自動運転のグランカブリオも登場!
現在、第43回目となる歴史再現レース「ミッレミリア」がイタリアで開催中だが(2025年6月17日から21日まで)、このレースに、マセラティは過去の象徴的な名車と現行モデルとで参加している。これはマセラティのシンボル「トライデント」の100周年記念行事の一環でもあるという。
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この有名なレースは、1927年から1957年に開催されたオリジナル・レースに出場した車両、あるいはその同期間に生産されたクラシックカーを対象とするもので、「動く博物館」とも称される。レースと冒険の要素を併せ持つこのイベントには、29カ国から400台以上の貴重なクラシックカーが集結。走行距離1900kmに及ぶルートは、初期12回のミッレミリア・スピードレースにヒントを得た「8の字」状コースが設定されている。
今年のミッレミリアは6月17日にブレシアをスタートし、イタリアの風光明媚な町々を経由して、21日の土曜日にゴールする。
本題の、これに参加中のマセラティの名車とは、「A6 GCS/53」(シャシーNo. 2043)のこと。個人コレクターが所有するこの個体は、1957年の最終回を含め、1953年から5回連続でミッレミリア・スピードレースに出場した、まさにその車両である。これは当時のミッレミリア最多出場車であるとされており、かつては伝説的ドライバーのルイジ・ムッソなどもステアリングを握った1台だ。
デビューから70年、このA6 GCS/53は、トライデントらしいスリルと興奮を届けるべく、再びミッレミリアの舞台に戻ってきたというわけである。この車両は現在、マセラティの公式レストア部門「マセラティ・クラシケ」による真正性認証プロセスを受けている。このプロセスは、綿密な技術的・歴史的検証を通じて、車両の卓越性と真正性を証明する、権威ある認証を、コレクターに提供するものであるとされている。
そしてこの参加は、マセラティにとって、レース活動100周年に向けた重要な一歩になるとのこと。1926年、史上初めてボンネットにトライデントのロゴを冠したマセラティ・タイプ26が、アルフィエーリ・マセラティ自身の運転によりタルガ・フローリオでクラス優勝を飾っているのである。
参加車両について解説
「スポルト2000」の異名を持つA6 GCS/53は、マセラティを2Lスポーツカー・カテゴリーの頂点に返り咲かせるために開発されたモデル。1953年初頭から高い人気を博し、2年間で53台が生産された。当時のミッレミリアでは、エミリオ・ジレッティが総合6位、2リッタークラス優勝という輝かしい成績を収めた。レースで優勝したことこそないものの、ファンに深く愛されたモデルである。
技術的には、ショートストロークのツインイグニッション、DOHCなどの先進的設計による「スーパークアドロ」エンジンが傑出した高速性能を実現していた 。

また、このA6 GCS/53に加え現行モデル3台がサポートカーとして参加し、ルート全体でマセラティブランドの存在感を高めている。参加するのは「グランカブリオ490」「グラントゥーリズモ・トロフェオ」「グレカーレ・トロフェオ」。各車両には、100年前にデザインされたマセラティ・ロゴの進化を祝う特別なカラーリングが施されている。
さらに、マセラティはミラノ工科大学との協力によってイノベーションも披露。2024年に300km以上の自動運転を達成した、同大学の人工知能自動運転(AIDA)グループが開発した「グランカブリオ・フォルゴーレ」が、今年の「ミッレミリア・グリーン」に参加。未来の電動、自動、共有モビリティに関する研究の新たな一歩を踏み出すのである。
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