“GP”のロゴを配した大型スポイラーにエッジの立ったフロントエプロン。パワーユニットもストイックなまでに改良を加えたエクスクルージブなミニが登場。その実力を袖ヶ浦フォレストレースウェイでテストした。
繊細なコントロールに正確無比なハンドリング
世界で3000台しか作られない超スペシャルなミニ・ジョンクーパー・ワークスGPを袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗した。
加速性能と俊敏性を追求し、余計な装備を排除。ダンパー、スタビライザー、スプリングはハンドリング特性に合わせて専用開発された。
そのスペシャル感は見慣れない四角形のオーバーフェンダーや2段重ねの大型リアウィングにも表れているが、エンジンは“フツーの3ドアJCW”が231psなのに対して、なんと306ps! この有り余るパワーを前輪で伝えるためにトルセン式LSDを搭載したり、前後サスペンションを強化。挙げ句の果てにはリアサスペンションの一部にピローボールを採用したという本格派。トドメはリアシートを取っ払って軽量化を図り、ニュルブルクリンクでは先代より30秒以上速い8分切りを達成したスペシャルモデルだ。
今回テストを行なった大谷氏。ステアリングを握った感触から太鼓判の一台として推薦していたが、日本割り当て分の240台はすでに発売から2カ月で完売してしまったそうだ。
実は先代のJCW GPを同じ袖ヶ浦で試乗したところ、ヘアピンで一気にテールスライドするジャジャ馬ぶりを示したのだが、新型は多少ペースを上げてもなにも起こらない。むしろ、パワフルなエンジンは4000rpmオーバーでさらにパワーアップ。ボディが一瞬フワッと浮き上がったかのような猛烈な加速を示し、たった400mのストレートエンドでは170km/hを超えてみせたのだが、足回りのキャパシティが凄まじく、テールはピクリとも動かない。最後にスタビリティ・コントロールを切ってスロットルのオン/オフでようやくリアのスリップアングルをコントロールできるようになったものの、ついにオーバーステアは顔を出すことなく、JCW GPは安定したスタンスを守ったままサーキットを走りきったのである。
ステアリングホイールやインテリアトリムの一部など、 3Dプリンターを用いて成形された。
もっとも、いくら安定はしていても繊細なコントロールに対して正確に反応するハンドリングは見事としかいいようがない。ミニに貫かれた「操る楽しさ」は、このJCW GPにもしっかり受け継がれていたのである。
後席を取り払い、クロスバーを設置。最大限の軽量化を図ったモデルだ。