Garage Life

ヴィンテージと最先端を融合。限られた空間の中で理想を体現した、ガレージハウス。【ガレージライフ】

学生時代から古着好きで、大阪・アメリカ村でアメリカンに魅了された施主。実家の隣地を運よく購入し、憧れていたガレージハウスをを建てることに。

大阪市在住のSさん。生まれも育ちも大阪市内、実家の近所で家族4人、借家で暮らしていた。すると実家の隣の土地が売りに出されることを知り、すぐに購入することに決めたのが、2019年のことだった。土地の面積は67平米(20.3坪)、建ぺい率70%の準防火地域というから、建築できる14坪の中でいかに工夫をして建てるかがテーマとなった。

そこで1,2,3階それぞれに機能を設けて、徹底的にゾーンを区分けした。1階には趣味のガレージとディスプレイができるスペースと収納を設計。家族が過ごすリビング、ダイニング、キッチン、バスルームを2階に配置。3階に子ども部屋、主寝室とすることで、限られたスペースを最大限活用。住宅誌や画像を見ながら好きなタイプを工務店の設計士に伝えていった。

【写真17枚】最先端の家電がありつつ、ヴィンテージな家具をうまくミックスしたガレージハウス 

駆使したのはGoogleのストリートビュー。昔、奥様と旅行に行ったアメリカの海岸沿いに建っていたガレージハウスの印象が強かったことから、ストリートビュ―を毎晩検索して自宅のファサードのイメージをピックアップ。建築条件付きの土地だったため、工務店の担当者にお気に入りの画像を見せてイメージを伝えたそうだ。

SE工法の木造3階建てのS邸は、ガルバニウム鋼板を使いながらも、ファサードのみ吹付け塗装。そして壁面に吹き付けた色に合わせて玄関前にはグリーンのブロックを採用するなど工夫した。

「レムコ」で購入したオーバードアを開けると、縦列に2台収めることができる大きなガレージが用意されている。愛車は1960年式フォルクスワーゲンの、”ダブルピック”と呼ばれる希少なバス。あらかじめコレクションしていたヴィンテージのアイテムをディスプレイするためのガラスケースや棚、そしてスチールのサインなどを用意した。

20年以上も前にアメリカのスワップミートで買い付けたものなどを飾る想像をしながら、住宅の設計依頼をしたという。ポイントは、ガレージの奥に用意されたクローゼットと納戸。そこには生活の必需品が収納できるようになっている。

2階に上がると、ヴィンテージ家具に囲まれたリビング、ダイニングが設計されている。アメリカンヴィンテージファニチャーが似合うことを前提に、素材を選んで施工した職人に細かく指示をし、施工してもらったという。雰囲気のいいヴィンテージファニチャーは、京都に本店を構えてる「70B ANTIQUES」、大阪のアンティークショップ「Shabby Shic」、箕面のハードウェア&ファニチャーショップ「Buff Stock yard」で購入したアイテムだそう。

学生時代から古着が好きだったSさんにとってクルマはクラシック、家具はアンティークに興味を持つことは必然だったといえるだろう。「70B ANTIQUES」で購入したグリーンの棚と、ちょうどいいサイズのアイランドキッチンによりキッチンのイメージが決まり、床面などをSさん夫妻で素材を選んでいったという。

職人に伝わらないところは絵を描いたり、写真を見せたりと苦労はしたが、最後までこだわったディテールにより夫婦ともに納得のいく自慢のガレージハウスとなった。

ポイントはアンティークファニチャーやライトを入れながらも、現代のキッチン食洗器、冷蔵庫などの最新の電化製品があり、その上で昔のアメリカのような雰囲気となっているところだろう。炊飯器やトースターなどはアイランドキッチンの中に収納してしまう、という徹底ぶりである。ガレージハウスが竣工して3年が経過したというが、ご夫婦と2人の子どもたち、愛犬・ラキちゃんと暮らす家にはまったく不満はないという。

お隣が実家のため、困ったことがあったらすぐに祖父、祖母に依頼できることも、これまでとは大きな違いだそう。ヴィンテージなアイテムと現代の電化製品を違和感なく融合させたことで、限られた敷地面積の中でも納得のいく木造3階建てのガレージハウスが完成した。今後の目標は、モノをこれ以上増やさないよう、努力していきたいという。

◆Planning Data
 所在地:大阪府
 敷地面積:20.3坪
 延床面積:132.90平米
 構造:SE工法3階建て
 外壁/内装仕上げ:ガルバニウム鋼板+吹付塗装/漆喰仕上げ
 愛 車:1960年式 フォルクスワーゲン・タイプ2

◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
 オーダーで依頼したグリーンのタイルを張った満足のいくキッチン(奥様)、
 クルマ2台を入れることができるガレージ空間(ご主人)
・ちょっと失敗
 コンセントの位置を考えたつもりだったが、生活してみると足りなかったかなと。
・これからの夢
 アンティークな雑貨、家具が好きなので極力増やさないように努力したいですね。

photo / Keigo KIMURA(木村圭吾) text / Jun ISHIHARA(石原 淳)

注目の記事
注目の記事

RANKING