


















伝統のエレガンスと最先端テクノロジーの融合。グラントゥーリズモら3モデル一挙刷新の全貌
マセラティは2026年6月18日、大幅なフェイスリフトを施した新型「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」「グレカーレ」の3モデルを世界初公開した。ブランドの象徴である「トライデント」が冠されてから100年という節目に登場したこれらのニューモデルは、伝統のエレガンスを継承しつつ、デザインとテクノロジーの両面で飛躍的な進化を遂げている。ここではプレス向けデジタルプレビューのに登壇したマセラティ関係者の言葉を交えながら、デザインを中心とした刷新によってブランドの新たな「意思」を体現した各モデルの進化を紐解いていく。
【画像20枚】気品ある佇まいに潜む狂気。劇的進化を遂げた次世代マセラティ3モデルのディテールを写真で堪能する
100年のヘリテージと「イタリアン・グランツーリスモ」の真髄
112年以上の歴史を持つマセラティにとって、2026年は特別な意味を持つ年だ。ブランドの象徴である「トライデント」ロゴが初めてそのクルマに冠されてから100年を迎えたからだ。デジタルプレビューの冒頭に登壇したマセラティCOO(最高執行責任者)のサント・フィチーリ氏は、
「112年以上にわたり、マセラティはイタリアのクラフトマンシップ、エンジニアリング、そしてパフォーマンスに対する独自のビジョンを通じて、そのアイデンティティを築き上げてきました。マセラティに『トライデント』が初めて冠されてから100年が経った今も、ブランドは創業当時から変わらない魂で未来を見据え続けています」
と、その揺るぎない信念を強調した。
彼らが追求し続けるのは、スペックの数値だけでは語ることのできない、目にした瞬間に胸に湧き上がる感情そのものである。マセラティCMO(最高マーケティング責任者)のクリスティアーノ・フィオーリオ氏によれば、マセラティは常に「イタリアン・グランツーリスモ」という明確なコンセプトに導かれてきたという。デザイン、エレガンス、パフォーマンス、クラフトマンシップ、そして人間工学に基づいたテクノロジーのすべてが、この一つの概念のために存在している。フィオーリオ氏は
「グラントゥーリズモとグランカブリオは、パフォーマンス、エレガンス、そしてグランドツアーの歓びを融合させた、現代のイタリアン・グランツーリスモの最も純粋な解釈を表現しています」
と述べ、これらがブランドの価値を体現する中核であることを示した。
プロポーションを最適化。「明確な意思」を宿す新設計のフロントフェイス
今回のフェイスリフトにおいて最大のハイライトとなるのが、グラントゥーリズモとグランカブリオのフロントフェイスを中心としたデザインの劇的な進化だ。マセラティのチェントロ・スティーレ(デザインセンター)を率いるクラウス・ブッセ氏は、サーキット専用モデル「MCXtrema(MCエクストレーマ)」から始まり、「GT2ストラダーレ」で公道向けに導入され、「MCPURA(MCプーラ)」で洗練されたデザイン哲学を、ついにフラッグシップモデルへ投影したと語った。
ブッセ氏はその大きな変更点について、
「クルマ全体の気品はそのままに、フロントにシャープな水平の構成ラインを加え、フェイス脇のインタークーラー設置個所のダクトをフロントグリルのグラフィック全体に組み込むことで、明確な『意思』を表現しました」
と解説する。
この新しい造形により、車体はよりワイドに洗練された佇まいとなり、全体のプロポーションが最適化された。フロントダウンフォースを向上させるために最適化されたセンタースプリッターや、CFD(数値流体解析)によって開発されたエアカーテンも、この「意思」を裏付ける空力機能である。
DセグSUV「グレカーレ」にも波及。ワイド&ローを強調する新デザイン言語
さらに、グランカブリオには新しいホイールデザインが採用され、両モデルのリアエンドにはモダンさを添えるクリアレンズを配した新鮮なテールライトが装着された。カラーバリエーションにおいてもイタリアのブランドとしてのこだわりが発揮され、フォーリセリエのオプションとして新規カラー「マットグリーン ジュピター」や「ブルー デニム」など7色が追加されている。
インテリアにおいても、ドライバーが常に触れる極めて重要な要素がアップデートされた。上下をフラット化した新形状のマルチファンクションステアリングホイールをはじめ、無機ガラス風防を備え本物の金属素材を使用したオクタゴン形状のデジタルクロック、そしてプレミアムメタルを使用して立体形状を持たせたハプティック(触覚)技術採用のPRNDセレクターなど、現代的なデジタルテクノロジーとクラフトマンシップがシームレスに融合している。
この「明確な意思を伴うエレガンス」という新しいデザイン言語は、DセグメントSUVのグレカーレにも見事に適用されている。フロントエンドに、より水平基調でシャープかつアグレッシブな表現を取り入れることで、ミッドサイズSUVでありながら、さらなるワイド感と低重心を強調する力強い表情が与えられた。
5年の歳月が結実。極限のV6「ネットゥーノ」がもたらす至高のドライビング・エクスペリエンス
デザインの進化とともに、走りもまた劇的な向上を遂げている。開発責任者のダヴィデ・ダネジン氏によれば、グラントゥーリズモとグランカブリオのドライビング・エクスペリエンスは5年間にわたるひたむきな開発の結晶であるという。新しいエンジンとギアボックスのECUセッティングにより、幅広い走行状況でよりレスポンスが良く自然な走りを実現し、エキゾーストサウンドの強化によって、攻めた走りの時により強いクルマとの一体感を味わえるようになった。
さらに、20mm高い専用の車高セットアップを可能にする新しい「カントリー・モード(Country mode)」が導入され、荒れた路面への汎用性も加わっている。内燃機関の頂点に立つ「トロフェオ」仕様には、モータースポーツ由来のプレチャンバー(副燃焼室)技術を採用した高出力V6エンジン「Nettuno(ネットゥーノ)」が搭載されている。
今回の新型グラントゥーリズモとグランカブリオではこのエンジンをさらにチューニングし、従来よりも40ps高い最高出力590psを発揮させ、快適な長距離巡航能力を損なうことなくスーパーカーに匹敵する過激なキャラクターを両立させた。SUVのグレカーレにおいても、北米市場で先行導入された390psを発揮するネットゥーノV6エンジン搭載モデルが新たに加わっている。
航続距離540km以上へ。電動化の先駆者「フォルゴレ」の著しい進化
マセラティの最も先進的なBEV(バッテリー電気自動車)テクノロジーである「フォルゴレ」も、著しい進化を見せている。800Vシステムをベースに、フロントに1基、リアに2基の独立制御式モーターを搭載するグラントゥーリズモ・フォルゴレは、システム総出力1200ps以上を備え、760psの出力を連続してホイールに供給する。
今回新たにAWDディスコネクトシステムが標準装備され、フロントのドライブシャフトを物理的に切り離すことで、わずか0.5秒で後輪駆動へと切り替えることが可能になった。これによりエネルギー効率が最適化され、新しいエネルギー予測アルゴリズムと相まって、グラントゥーリズモ・フォルゴレの航続距離は540km以上へと向上している。
マセラティが歩む次の100年は、決して過去の栄光にとらわれるものではない。112年以上にわたり培ってきたイタリアン・ラグジュアリーの真髄と、最先端のエンジニアリング、そして何よりも「明確な意思」を宿した新しいフロントデザインを武器に、マセラティは現代の「イタリアン・グランツーリスモ」を力強く定義し直したのである。
【ル・ボラン編集部より】
ル・ボランWebにおいて過去の試乗で「スーパースポーツ寄りのGT」と評されたグラントゥーリズモだが、今回の刷新はその二面性をさらに研ぎ澄ませている。100年の歴史が宿る気品ある意匠と、レース直系の空力思想や獰猛な内燃機関、そしてフル電動モデルが放つ静謐な暴力性が、破綻なく一つの骨格に同居しているのは見事だ。特注工房「ボッテガ・フォーリセリエ」の始動が示す通り、最新のテクノロジーを享受しつつも、イタリアの職人技と情熱という歴史あるストーリーを貫くことで、マセラティは新時代のGT像を独自の美学で力強く描き出している。
【画像20枚】気品ある佇まいに潜む狂気。劇的進化を遂げた次世代マセラティ3モデルのディテールを写真で堪能する




