コラム

20年不動のE24アルピナB9をMT化&フルレストア。“世界一美しい”クーペの官能【愛車群像】

1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):BMW 2002ターボとフォルクスワーゲン・ゴルフ1 GTIエッティンガーも愛用しているオーナーの井野さん。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):大型化されたフロントリップスポイラーがエクステリアにおける特筆ポイント。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):ツーリングの際に大排気量NAエンジンならではのフィーリングを楽しんでいる。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):BMWの初代6シリーズであるE24は「世界一美しいクーペ」として知られる。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):スポーティな意匠となっているインテリアも新車のようなコンディション。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):ゴールドのアルピナストライプもB9 3.5クーペの精悍さを引き立てている。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):16インチホイールは端整な造形で、圧倒的なトルクとパワーを受け止めている。
1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型):BMW 2002ターボとフォルクスワーゲン・ゴルフ1 GTIエッティンガーも愛用しているオーナーの井野さん。

1985年式 アルピナ B9 3.5クーペ(E24型)

2025年11月29日、創業60周年とブッフローエ生産終了の節目に開催された「ALPINA BUCHLOE FINAL MEETING」。全国から約140台の新旧モデルが集結した熱気あふれる会場で、こだわりの愛車と共に参加したオーナーたちを直撃取材した。彼らはなぜアルピナを選び、愛し続けるのか。それぞれの物語と情熱に迫る連続インタビューをお届けしよう。

【画像7枚】ゴールドのデコラインが映える。20年の眠りから覚めた「アルピナB9 3.5クーペ」の全貌

20年の眠りから覚めた「世界一美しいクーペ」。2002ターボオーナーが選んだB9

「20年間不動だったんですよ」。

開口一番そのように話してくれた井野さん(取材時63歳)は、現在、BMW 2002ターボとフォルクスワーゲン・ゴルフ1 GTIエッティンガーも愛用。今回のミーティングに参加したE24型のアルピナ B9 3.5クーペは1985年式で、2018年に購入したのだという。

いかにも使い古された感がある決め台詞だが、BMWの初代6シリーズであるE24型は「世界一美しいクーペ」として、いまでも数多くのクルマ好きを魅了している。その洗練されたスタイルは最新のパーソナル・クーペと比較してもまったく見劣りしない。それどころか、場合によってはE24のほうが数段美しいと思えるケースすらあるだろう。

実用性の高さも特徴のひとつとしている初代6シリーズをベースとし、BMW公認チューナーのアルピナが1982年に発表したのがB9 3.5クーペであった。アルピナは世界的に人気を博し、当時はレースシーンにおいても高い技術力を見せつけていたが、B9 3.5クーペには大排気量NAエンジンを搭載。派手さよりも上品さを感じさせる外観を採用し、大型化されたフロントリップスポイラー、お馴染みのアルピナストライプ、端整な造形の16インチホイールなどを装備していた。

4000rpmからが本領発揮。希少色アガットグリーンで味わう「アルピナ・マジック」

オーナーの井野さんもスタイルのよさと大排気量NAエンジンならではのフィーリングがB9 3.5クーペの魅力とのことで、このように話してくれた。

「このクルマを選んだ理由は、なんといってもクーペボディだったからです。そして、珍しいアガットグリーンの外装色もこだわりのポイントになっています。B9 3.5クーペが積んでいるNAエンジンは、4000rpmからカムに乗ってパワフルかつ官能的な走行フィールや加速感を堪能することができます。まさにアルピナらしい走りですね」

以前から自動車趣味人は、アルピナの真髄だといえる“スーパースポーツカーに匹敵する走行性能と優れた快適性が高次元で共存していること”を「アルピナ・マジック」と呼んできたが、上質な乗り心地のよさについても言及してくれた井野さんはB9 3.5クーペでのツーリングを楽しんでいる。購入時に6万9000kmだった累計走行距離は、7万5000kmまで伸びたそうだ。

「アルピナらしい速さ」を求めたフルレストア

いまでこそ、B9 3.5クーペを相棒として、スタイルのよさ、胸のすくパフォーマンス、上質な乗り心地などを満喫できているが、20年間不動だった個体を購入したため、フルレストアしたのだという。

「買ってからの苦労話をするなら、フルレストアしたことですね。その際にトランスミッションをATからMTに変更し、クロスミッションにしました。よりアルピナらしい速さと、走りのよさを味わえるようになったといえます」

今後、増車の計画はありますか? という問いに対して「欲しいクルマは、ありません」と回答してくれた井野さんは、これからも力強い走りを堪能できる愛車たちと充実したカーライフを過ごしていくに違いない。

【画像7枚】ゴールドのデコラインが映える。20年の眠りから覚めた「アルピナB9 3.5クーペ」の全貌

フォト=宮越孝政/T. Miyakoshi

注目の記事
注目の記事

RANKING