国内試乗

ベストセラーSUVが満を持してのフルモデルチェンジ!『メルセデス・ベンツGLC』【国内試乗】

2015年にGLKの後継モデルとしてデビューしたGLCが、初のフルモデルチェンジを受けた。先代はメルセデスのベストセラーSUVとして人気を博していただけあって、今回の新型でも全方位に渡ってスキのない進化を遂げていた!

特筆すべきは高速走行時のスタビリティの高さ

3月16日に都内で発表された新型メルセデス・ベンツGLCに、ようやく試乗することができた。6年ぶりのフルモデルチェンジを果たした2代目は、本国ドイツでは昨年6月に発表されていたので、日本市場導入まで9カ月ほど待たされたことになる。

伸びやかでスポーティなシルエットとなったことで、Cd値はSUVではトップレベルとなる0.29を実現。

しかも今回導入されたのはディーゼルマイルドハイブリッドのGLC 220d 4マチックのみ。本国には、ガソリンマイルドハイブリッドやガソリン/ディーゼルのPHEVなど、様々なバリエーションがあり、新型のクーペモデルも発売済み。今回は日本にいち早く導入することを優先したというが、他の選択肢の早期導入も期待したいところだ。

ニューGLCは、プラットフォームからすべてが一新されている。とは言いつつも、基本的にはキープコンセプトだ。2015年夏に登場した初代GLCは、手頃なサイズと高い実用性、非常に完成度の高い走りが好評を博し、メルセデスの全ラインナップでベストカラーモデルとなっただけに、今回も冒険はしていない。

【写真25枚】これがCクラス系のベストチョイスか!? 高い完成度を誇る新型GLCの詳細を写真で見る

全長4720mm、全幅1890mm、全高1640mmのサイズは、先代より50mm長く、5mm背が低い。全幅は先代と同じだ。2890mmのホイールベースは、先代から15mm伸びている。サイズ拡大は最小限に抑えられたと言える。

エクステリアは、先代のイメージを受け継ぎながら、全体的に丸みを帯びたデザインとなり、よりエレガントな印象になった。標準装備のデジタルヘッドライトは、細身の楕円形アクセントとブルーのストライプが、まるで昆虫をモチーフにしたジュエリーのようだ。SUVらしい無骨さは薄まったが、高級感はアップしている。

ラゲッジスペースは、標準状態で620Lと、先代より70Lアップ。

しかもサイズアップでラゲッジルーム容量は先代+70Lの620Lに拡大。5人乗車時でもゴルフバッグが3個積載できるというから、実用性も文句ない。

11.9インチの縦型メディアディスプレイには、ゼロレイヤーデザインを採用したMBUXが搭載されたことで、より直感的な操作が可能となっている。

インテリアは、現行Cクラスの血統を感じさせるデザインで、12.3インチのコクピットディスプレイや、11.9インチの縦型メディアディスプレイが存在感を放つ。またレザーとウッド、アルミを組み合わせたインパネ周りは、とても精緻な作りで、ラグジャリー感のある空間を生み出している。

コクピットディスプレイにもオフロードスクリーンを表示できる。

肝心の走りも素晴らしい仕上がりだ。197psと400Nmを発揮する2Lディーゼルターボに、23psと200Nmを発揮する電気モーターのISGを組み合わせたパワートレインは、とてもレスポンスが良く力強い。2トン近い車両重量をまったく意識させない、なめらかでパワフルな加速が味わえる。

パワートレインは、最高出力197ps、最大トルク440Nmの2L直4ディーゼルターボに、同23ps&205NmのISGと9速ATを組み合わせたマイルドハイブリッドのみ。WLTCモード燃費は18.0km/Lと先代に対して19%改善している。

今回の試乗車はエアサスペンションとリアアクスルステアを装備した仕様だったのだが、現行Cクラスと同じMRA-2プラットフォームを採用した新型GLCは、これらのポテンシャルをフルに引き出している。

オプションのリアアクスルステアを装備すれば、低速域では後輪が前輪の逆位相に操舵。最小回転半径は5.1mと小回り性が向上する。

しっかり感がありながらソフトな乗り心地は、間違いなくクラストップレベルにある。コーナーでステアリングを切り込んでもグラつく感じは皆無で、リアがしっかり着いてきて狙ったとおりの走行ラインをトレースできる。ステアリングフィールも非常になめらかでシブさがなく、高級車を運転している感覚に包まれる。

ホイールは18インチが標準で、試乗車のAMGラインパッケージは19インチを装着。

感心させられたのは高速走行時のスタビリティの高さだ。ハイスピードでコーナーに進入したときの圧倒的な安心感は、まさに白眉である。

先代と同様に、GLCは新型もCクラスベースのモデルのなかでベストな出来栄えである。なんだかんだで1000万円級のモデルとなってしまったが、その金額に見合った満足感は確実に得られるモデルだけに、今後もベストセラーの座は安泰だろう。

【Specification】メルセデス・ベンツGLC 220d 4マチック
車両本体価格(税込)= ¥8,200,000
全長/全幅/全高=4720×1890×1640mm
ホイールベース=2890mm
トレッド(F:R)= 1625:1640mm
車両重量=1930kg
エンジン型式/種類=654M/直4DOHC16V+ターボ
総排気量=1992cc
圧縮比=15.5
エンジン最高出力=197ps(145kW)/3600rpm
エンジン最大トルク=440ps(44.9kW)/1800-2800rpm
モーター最高出力=23ps
モーター最大トルク=205Nm
燃料タンク容量=62L(軽油)
燃費(JC08/WLTC)= 19.1/18.1km/L
トランスミッション形式=9速AT
サスペンション形式(F*R)=4 リンク/エア:マルチリンク/エア
ブレーキ(F&R)=Vディスク
タイヤ(F&R)=235/60R18

フォト=望月浩彦

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