ロータスが描くマルチパワートレイン戦略。独自アーキテクチャが切り拓く新境地
完全電気自動車(BEV)モデルのエメヤ/エレトレを展開し電動化を推進してきたロータスが、新たな方向性としてプラグインハイブリッド(PHEV)モデルを投入した。2026年6月3日、独自の「X-Hybrid」アーキテクチャを採用した新型ハイパーSUV「エレトレX」を発表し、欧州で受注を開始したのである(中国では先んじて3月5日に「For Me」の名で発表)。スーパーカーのパフォーマンスと実用性を両立し、航続距離の不安を解消した注目のモデルとなっている。
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BEVの瞬発力と内燃機関の実用性を融合した「X-Hybrid」
ロータス・グループはロンドンにて2026年6月3日、ブランド初となる独自の「X-Hybrid」アーキテクチャを採用した新型ハイパーSUV「エレトレX」を発表した。完全電気自動車モデル「エレトレ」のラインナップに加わるこのモデルは、BEVのパフォーマンスと内燃機関のサポートを融合させることで、長距離走行の柔軟性を高めたプラグインハイブリッド車である。これまでBEVであるエレトレを中心に展開してきたロータスにとって、顧客を中心に据えたマルチパワートレインアプローチの一環であり、技術的な限界を押し広げる重要なモデルとなる。
X-Hybrid技術の中核を担うのは、容量70kWhの11C高放電バッテリーシステムと、それをサポートする150kWの車載発電機である。この車載発電機の動力源となるのが、排気量1974ccの2.0Lターボエンジンだ。このエンジンは主にインテリジェントな車載発電システムの一部として機能し、走行中や高負荷運転時に利用可能なエネルギーを継続的に補充する。エネルギー回生のみに依存するシステムとは異なり、速度やバッテリーの充電状態に応じて純粋なEV走行、車載発電、ハイブリッドアシストのバランスを最適化し、長距離の移動でも途切れることのないパフォーマンスを提供する。
日常からグランドツーリングへ。超急速充電と1200km超の航続距離
エレトレXは、最新の900Vアーキテクチャと52Lの燃料タンクを組み合わせることで、驚異的な航続距離を実現している。電気のみによるEV航続距離は最大350kmに達し、日常的な運転のほとんどをエンジンを稼働させることなくカバーできる。さらに、総合航続距離は1200kmを超え、長距離のドライブにおいても充電インフラを気にすることなく計画を立てることが可能だ。
充電性能においても、市場に投入される電動車両の中で最速クラスを誇る。最大436kWのDC充電に対応し、350kWのDC急速充電器を使用した場合、バッテリー残量20%から80%までをわずか9分で充電できる。日常の使い勝手と長距離移動の実用性を高い次元で両立させているのが特徴だ。
最大952psの狂気と120kgの削ぎ落とし。健在なるロータス・マジック
パフォーマンスの面でも、ロータスのDNAは一切の妥協を許していない。フラッグシップモデルである「エレトレX H1000」は、デュアル永久磁石モーターを搭載した全輪駆動システムにより、システム最大出力952ps、最大トルク935Nmを発揮する。0-100km/h加速はわずか3.3秒であり、最高速度は230km/hに達する。バッテリー充電量が10%の状態でも3.5秒での加速が可能であり、いかなる条件下でも一貫した性能を発揮するよう設計されている。
こうした強烈な動力を受け止めるシャシーも進化を遂げている。デュアルチャンバー・エアサスペンションや、路面変化に最短2ミリ秒で応答するデュアルバルブ・アダプティブ・ダンパー、最大1400Nmのロール安定化トルクを提供する48Vアクティブ・アンチロール・コントロールなどを採用している。さらに、ボディ構造には気流をインテリジェントに導くポロシティ(porosity)哲学が取り入れられ、ブレーキ時に最大120kgのダウンフォースを発生させるアクティブ・リア・スポイラーなどの空力システムも搭載されている。徹底した軽量化も図られており、エントリーモデルの「エレトレX H550」は、完全電気自動車の「エレトレ900」と比較して最大120kgの軽量化を実現している。
サステナビリティと英国的エレガンスの共存。2つのバリアントと価格
インテリアには、ドライバーに焦点を当てたLotus Hyper OSインフォテインメントシステムや、23個のスピーカーを備えたKEFオーディオシステムが搭載されている。素材にはカーボンファイバーやアルカンターラ、画期的なアップサイクルテキスタイルのWyron Truecycledが採用され、質感とサステナビリティを両立している。
エレトレXは2つのバリエーションで展開される。最大出力550psで0-100km/h加速4.9秒のエントリーモデル「エレトレX H550」は、96,990ユーロ(約1800万円)からの価格設定となっている。そして最大出力952psを誇るフラッグシップモデル「エレトレX H1000」は、119,990ユーロ(約2230万円)からとなる。欧州ではすでに受注が開始されており、顧客への納車は2026年第4四半期から開始される予定である。
【ル・ボラン編集部より】
一度はBEV専業へ舵を切ったロータスがPHEVを投入した事実は興味深い。かつての「軽量化」という金科玉条からすれば異端の大型SUVだが、内燃機関を発電機と割り切ることで、長距離移動の安心感とEVの鋭い運動性能を高次元で両立させている。特筆すべきはBEV版から最大120kg減量した点だ。複雑な機構を積みながらも、高度なシャシー制御で車重を忘れさせる「ロータス・マジック」は健在である。1200kmの足を得た本作は、ブランドが描く新時代のグランドツアラーの真の姿といえる。
【画像19枚】BEV版から最大120kgの軽量化。徹底した合理主義と先進シャシーを備えた「エレトレX」の全貌はこちら



