1998年のル・マンに3台体制で挑んだTS020
「トヨタ、ル・マン6連覇ならず……」そんな見出しが躍った、今年のル・マン24時間に関するネットニュース。勝って当たり前とまでは言わないが、不断の努力の成果もあって、追う立場から追われる立場になったトヨタ。
昨今の常勝感に上書きされつつあるが、1985年にはじまったトヨタのル・マン参戦が陽の目をみるまでに随分と時間を要したことを思い出す。最初の陽の目は結果だけを追うならば、1992年にCカー規定のTS010が総合2位に輝いたことに間違いない。しかし、少なくとも予選からレース全体の流れを見て、確かなる進化と手応えを感じさせたのは1998年のル・マンに3台体制で挑んだTS020、特にレース終了まであと1時間15分というところまでトップを激走した29号車の姿だろう。
TS020はグループC無きあと、公道走行用の市販車を1台でも生産すればかなり自由度の高い設計が許されたGT1カテゴリーに合わせて製作されたマシーンで、GT(グランドツーリングカー)とは名ばかりで、実質的にはプロトタイプに近しい純然たるレーシングマシーンだった。
メイクアップでは3Dスキャンを駆使して実車の形状を把握し、そのデータを元に客観的なプロポーション表現を目指して1/43にスケールダウンして原型を製作している。写真は9位で完走した27号車(現在品切れ中)だが、28号車、そして惜しくも優勝を逃した29号車も近々に発売予定となっている。
かつてはトヨタの宿敵であったプジョー905を設計したアンドレ・デ・コンタルツの手によるGT1カー離れした印象を醸し出すTS020。ドライバーの居住空間すら空力性能とトレードオフしたという、独創的なフォルムや、フロントタイヤのインナーサイドが露出するフロントカウルなど、このモデルを通じて当時の衝撃がしっかりと蘇ってくることだろう。
極めて高解像度なディテール表現に加え、歩留まりが悪く、多くのモデルカーでは行われない、デカール上へのクリアコーティング塗装、1台1台職人が手作業で磨き上げた鏡面のボディ表面など、\39,600(税込)の価格も実物を見れば納得が行くはずだ。
商品ページ
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取材協力 メイクアップ
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