パワーユニットの剛性が高まったことでトラクション性能とコーナリング性能も向上
2025年3月に日産が発表した新商品と新技術の投入計画、そこには今年の後半に第3世代e-POWERを投入するというアナウンスがあった。今回、短い時間ではあるが欧州市場を中心に発売されている「キャシュカイ」で、現行の第2世代e-POWERと比較試乗する機会を得た。そのフィーリングをリポートする。
【画像18枚】第3世代へと進化した「日産e-POWER」! SUV「キャシュカイ」を詳しく見る

2025年度中にヨーロッパ市場で販売されているSUV「キャシュカイ」から、第3世代のe-POWERは順次投入されていく予定となっている。
これまでe-POWERの課題は高速域での燃費と言われてきた。第3世代e-POWERでは、高速域での燃費を15%改善したとのことだ。e-POWERはエンジンで発電し、モーターで駆動する技術であるが、発電特化型エンジンとしてメカニズムを見直すことで燃費改善を実現できたそうだ。
駆動用にエンジンは使わないからターボラグを気にする必要はないので、タービンは大型のものを採用。ミラーサイクル化と低フリクションの徹底。このような技術的アプローチが取られた。第2世代に比べて熱効率も高められており、トルクを向上させながら低回転なエンジンとなり、より発電効率を高めることにスポットを当てた進化を果たしたそうだ。

エンジンは1.5Lターボを搭載。可変圧縮比技術であるVCターボは採用されておらず、より発電に特化したユニットへ進化しているのが特徴だ。
しかし、今回の試乗はクローズドコースでの短時間の試乗であるため、燃費性能に関しては評価することができなかった。だが第3世代e-POWERは走行性能に関してもしっかりと恩恵があることが確認できる時間となった。
まず、ユーザーにとって大きなポイントが静粛性だ。加速時の静粛性は確実に高まっており、車内の快適性はパワーユニットの進化で確実に高まることが実感できた。今までは高速道路での合流など、高速域への加速時にエンジンサウンドの主張が激しくなる印象であったが、それがかなり穏やかになっている。これはパワーユニットの剛性が高まり、車両との共振点マネージメントをより高い次元で実現したことが大きいそうだ。

キャシュカイは欧州を中心に販売しているCセグメントのSUV。今回は第2世代搭載車との比較試乗もできた。
また、パワーユニット剛性が高まったことはトラクション性能とコーナリング性能にも寄与していた。低速からのダッシュは確実に第3世代の方が優れており、トルクを無駄なく路面へと伝えている印象が強まっていた。コーナリング性能に関しても、より安心して高い車速でコーナーへとアプローチできるフィーリングとなっていて、第3世代の方が全域でドライバーが余裕を持って運転することが可能で、緊張感なくよりリラックスして運転することができた。まるでボディ剛性を高めたような仕上がりで、同じボディでこれほどのフィーリングが異なるのには驚かされた。これは高速域での長距離移動が多い欧州市場での評価が高くなりそうだ。
やはり最も気になるのは実燃費の部分であるが、クローズドコースでの短い時間の試乗でも、第3世代e-POWERはユーザーにとって恩恵のある真価が見えた時間であった。
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