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2026年6月17日に発表された日産の新型キックス。洗練されたデザインと進化した第3世代e-POWER、そして4WDのe-4ORCEを武器に、発売直後から大きな注目を集めている。その証拠に、8月3日時点での受注台数は早くも1万1000台を突破。群雄割拠のコンパクトSUV市場において、異例ともいえるロケットスタートを切った。そんな大ヒットモデルの真価を、モータージャーナリスト石井昌道氏が、FFと4WDの比較から紐解いていく。
【画像37枚】「クラス超え」の走りを予感させる上質なインテリア。新型キックスのディテールを写真で見る
日本市場を本気で見据えた大刷新。注目は第3世代e-POWER
2025年の国内におけるコンパクトSUVの販売台数は約52万台。軽自動車を除けば、もっとも人気の高いジャンルに成長している。キックスもその一員だが、先代は主に新興国をターゲットにしたグローバル戦略車を、e-POWERの搭載などによって日本向けに仕立てたという成り立ちもあり、全体的な質感では少々物足りなさがあった。ホンダ・ヴェゼルやトヨタ・カローラクロスなど強力なライバルにも販売台数では水をあけられていた。
そこで新型は日本市場での販売も強く意識して一気にレベルアップ。エクステリアはワイドでボクシーなスタイルとなり、インテリアも見た目、触感ともに上質になった。さらにルノー・日産アライアンスのCMF-Bプラットフォーム、第3世代e-POWER、そして4WDにはe-4ORCEを採用するなど、中身も大幅に刷新されている。
なかでも注目したいのが、日本仕様では初採用となる第3世代e-POWERだ。発電特化型の1.4Lエンジンと、モーター、インバーター、発電機、減速機、増速機を一体化した5-in-1ユニットを組み合わせ、WLTCモード燃費は従来比11%向上の25.7km/L(XグレードのFF)を実現した。
e-POWERならではの強みと、振動を抑え込む高いユニット剛性
走らせてみると、その数字以上に驚かされるのが静かさだ。市街地ではエンジンの存在を忘れてしまうほどで、感覚的にはBEVにかなり近い。日産によればWLTC市街地モード約10分間でエンジンが始動する回数は、従来モデルの4回に対して新型は1回に減少。5-in-1ユニットの剛性向上やエンジン回転数の低減などによって、市街地での騒音も約4.5dB低減している。
ここにはe-POWERならではの利点が生かされている。エンジンはタイヤを直接駆動しないため、車速やアクセル開度と切り離して運転できる。発電に特化したエンジンならば、効率のいい領域を中心に使うことができ、必要以上に回転を上下させる必要もない。
さらに5-in-1は単なる小型化のための一体化ではない。ユニット剛性を高めることで車体とユニットの共振点の干渉を避け、高精度な組み付けによってモーターやギアなど回転軸の振れも抑制。電動ユニットそのものから発生する振動を小さくすることで、静粛性を高めている。
いい意味で「普通」。電動車特有のクセを払拭した自然でリニアな加減速
加速時はモーター駆動らしい太いトルクがレスポンスよく立ち上がるが、それをことさら強調するような味付けではない。アクセル操作に対する駆動力の出方は自然でリニアだ。減速側も同様で、BレンジやECO、SPORTモードでは回生が強まるものの、アクセルを戻した瞬間に強い減速度を立ち上げるのではなく、ジワジワと高めていく。だから乗員が前後に揺すられにくく、上品なのである。
従来のe-POWERは、太いトルクや強めの回生など「モーター駆動ならでは」を積極的に意識させるところがあった。それに対して第3世代は、いい意味で普通になった。電動車であることを意識せずとも扱いやすく、エンジン車から乗り換えても違和感が少ない。それでいてモーター駆動の滑らかさやレスポンスはきっちり残されている。
この自然さはシャシーにも通じている。CMF-Bプラットフォームの採用によって、ボディねじり剛性は20%、サスペンション横剛性は20%、ステアリングシステム剛性は60%向上。ショックアブソーバーも大径化され、荒れた路面でもボディはしっかりしているのに脚はスムーズに動く。ステアリングの手応えもしっかりしており、ひとクラス上を思わせる質感だ。
FFより意のままに操れる? 4輪を緻密に統合制御するe-4ORCEの魔法
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