コラム

氷上180km/h! 911からアルファードまで限界に挑む、最北の祭典「大沼スノーアタック」

氷点下10度近い気温の中、気合いの屋根開け。ちなみにドライバーはジムカーナのトップ選手。
氷点下10度近い気温の中、気合いの屋根開け。ちなみにドライバーはジムカーナのトップ選手。
こちらのプログレは見た目はおっさんセダンだけど、中身は足周りを中心にモディファイされていてドライバーの腕もあって速い。
パジェロミニと思いきやよく見たらAZオフロード。
氷上イベントではあまり見ないポルシェ964の姿も。
マジェスタだってキレイにドリフト。
今回唯一のフランス車だったシトロエンC3。
まさかのアルファードまで参加してました。
営業ナンバーのアルトまでいるよ。
大沼の隣には稚内空港があります。
ダブルエントリーの車両オーナーとの勝負を制し、総合優勝した尾関敏久選手。
今年は氷の状態が良くなくて穴が開いてしまい競技は一時中断。急遽ミーティングが開かれました。
スパイクタイヤクラスはピレリとミシュランの2メーカーのユーザーが多く、こちらのGT-Rはピレリを選択。
こちらはミシュラン。現在WRCで使われる物とは違って、以前使われていたナロートレッドの物。
こちらは昔のラリータイヤにピンを打ったタイヤ。ヨコハマのMT-14などがよく知られる。
964型ポルシェ911カレラで参加した小本金吾さん。「本当はスパイクタイヤを履かせたいんですけど、ボディに干渉したりで色々大変で」

北緯45度の「聖地・大沼」に響く咆哮。スパイクタイヤが氷を削り、速度の限界へ挑む

温暖化でスノーラリーが激減し、WRCすら北上を余儀なくされる現在。日本最北端の稚内で開催される「大沼スノーアタック」は、単なる地方イベントの枠を完全に超えている。スパイクタイヤで氷上を高速で駆け抜ける非日常は、現代で失われつつある「操る歓び」の結晶だ。ポルシェ911とトヨタ・アルファードが同じ氷上で限界に挑む光景は、モータースポーツが本来持っていた多様性と狂熱を、我々に痛烈に突きつける。

【画像17枚】最北の聖地に響く咆哮。氷点下10度の極限下で繰り広げられた「大沼スノーアタック」を写真で追体験する

ダイナミックな氷上コースで長く愛される「大沼スノーアタック」

モータースポーツにオフシーズンは無し。冬を制するものがシリーズを制する、なんてことも言われているとかなんとか。例えばラリーだと、かつてはスノーラリーも盛んに開催されていたけれど、暖冬の影響もあって最近ではすっかり少なくなりました。WRC唯一のオールスノーイベントであるラリー・スウェーデンも、かつての開催地が雪が少なくなったのでさらに北へと開催地を変更しました。

日本でもスノーラリーは開催されているけれど、もっと身近なのが氷上での走行会やトライアル。本州でも女神湖や八千穂レイクなどで走行会が開催されているけれど、僕のおすすめは北海道。中でも最北端の街、稚内で年に1回開催されている「大沼スノーアタック」は長い歴史を持つイベントです。

まさかのアルファードまで参加してました。

まさかのアルファードまで参加してました。

稚内空港に程近い大沼という沼が舞台のこのイベントには、道内はもちろん全国から参加者が集まる人気ぶり。ダートラと同じく2本のタイムアタックで勝敗を決します。また、本州では使用禁止なことが多いスパイクタイヤを使えることも人気の理由。その年の氷の状況によってコースは変わるけど、2~3kmのコースは全体的に道幅も広く、速いクルマだと180km/h近く出てしまうダイナミックなコースは一度体験すると病みつきになります。

昔はもっと長いコースだったこともあったそうで、僕が以前参加していた頃もコースが長くて覚え切れないほどでした。氷の状況によるけれど、前日には交通安全教室や前日の練習会が、また本番翌日にも練習会が開催され、3日間でお腹いっぱい走れるのも魅力です。

最北の地への冒険。吹雪の先に待つ「宗谷オートスポーツアクション」の温もり

とはいえ、北海道最北端までの道のりは結構大変。雪に慣れている道内の人たちならまだしも、僕のような本州の住人には稚内までの行程自体がちょっとした冒険です。天気が良ければいいけれど、ひとたび吹雪くと大変です。実際、悪天候で稚内までの道が全て通行止めになり、イベントが中止になった年もありました。バイパスが延伸してかなり楽になったとはいえ、旭川からでも約250km、4時間の位置にある大沼へ人々が集まるのは、ダイナミックなコースに加えて、寝る間も惜しんでコース作りをしてくれる、主催者の宗谷オートスポーツアクションのメンバーの皆さんが暖かく迎えてくれることも大きな理由です。

シトロエンC3で参加した井下和幸さん。「会社の仲間たちと初めて参加しました。楽しかったです」

決して大きなイベントではないけれど、家族的な雰囲気で誰でも受け入れてくれることが大きいと思います。参加者もラリーやダートラ、ジムカーナなどの競技経験者から、ドリフトや峠などのいわゆるストリート系や普段は競技やスポーツ走行とは無縁な人まで様々な人たちが参加しています。この懐の深さが人気を集める理由なのかも。

ライセンス不要、必要なのは情熱だけ。冬の北海道が教えてくれる「走りの原点」

排気量や駆動方式でクラス分けされていて、参加している車種も様々。GRヤリスやランサーやインプレッサといった4駆ターボ、ヴィッツやスイフトなどのコンパクトカーなどは言うに及ばず、R32 GT-Rやポルシェ911といった車種まで参加しています。さらにスタッドレスクラスとスパイククラスに分かれています。スパイククラスで使用するタイヤはWRCでも使用されているミシュランやピレリなどから、昔のラリータイヤにピンを打ったヨコハマのMT-14など種類は様々。

964型ポルシェ911カレラで参加した小本金吾さん。「本当はスパイクタイヤを履かせたいんですけど、ボディに干渉したりで色々大変で」

964型ポルシェ911カレラで参加した小本金吾さん。「本当はスパイクタイヤを履かせたいんですけど、ボディに干渉したりで色々大変で」

僕も以前は愛車のプジョー106ラリーにスパイクタイヤを積んで稚内まで走って行って参加していました。千歳周辺の長期駐車が可能な駐車場に置いて帰って、冬の間だけ北海道の氷上イベントをハシゴした年もあったり。初めてスパイクタイヤで走った時はそのグリップ力に驚きました。とはいえ氷上なので滑るんですが、舗装よりは滑って砂利よりは滑らない感じ、と言えばわかりやすいかなあ。ヘタクソなりに楽しく走れてすっかりハマってしまったのでした。

競技会なので敷居が高いと感じるかもしれないけど、実際にはそんなことはなくてライセンスも不要。1人で参加してる人もいるし競技自体が初めてという人も見られます。わからないことは周りの人たちに聞けば教えてくれます。来年は冬の北海道旅行とあわせてぜひ参加してみてください!

【画像17枚】最北の聖地に響く咆哮。氷点下10度の極限下で繰り広げられた「大沼スノーアタック」を写真で追体験する

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