試乗記

【比較試乗】「メルセデスベンツ Aクラス」ベスト“Aクラス”を探せ!

スポーティな走りか、安定感のある乗り味か

A250 4MATIC Sedan(左)、A200d(右)

ハッチバックは2ボックス、セダンは3ボックスとよく言われるけれど、それは空間の使い方を示している。ハッチバックはエンジンルームがひとつの箱で、荷室と一体になったキャビンをもうひとつの箱に見立てて2ボックス、セダンはエンジン/キャビン/荷室がそれぞれ独立した空間になっているので3ボックスと呼ばれる。
ボディ剛性や快適性で有利なのは断然3ボックスである。リアシート後方にクロスメンバーが入っている分、当然のことながら2ボックスよりもリアのボディ剛性は高く、リアシートのバックレストが壁となり、荷室からの騒音も遮断できるので2ボックスよりも高い静粛性が確保できるからだ。


駆動形式など他の条件を同じとした場合、一般的にはフロントの剛性を上げると操縦性が、リアの剛性を上げると安定性が増すと言われている。Aクラスのハッチバックとセダンを乗り比べると、セダンのほうが安定感のある乗り味になっている。ただし、今回のセダンは4輪駆動で、ハッチバックより150kgも重いため、乗り味の印象には重量の影響も大いにある。それでも旋回中やステアリングを左右に切り返した際に、後輪の接地感が高いことは実感できる。

Aクラスハッチバック/ラゲッジルーム容量は先代モデルよりも29L大きい370L、ラゲッジルームフロア長も11.5cm拡大。40:20:40分割可倒式リアシートのバックレストを倒せば最大で1210Lを確保する。

Aクラスハッチバック

Bクラス/容量は通常時の455L-最大1540Lまで確保。大きく開くテールゲート、積み下ろしのしやすいフロア高、荷物に合わせて床面の高さも変えられるラゲッジフロアを採用。

Bクラス

Aクラスはステアリングの切り始めの反応がいいものの、全体的に安定方向のハンドリング特性を有している。セダンはこの初期応答性がやや穏やかになっているが、Aピラーから前の部分は基本的にハッチバックもセダンも共通なので、これはセダンのリアの剛性が上がったことによる副次的産物だろう。

Aクラスセダン/通常時でも420Lを確保。スクエアな形状、大きな開口部によって優れた使い勝手を実現。40:20:40の分割可倒式でバックレストを倒せば、荷物の形状に合わせたアレンジが可能。

Aクラスセダン

ハッチバックを「スタイルも走りも若々しいクルマ」とするならば、セダンは「スタイルも走りも穏健なクルマ」と言える。

CLA/通常時はセダンより若干広い460Lを確保。トランクリッドが簡単に開けられるフットトランクオープナーを標準装備するなど、使い勝手に関してはセダンと同等の装備となる。

CLA

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年4月号より転載
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