
EV教材車両の提供に加えて専門講座も行っていく
韓国最大手の自動車メーカー現代自動車の日本法人・ヒョンデモビリティジャパン(Hyundai Mobility Japan)は、群馬自動車大学校にミドルサイズSUVの電気自動車(EV)「KONA(コナ)」1台を寄贈し、2025年7月28日、その贈呈式が行われた。また、ヒョンデは、教材車両の提供に留まらず、専門講座の提供も行っていくという。
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最新EVの教材車がもたらす教育効果と競争力
一般的にEVの最新モデルは高価であるため、教材として導入することは容易ではないが、今回の寄贈により、学生は実際に市販されている最新EVの構造や整備技術を、実車を通して実践的に学ぶことができるようになる。さらに、ヒョンデ自身がEVの専門講座を提供することで、学生や教員はメーカーの持つ最先端かつ正確な知識と技術に直接触れることができるため、知識やスキルの向上、人材育成に大いに貢献することも期待される。
同校では、あらゆるメーカー系列の車両に触れることができる点も魅力で、今回、最新輸入車EVが加わったことで、教育内容全体の質の向上や、自動車大学校としての競争力向上も見込めるだろう。
未来への投資:ヒョンデが産学連携に踏み出した戦略的理由
ヒョンデモビリティジャパンの七五三木 敏幸(しめぎ としゆき)社長は贈呈式で、「学生の皆さんによく見ていただいて率直な声を聞かせてほしい」と挨拶を行った。
同社は、2022年に日本市場へ再参入しEVの販売を拡大中だ。ディーラー網を展開せず、ユーサーへダイレクトに販売する体制を採用しているヒョンデにとって、アフターサービス体制の充実は不可欠だ。
全国に整備拠点を設置し、拡充を図っていることもあり、未来の整備士である学生たちに自社製品の知識を深めてもらうことは、将来的なサービス網の質の向上と拡充に直結する、長期的な投資とも言えるだろう。
また、七五三木社長は日本市場に再参入した目的の一つとして、「世界で最も厳しい鑑識眼を持った日本市場で、クルマに対する評価について勉強させてもらうため」と語っている。今回の寄贈により、一般ユーザーからの声だけでなく、整備を学ぶ学生たちからの声も聞き、車両開発やマーケティングに生かしていくという。
ちなみに、ヒョンデは新型の小型EV「インスター」の発売が好調で、8月初頭にも、昨年の年間販売台数を超える見込みとのことだ。