スズキの新型EV「eビターラ」が英国で示した「本気度」とは
スズキ初の量産バッテリーEV(BEV)として注目を集める新型「eビターラ」が、日本に先駆けて英国で発売された。日本市場でも2025年内の正式発売が待たれる中、英国での価格やラインナップの詳細は、我が国のファンの期待を大きく膨らませるものだ。特に、スズキが独自に展開する手厚い購入サポートにより実現した戦略的な価格設定には注目が集まる。
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英国価格は約520万円から、スズキ独自の購入補助金「Suzuki Granted」が鍵
eビターラの英国での最大の注目点は、その価格設定にある。ラインナップは全5モデルで構成され、エントリーモデルとなる49kWhのバッテリーを搭載した「Motion 2WD」の価格は26,249ポンド(2025年8月現在のレートで約520万円)からと発表された。
この価格は、英国政府の電気自動車補助金(ECG)の変更に対応するため、スズキが独自に立ち上げた購入サポートプログラム「Suzuki Granted」を適用した後のものである。このプログラムにより、顧客は3,750ポンドもの割引を受けることができ、これは従来の政府補助金の高水準額に相当する。
スズキUKのデビッド・ケイトリー氏はこうコメントしている。
「このオファーは、お客様に分かりやすさを提供するために、補助金の全額に相当するものです。『Suzuki Granted』の発表は、他とは違うことを誇りに思うお客様にとって信頼される自動車ブランドになるという我々のビジョンを真にサポートするものです」
この魅力的なオファーは2025年12月31日まで継続され、期間中にeビターラを注文した顧客には、無料のOhme製家庭用充電器も提供されるという。
新開発の電動4WD「ALLGRIP-e」を搭載した多彩なラインナップ
英国で発売されるeビターラのラインナップは、顧客の多様なニーズに応える構成となっている。バッテリー容量は49kWhと61kWhの2種類が用意される。駆動方式は2WD(前輪駆動)と4WDから選択可能だ。
英国での価格構成は以下の通り。
・49kWh Motion 2WD:26,249ポンド(約520万円)
・61kWh Motion 2WD:29,249ポンド(約580万円)
・61kWh Ultra 2WD:32,049ポンド(約636万円)
・61kWh Motion ALLGRIP-e 4WD:31,249ポンド(約620万円)
・61kWh Ultra ALLGRIP-e 4WD:34,049ポンド(約676万円)

特筆すべきは、スズキが長年の四輪駆動技術の知見を結集してeビターラ専用に新開発した電動4WDシステム「ALLGRIP-e」の存在だ。このシステムは、フロントとリアにそれぞれ独立したモーターを搭載し、パワフルな走行性能と優れた応答性を両立させている。現在、SUVタイプのEV市場で4WDの選択肢を提供するブランドはまだ少なく、今年で55周年を迎えるスズキの「ALLGRIP」技術の伝統が、この先進的なEVにも受け継がれていることは大きな強みと言えるだろう。
手厚い保証とスズキの未来へのコミットメント
購入後の安心感を高めるサポート体制も充実している。eビターラには、法的な要件を2年も上回る、最長10年の車両保証とEVバッテリー保証が付帯する。さらに、ファイナンスオプションとして、年利2.9%のPCP(パーソナル・コントラクト・パーチェス)プランが4年間の支払いで用意されている。例えば、航続距離264マイル=約425km(WLTP)を誇る「61kWh Motion 2WD」モデルの場合、4,830ポンド(約96万円)の頭金で、月々の支払いを299ポンド(約5万9000円)に抑えることが可能だ。
eビターラは、スズキのグローバルな電動化戦略における重要な第一歩である。同社はeビターラに続き、2030年までにさらに4車種の新型EVを英国および欧州市場に導入することを明言している。日本、インド、欧州を3つの主要市場と位置づけ、2030年までには年間販売台数を2023年度比で100万台増の420万台とする意欲的な目標を掲げている。
また、スズキはカーボンニュートラルへの貢献にもユニークなアプローチで取り組んでいる。年間200万台を生産する巨大市場インドにおいて、牛糞から精製したバイオガスを製造・供給するプラントの稼働準備を進めているのだ。このバイオガスは、インドの乗用車市場の約20%を占めるCNG(圧縮天然ガス)車の燃料として利用できるカーボンニュートラルな燃料である。
英国で示されたeビターラの戦略的な価格設定と充実したサポート体制は、スズキのBEV市場への強い意気込みの表れだ。2025年に予定されている日本での正式発表の際には、どのような価格と仕様で我々の前に姿を現すのか、期待は高まるばかりである。
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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。