにサイドガラスをフレームが囲んだドアとガラスのみのドアとでは、閉めた時のボディ剛性に明らかな差が生じてしまう。今回の2台はエンジンも駆動形式もまったく同じだが、車両重量はCLAのほうが30kg重い。車検証で確認すると前軸重で10kg、後軸重で20kg、それぞれセダンよりも重くなっている。ボディが広く長くなっているのでその影響もあるだろうが、ボディ剛性の低下を抑えるための構造補強も図られていると推測できる。

CLA/コンパクトでありながら前後のオーバーハングを切り詰め、ホイールベースを長く取ることで室内長を確保。大人4人が快適に過ごすことができる広い室内空間を実現。CLAは先代に比べ、前席の室内幅は35mm、後席の室内幅は44mm、前席ヘッドルームも17mm拡大している。

CLA

CLA

全幅の広いCLAは前後のトレッドもフロントで35mm、リアで45mmそれぞれセダンよりも広い。全高が同じでもトレッドが広がれば重心はわずかながら下がる。CLAのほうがややスポーティなハンドリングに感じるのは、ワイドトレッドの恩恵もあるだろう。でも結局のところ、CLAはそのスタイリングで選ばれるに違いない。

CLA(左)、Aクラスセダン(右)/エレガントかつスポーティなクーペスタイルのCLAには、メルセデス・ベンツのクーペモデル共通のサッシュレスウィンドーを採用。

CLA(左)、Aクラスセダン(右)/CLAはなだらかな流線形のルーフラインが特徴のため後部座席に乗り込む際は、やはりAセダンよりもアクセスの悪さを意識せざるを得ない。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年4月号より転載
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