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「サンルーフは狭くて暑い」はもう古い! 新型「日産リーフ」の「調光ガラスルーフ」が常識を覆す

新型日産リーフ登場! EVの草分けが示す次の一手とは【第3回】

第3世代となる日産「リーフ」の革新性は、エクステリアだけに留まらない。ドアを開けた瞬間に広がるのは、これまでの常識を覆すかのような、広大でクリーンな空間だ。第2回では空力と美が融合したエクステリアデザインを解説したが、今回はその内部、「インテリアと革新装備」に焦点を当てて解説する。

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コンセプトは「フィジタル」:広大な空間を生んだ設計思想

新型リーフのインテリアを貫くコンセプトは「フィジタル(Phygital)」。これは、大型ディスプレイがもたらすデジタルな体験と、実際に触れることのできる物理的な(フィジカルな)空間を、シームレスに融合させるという考え方だ。

この思想を具現化するため、プラットフォームには「アリア」と共通の思想を持つCMF-EVプラットフォームが採用された。最大のポイントは、通常、室内の足元中央に配置される空調ユニット(HVAC)を、エンジンルームならぬモータールームへ移設したことだ。この大胆な設計変更により、前席の足元を遮るセンターコンソールを大幅に低く、スリムにすることが可能となり、まるでリビングのような圧倒的な開放感と、左右のウォークスルーさえ可能な広大な足元空間を生み出したという。

インストルメントパネルは、水平基調のフローティングデザインを採用し、落ち着きとミニマルな雰囲気を演出。中央の大型ディスプレイ(12.3インチまたは14.3インチ)を空間に溶け込ませることで、実際のサイズ以上の広がりを感じさせる。EVならではの「重力から解放されたような軽やかさ」を、インテリア空間そのもので表現したと、日産の開発者は語る。

日本の美意識を宿す「縁側」と「霞」

「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」の思想は、インテリアのディテールにも息づいている。
メーターディスプレイには、日本建築の「縁側」の思想を取り入れた専用デザインが用意された。「縁側」が家の内と外を曖昧につなぐ空間であるように、このデザインは車内情報とナビゲーションなどの車外情報を自然に結びつけ、ドライバーに直感的な情報を提供する。64色から選べるアンビエント照明と組み合わせれば、気分に合わせたパーソナルな空間演出も可能だ。

この「和」のテイストは、後述する革新的な装備にも見られる。日産初採用となる調光パノラミックガラスルーフのシェードパターンには、日本の伝統的な「霞(かすみ)」模様からインスピレーションを得たデザインが採用されており、モダンな空間に和紙のような柔らかな表情を与えている。

調光パノラミックガラスルーフの機能美

新型リーフのデザインと機能性を最も象徴する装備が、この調光パノラミックガラスルーフだ。これは単なる快適装備ではなく、デザインの核心的な課題を、工学的なアプローチで解決したイノベーションである。

開発過程において、クラス最高の空力性能を追求した結果、ルーフラインを低く抑えた流麗なファストバック形状が採用された。しかし、このスタイリッシュなデザインは、後席の頭上空間(ヘッドルーム)を犠牲にするというトレードオフを生む。従来のシェード付きサンルーフでは、シェードを格納する機構の厚み(約20~30mm)が、さらに頭上空間を圧迫してしまう。

このジレンマに対し、日産は逆転の発想で挑んだ。シェード機構そのものを不要にする「調光ガラス」を採用することで、その厚み分のヘッドルームを確保したのだ。結果として、「サンルーフを装着した方が、非装着車よりも頭上空間が広くなる」という、前代未聞のパッケージングが実現した。

さらに驚くべきは、その遮熱性能だ。従来の製品が赤外線を「吸収」してガラス自体が熱くなるのに対し、新型リーフのルーフは赤外線を外部に「反射」させる特殊なコーティングを採用。これにより、真夏の直射日光下でも、シェードを閉めた状態の従来型サンルーフよりも室内温度を低く保つことができる。開発時のサーモグラフィーを用いた実証実験でも、その効果は明確に確認されているという。空力、室内空間、快適性、そしてデザイン。複数の難題を、一つの技術で統合的に解決した、まさに新型リーフを象徴する装備と言えるだろう。

EVとの暮らしをアップデートする先進技術

新型リーフは、クルマを単なる移動手段から、生活をより豊かに、より便利にするパートナーへと進化させる試みがいくつも採用されている。

・Googleビルトイン搭載インフォテインメント

インフォテインメントシステムには、Googleの車載OSを搭載。これにより、スマートフォンで使い慣れたGoogleマップが常に最新の状態で利用でき、リアルタイムの交通情報や充電器の満空情報を反映した最適なルート案内が可能になる。「OK, Google」でおなじみのGoogleアシスタントによる音声操作や、Google Playストアからのアプリ追加にも対応し、シームレスで直感的な操作性を実現した。これは日産のコネクテッドサービス「NissanConnect」の枠組みの中で提供される。

・進化したV2L(Vehicle-to-Load)機能

クルマから電気を取り出すV2L機能が、劇的に手軽になった。従来必要だったスーツケース大の専用機器(パワー・ムーバー)が不要となり、充電ポートに差し込む小型のアダプターだけで、最大1500W(日本仕様)の電力を供給できる。キャンプやアウトドア活動での家電利用はもちろん、災害時の非常用電源として、その活用シーンは大きく広がる。家庭に電力を供給するV2H(Vehicle-to-Home)も継続して採用されており、EVが暮らしのエネルギーハブとなる未来を現実のものとするという。

広大な空間と、それを彩る革新的な装備の数々。新型リーフのインテリアは、移動の概念そのものを変え、乗る人すべてに新しい価値と体験を提供すると日産は意気ごむ。

次回はいよいよ最終回、「技術・走り編」。開発哲学「効率至上主義」が生んだ新次元の走り、15年の知見が凝縮されたエネルギーマネジメント、そして未来の4WDモデルの可能性まで、新型リーフのメカニズムの深奥に迫る。

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