サーキット試乗

【試乗記】プロをも欺く“扱いやすさ”。車重620kgの英国製レーサー「ラディカル SR3 XXR」が秘めた意外な素顔

ラディカルSR3 XXR
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ラディカル・ジャパン 代表取締役 榎本由香氏
ラディカル・ジャパン マネージングディレクター ダリル・オーヤン氏
ラディカルUKの事業開発マネージャー、クリス・プルーデン氏
右から、ラディカル・ジャパン ゼネラルマネージャー畠山修一氏、同マネージングディレクター ダリル・オーヤン氏、同代表取締役 榎本由香氏、レーシングドライバー 荒 聖治氏、同 田中哲也氏
ラディカルSR3 XXR

日本に本格上陸した英国製レーシングマシン「ラディカル」

英国製純粋レーシングカー「ラディカル SR3 XXR」。車重わずか620kgの車体に、スズキ「隼」ベースの心臓と異次元のダウンフォースを纏う。しかし、その乗り味は過激なスペックから想像されるものとは裏腹に、プロドライバーをも驚かせるほどの扱いやすさを秘めていた。特別なサーキットで見えた、このマシンの本質に迫る。

【画像85枚】これが公道を走れない純粋レーサーの姿。異次元の空力を纏う「ラディカル SR3 XXR」の全貌

公道走行不可、だからこそ純粋な「SR3 XXR」という存在

「ラディカル」は1997年にイギリスで設立されたスポーツカーメーカーである。

以前、日本にもトヨタの開発エンジニアが退社して立ち上げたSTOなるラディカルを扱う代理店があり、東京モーターショーに2011年、2013年、2015年にブースを設けて出展するなど、地味ながらも存在と魅力を示していたものだった。

その頃、富士スピードウェイをはじめ何箇所かのサーキットで試乗させてもらった経験があるが、レーシングカーとしてのポテンシャルとともに、当時は公道走行可能なナンバーの取得を可能としており、この出で立ちで公道を走れるのかということに、少なからず驚かされたものだった。すなわち、それだけ扱い易さも備えていたということでもある。

そのラディカルが、クラフト・バンブー・レーシングの運営による日本での公式デストリビューター「ラディカル・ジャパン」を設立し、販売・サポートを行うことになった。ちなみに、ラディカルはすでに世界25か国にディーラー・ネットワークを持ち、うち14か国ではワンメイクレースのラディカル・カップを展開している。

右から、ラディカル・ジャパン ゼネラルマネージャー畠山修一氏、同マネージングディレクター ダリル・オーヤン氏、同代表取締役 榎本由香氏、レーシングドライバー 荒 聖治氏、同 田中哲也氏

右から、ラディカル・ジャパン ゼネラルマネージャー畠山修一氏、同マネージングディレクター ダリル・オーヤン氏、同代表取締役 榎本由香氏、レーシングドライバー 荒 聖治氏、同 田中哲也氏

ただし、かつてはナンバー取得が可能だったラディカルも、欧州の法規制の変更もあって、公道を走れる仕様の設定はなく、サーキットを主としたクローズドコース専用車両のみとなっている。その中のベストセラーモデルとなっている「SR3 XXR」に、会員制のプライベート・サーキットである「THE MAGARIGAWA CLUB」(千葉県)で試乗させてもらえることになった。

舞台は天空のサーキット「THE MAGARIGAWA CLUB

試乗メンバーはいわば走り系のモータージャーナリスト7名で、この中に選ばれたのは光栄ではあるけれど、実はまだ訪れたこともないコースで、一周3.5kmの中に高低差189m、コーナー数大小合わせて22で、急勾配の上りブラインドコーナーの先は空しか見えないなどと知れば、限られた試乗時間でまともに走らせられるのか、という思いもある。

ということで、まずはレーシングシミュレーターで、MAGARIGAWAのコースをラディカルSR3 XXRで走らせるところから始めたのだが、100ラップ近くをこなしてはみたものの、どうにも攻略できない感を残したままに当日を迎えることになった。

聞けば、他のメンバーもこのコースは初めてだというので、妙な安堵をしながら、この手のレーシングカーにおいては、手始めに必要となるシート合わせをしてもらう。といっても、インラップ、アウトラップを含めて4周の試乗ということで、硬めのスポンジパッドをバケットシートとの腰周りや背中の隙間に合わせて切り貼りして入れ込む簡易的なものだが、これがないとスーパースポーツの比ではないブレーキング時の減速度やコーナリング時の強烈な横Gに姿勢をまともに保てないことは、走り出してすぐに知ることとなった。

純レーシングカーたる所以。SR3 XXRのメカニズム

そのラディカルSR3 XXRは、スペースフレームシャシーに前後ダブルウィッシュボーンサスペンションと調整式プッシュロッドを備え、フルカウルのエアロボディの後方に横置きでミッドシップマウントされるエンジンは、スズキのバイク「隼」(ハヤブサ)の4気筒DOHC 1339cc自然吸気のものをベースとしながら、排気量は1500ccまでアップしたもの。ピストンやコンロッド、クランクシャフトなど主要回転パーツは自社開発ということで、オイル系もドライサンプに変更されている。

ラディカルSR3 XXR

スペックでは最高出力232馬力、最大トルク182Nmと、500馬力越えのスポーツカーにも乗る機会の多い我々にとって、あれ、そんなもの、という印象なのだが、なんといっても車重が620kgしかないというところが純レーシングカーたる証だ。

トランスミッションもバイク用を流用したドグクラッチによる6速だが、それをオートブリッピングを備えたパドルによる変速操作としているため、シフトには特別な気を使わせない。クラッチ操作が必要となるのは発進時と、停車直前から停車まで。発進時もクラッチミートに神経質といったことはなく、エンジン回転をさして高めることなく動きだせるのは、車重の軽さ故なのだろう。

限界には程遠い。それでも伝わるポテンシャルの片鱗

試乗車はシングルシーター仕様で、ステアリングもインパネセンターに位置する。エンジンは11,000rpmまで回すことが可能と伝えられたが、コースに慣れるのが先という状況の中では、シフトインジケーターのレッドが点滅して耳鳴りを起こすほどの高周波のエンジンサウンドに痺れながらシフトするのは、直線部でこそ何とかなったが、ブレーキングは、シミュレーターのようにコーナー進入手前ギリギリまで突っ込んで思い切り減速させるなんてことは、与えられた4周の中ではまったくもって無理だった。

しかもレースから遠ざかって久しい身には久々のスリックタイヤで、さらに市販スポーツカーでは考えられないようなダウンフォースが効いているボディだ。シミュレーターでこそ、空を見上げるような上り勾配の中で容易にオーバーステアに転じてしまうほど踏み込めたアクセルも、慎重を期す操作となってしまい、何の挙動変化も生じずにニュートラスステアでラクに抜けられてしまう。

いかに限界からは遠いところで走らせているのかを自身でも分かるのだが、この域からちょっと頑張ったつもりでも、手応えのあるステアリングに多少早めの操舵速度を与えたつもりでも、安定して忠実に向きを変え、何の不安もなくコーナーをクリアしてしまう。純レーシングカーの楽しさと攻略のしがいの片鱗は知れたものの、歯痒さも残るまま、すぐにピットインの4周目を迎えることになってしまった。

田中哲也選手の同乗走行で開眼。これが本来の実力

これではSR3 XXRの本来の実力も魅力も伝えきれないと思っていたら、媒体の取材や有望顧客向けの同乗試乗のために、大ベテランのレーシングドライバー、荒 聖治氏と田中哲也氏が控えており、有り難いことに同乗が叶ったことで、本来の走らせ方と実力を知ることができたのだった。

同乗用の試乗車は2シーターで、助手席(左側)のバケットシートに潜り込むと、シングルシーターとはやはり前方の見え方が少し違う。ドライバーは田中哲也氏で、聞けばなんと、「MAGARIGAWA」のコースを走るのは同じく今日が初めて、とのことだった。

先に行われていた同乗走行で20ラップ以上は終えていたこともあり、ようやくこのコース走らせ方が分かってきたところ、とのことではあったが、横に乗ることで知れたのは、軽量でいて高いダウンフォースを持つレーシングカーならではの圧倒的な接地性だった。

ブレーキングポイントは、シミュレーターでかなり頑張ったつもりの位置よりさらに奥で、その際の減速度の強烈さとコントロールの自由度の高さ(もちろんABSは非装備)、そこから旋回に入ってからの、かつてドライビングしてきた市販量産車ベースのレースカーでは経験したことのない強烈な横Gレベルの高さ、そこでの予想を超えた安定性とコーナー脱出に至るトラクション性能の高さに、ようやく、こういうマシンなのだと理解した。

それでも田中哲也氏のドライビングはステアリングの修正も最小限だったところからして、限界域からは相当なマージンをもって走らせているはずなので、自分のドライビングがいかにSR3 XXRの能力を失礼なくらいに引き出せていなかったかを恥じることにもなった。

プロをも欺く、自然で扱いやすい挙動の秘密

ただ、田中哲也氏と荒 聖治氏と共にこのクルマの走りについて語らせてもらった際、「LSD(リミテッド・スリップ・デフ)は備えていないみたいだね」という意見に、同じことを自身でのドライビングでも感じていたので、勝手な想像で「扱い易さを重視しているんじゃないですかね」といった話でまとまったのだが、後でスペックを確認してみたら、クワイフ社のLSDが標準装着されていた。

つまりは、プロ中のプロのレーシングドライバーが走らせても、トラクション性能と接地性が高い上に挙動が自然であり、押し出しによるアンダーステアや挙動変化がよく抑えられていると捉えられる。

走行コースの状況やドライバーの好みでサスペンションやスタビライザーもセッティングは変えられるし、デフの最終減速比も6種から選べるが、今回は「MAGARIGAWA」において乗り易いように仕立てられていたのだろう。

ちなみに、SR3 XXRのベース車両の本体価格は21,589,000円(税別)だが、純粋なレーシングカーであることと性能レベルを考えると納得感のあるものだと思える。

日本のモータースポーツにおいても、VITAといった純レーシングカーの入門クラスのレースも参加者が増えている中で、より速さと乗り易さも備えたラディカルと、何よりそのワンメイクレースには、興味を抱く方も少なくないのではないだろうか。

【画像85枚】これが公道を走れない純粋レーサーの姿。異次元の空力を纏う「ラディカル SR3 XXR」の全貌

フォト=ラディカル・ジャパン/Radical Japan、竹内耕太/K. Takeuchi

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