スポーティな走りか、安定感のある乗り味か
ハッチバックは2ボックス、セダンは3ボックスとよく言われるけれど、それは空間の使い方を示している。ハッチバックはエンジンルームがひとつの箱で、荷室と一体になったキャビンをもうひとつの箱に見立てて2ボックス、セダンはエンジン/キャビン/荷室がそれぞれ独立した空間になっているので3ボックスと呼ばれる。
ボディ剛性や快適性で有利なのは断然3ボックスである。リアシート後方にクロスメンバーが入っている分、当然のことながら2ボックスよりもリアのボディ剛性は高く、リアシートのバックレストが壁となり、荷室からの騒音も遮断できるので2ボックスよりも高い静粛性が確保できるからだ。
駆動形式など他の条件を同じとした場合、一般的にはフロントの剛性を上げると操縦性が、リアの剛性を上げると安定性が増すと言われている。Aクラスのハッチバックとセダンを乗り比べると、セダンのほうが安定感のある乗り味になっている。ただし、今回のセダンは4輪駆動で、ハッチバックより150kgも重いため、乗り味の印象には重量の影響も大いにある。それでも旋回中やステアリングを左右に切り返した際に、後輪の接地感が高いことは実感できる。
Aクラスはステアリングの切り始めの反応がいいものの、全体的に安定方向のハンドリング特性を有している。セダンはこの初期応答性がやや穏やかになっているが、Aピラーから前の部分は基本的にハッチバックもセダンも共通なので、これはセダンのリアの剛性が上がったことによる副次的産物だろう。
ハッチバックを「スタイルも走りも若々しいクルマ」とするならば、セダンは「スタイルも走りも穏健なクルマ」と言える。