ニュース&トピックス

【歴史とビスポーク】空の英雄に捧ぐベントレー。クルー工場と英空軍チェコ人飛行隊を繋ぐ、マリナーが手掛けた「4台の物語」

ベントレー・プラハによる依頼

2025年11月6日、ベントレー・プラハ(チェコにおけるベントレーの正規ディーラー)は、同社の特別な依頼により製作された限定モデル「Czech Squadron Collection(チェコ・スコードロン・コレクション)」を発表した。ベントレーのビスポーク部門マリナーが手掛けたこのコレクションは、第二次世界大戦中イギリス空軍(RAF)に所属していた4つのチェコ人飛行隊(第310/311/312/313飛行隊)をモチーフにしたものである。

【画像20枚】その魂は空の上でも地上においても変わらない!4台それぞれの詳細を見る

新技術のレーザーエッチングを採用

今回ベントレー・プラハの依頼によって製作されたのは、ベンテイガ、フライングスパー、コンチネンタルGT、コンチネンタルGTコンバーチブルの4車種をベースとしたコレクションであり、それぞれが世界に1台のみのユニークピースとなる。英国国防省の協力のもと、各飛行隊の記章やモットーが車両デザインに取り入れられた。

これら4台共通の特別装備として、各モデルのヘッドレストには新技術のレーザーエッチングを用いて、各飛行隊の記章が再現されている。また、ドアシル部分のトレッドプレートには、各隊が当時運用していた主要航空機のシルエットと、部隊のモットーが刻まれている。

さらに、コンチネンタルGT、GTコンバーチブル、フライングスパーの3モデルでは、回転式ディスプレイ(ベントレー・ローテーティング・ディスプレイ)の文字盤外周に、当時の機体塗装や記章に見られた赤(セント・ジェームズ・レッド)、黒(ベルーガ)、黄色(シグナル・イエロー)の特別色が採用された。

ベントレー・プラハのセールスマネージャー、イジー・ハローセク氏は次のようにコメントしている。「『チェコ・スコードロン・コレクション』は、ベントレー・プラハが依頼した初のマリナー・エディションであり、私たちは自分たちの心情に基づいてテーマを選びました。マリナー・チームのクラフトマンシップと細部へのこだわりは、私たちが期待していた以上のものでした」

各飛行隊を表現した4台の特別仕様

4台のビスポーク・モデルそれぞれの特徴を、モチーフとなった飛行部隊についての解説とともに見ていこう。

【第310飛行隊(コンチネンタルGTコンバーチブル)】

スピットファイアの空迷彩をイメージしたブルー(「サンダー」)の外装色を採用。インテリアは、インペリアル・ブルーのセカンダリーハイド、コニャックのメインハイド、ブルネルのアクセントハイドという組み合わせ。トレッドプレートには、マーリンエンジンを搭載したスピットファイアの機影と「We fight to rebuild(再建のために戦う)」のモットーが記されている。

第310飛行隊は、祖国を追われたチェコ人航空兵が空の防衛に貢献した、最初のRAF飛行隊のひとつであった 。当初はホーカー・ハリケーン戦闘機を運用していたが、後にスーパーマリン・スピットファイアに切り替えた。両機とも、ベントレーの本拠地であるクルー工場で大量生産されたマーリン航空エンジンを搭載していた。

【第311飛行隊(ベンテイガ)】

ベンテイガは第311飛行隊の機体塗装を反映し、「サイプレス・グリーン」の外装、ブラックライン・スペシフィケーション、そしてブラックペイントのホイールで仕上げられた。インテリアはオータムとカンブリアン・グリーン。トレッドプレートには、前席側にB-24リベレーター、後席側にウェリントン爆撃機のシルエットが描かれ、「Never regard their numbers(数など気にするな)」というモットーが刻まれている。

第311飛行隊は、RAFで唯一のチェコ人が運用する中・重爆撃機飛行隊であり、ウェリントンおよびB-24リベレーター機を操縦した 。

【第312飛行隊(コンチネンタルGT)】

外装色はソリッドグリーンの「バーナート」を採用し、ブラックのディテールと組み合わせることで機能的な軍用機のイメージを強調した。インテリアは、ベルーガとアンスラサイトを基調にファーン・グリーンのアクセント、さらにヘリンボーン・チャコール・ツイードも一部に用いられている。トレッドプレートにはスピットファイアの機影と「Not many, but much(少数なれど多大)」のモットーが採用されている。

第312飛行隊はもうひとつのチェコ戦闘機飛行隊であり、ハリケーンとスピットファイアの両方を運用した。

【第313飛行隊(フライングスパー)】

「サイプレス」と「アンスラサイト」のデュオトーン塗装仕上げ。内装はゴンドラ・グリーン」をメインハイド、セカンダリーハイドにグラビティ・グレー、アクセントにベルーガ。4人乗り仕様であり、フルレングスのセンターコンソールが備わる。トレッドプレートにはスピットファイアの機影とともに「One hawk chases many crows(一羽の鷹が多くのカラスを追う)」のモットーが記されている。

RAFカテリックに拠点を置いた第313飛行隊は、主に旧チェコスロバキアから脱出したパイロットで構成された最後のRAF飛行隊であった。同隊はスピットファイアを運用し、時には190ガロンの追加「スリッパー」タンクを装備して、より遠くまで飛行し護衛任務に就くことを可能としていた。

なお、ベントレーの本社工場がある英国チェシャー州クルーは、1938年に航空機エンジンの「シャドー・ファクトリー(予備工場)」として開設された歴史を持つ。同工場では、今回のモチーフである飛行隊が使用したスピットファイアやハリケーンなどに搭載された「マーリン」エンジンが製造されており、本コレクションはそうした両国の歴史的背景を記念するものともなっている。

【画像20枚】その魂は空の上でも地上においても変わらない!4台それぞれの詳細を見る

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

AUTHOR

注目の記事
注目の記事

RANKING