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【ヨーロッパ現地試乗】ゴルフのGTIが圧倒的なパフォーマンスを得て戻ってきた!!【VW GOLF FAN Vol.2】

やはり秀逸なDSG

さて、走り出そう。
ポール・リカールの敷地内にあるホテルの駐車場にズラッと並ぶGTIのなかから、まず6速マニュアルをセレクト、ドアを開ける。視界に飛び込んでくるのは、センター部分がチェック柄になった大柄のシート。なんだか、胸がキュンとなる。座ってみると、GLiよりは座面が硬くなっていることが分かる。そして、ダッシュボードを眺めると、ビジネスライクで冷たい印象であったのが、アルミがところどころにあしらわれて、スポーティで少し華やいだ雰囲気になっているの分かる。スピードメーターは300km/hまで刻まれて、このクルマがただのゴルフではないことを見る者に伝える。

雨のワインディングを駆け抜けるGTI。ウエット路面で、当然ながら平均スピードは低下するが、そのスリッピーさゆえにスポーツドライビング感覚はかえって強くなる。逆説的だが、このクルマの場合、それがいえる。それほどハンドリングが素晴らしいのだ。

GTIだからといって、操作系に戸惑うことはない。スターターボタンというような余計な演出もないから、いつも通り、クラッチを踏んでキーをひねるだけでエンジンはかかる。クラッチを踏んだまま、シフトのゲート感をチェックする。そのストロークは短く、ゲート感も明確だ。シフトレバーを1速に入れて、アクセルペダルをそうあおることなく、クラッチペダルをリリースする。クラッチミートのポイントはつかみやすいほうだ。とまぁこんな具合に、あっけなく、実にカルーイ感覚でGTIは走り出したのである。

サイドから見る限り、黒い樹脂製のサイドステップが加わっているが、大径のタイヤ&ホイールを履いた、日本仕様でいうGTと変わるところはない。が、そのパフォーマンスは……。

午後。いよいよポール・リカール・サーキットを走ることになる。セレクトしたのは、もちろんDSG仕様だ。
とりあえず、コースを学習するため、シフトをDレンジに入れて、オートモードでクルマ任せに走り出す。発進はムダがないということでは、リポーターの操作に勝る。スッとつないで、躊躇することなく加速する。シフトアップもきわめてスムーズ。間髪を入れず次のギアに繋がるので、トラクションが途切れず、ショックらしいショックを感じさせずに、シフトチェンジしていく。クラッチが湿式多板であることも、このスムーズさに貢献しているように思える。

リアビューは、これまでのGTI同様、あまり声高にGTIであることを主張していない。左サイドのGTIエンブレムと、ちゃんと後方を向いた丸型デュアルのマフラーが目立つくらいだ。

コースにもなんとか慣れてきた数周後、今度はステアリングのスポーク裏のパドルスイッチを操作しての、積極的なシフトチェンジを試みる。DSGのメリットを強く感じるのは、コーナー進入時のシフトダウンだ。普通のマニュアルなら、ヒール&トゥーを使ってブレーキをかけながらエンジン回転を合わせなければならず、ここに熟練を要するわけだが、DSGはスイッチひとつ。スポーツモードにしておけば、自動的に回転を合わせるためのブリッピングもやってくれて、実にスムーズなシフトダウン。したがって、トラクションが途切れることによるクルマの姿勢変化はきわめて少なく、狙ったラインをトレースしやすくなるというわけだ。

歴代のGTIは、外観上ノーマルとの差はほとんどなく、エンブレムや赤いストライプでGTIであることを表現するのみだったが、今度のGTIは初めて造型からして違う専用のフロントデザインが与えられた。

VW GOLF FAN Vol.2から転載
LE VOLANT web編集部

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