海外試乗

【海外試乗】メルセデス・ベンツ改良新型「Cクラス」|EVだけじゃない!本命のガソリン&ディーゼルが新世代パワートレインと最新MB.OSで極めた走りの余裕

メルセデス・ベンツ Cクラス

EV時代でも揺るがぬ内燃機関モデルの存在価値。アウトバーンと郊外路で味わった「伝統のC」の現在地

電動版の「Cクラス・エレクトリック」に続き、日本のユーザーが待望していた内燃エンジンモデルのメルセデス・ベンツ「Cクラス」に史上最大規模の技術アップデートが施された。星が輝く新世代のフロントマスクに一新されたほか、電動補助コンプレッサーを備えた新エンジンやAIを組み込んだ最新の車載OS「MB.OS」を採用。熟成を極めたガソリン車とディーゼル車の実力を、本国ドイツの路上で検証した。

【画像25枚】星が輝く新世代グリルから熟成の走りまで。改良新型「Cクラス」のディテールを見る
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EV版と並行展開される内燃機関モデル。W206型に施された史上最大の技術アップデート

欧州でメルセデス・ベンツ電動Cクラス(Cクラス・エレクトリック)が市場投入されたのに続き、内燃エンジンを搭載するCクラスにも大規模なアップデートが施された。メルセデス・ベンツは当面、電動モデル(BEV)と内燃エンジンモデル(ICE)を並行して展開する方針だ。今回改良を受けた内燃エンジン車は引き続きラインアップに残り、電動モデルには専用プラットフォームを採用する。メーカーによれば、エンジン縦置きを前提とした車体構造に縛られないことで、電動モデルはより広い室内空間を確保でき、設計上の妥協も減らせるという。

Cクラスのルーツは、1982年に登場したメルセデス・ベンツ190にさかのぼる。Cクラスの名称が使われるようになったのは1993年だが、このモデルファミリーの累計販売台数は1200万台を超えた。その実績をさらに伸ばすべく、2021年に登場した現行W206型に、Cクラス史上最も包括的な技術アップデートが施された。

スリーポインテッドスターが輝く新世代フェイスと、AI頭脳「MB.OS」がもたらすデジタル革新

まずは外観から見ていこう。GLCと同様、Cクラスにもスリーポインテッドスターをモチーフとした新しいラジエターグリルが採用された。存在感のあるクロームフレームが、フロントマスクを引き締めている。左右のヘッドライトには、それぞれ星をかたどったデイタイムランニングライトを配置。一部市場では、グリル中央のスリーポインテッドスターも発光する。フロントバンパーも変更され、正面から見た姿には、より堂々とした印象が加わった。

リアコンビネーションランプのデザインは、セダンとステーションワゴンで異なる。セダンはリアにも星のモチーフを取り入れた一方、ステーションワゴンは短いラインを組み合わせた従来の発光シグネチャーを継承する。ステーションワゴンのリアバンパーにも変更はない。

インテリアの基本的なレイアウトに大きな変更はない。室内空間や荷室容量も従来どおりで、セダンのトランク容量は455L、プラグインハイブリッドでは315L。ステーションワゴンは490L~1510Lを確保する。

電動Cクラスの印象的なハイパースクリーンは、内燃エンジンモデルには採用されない。こちらは12.3インチのデジタルメーターと、最大11.9インチの縦型センターディスプレイを引き続き使用する。

ユーザー認証には、従来の指紋認証に代わってカメラを利用する方式を採用。このカメラを使えば、車内からTeamsのビデオ会議に参加することもできる。こうしたデジタル機能を支えるのが、人工知能(AI)を組み込んだ最新のオペレーティングシステム、MB.OSだ。内燃エンジンを搭載するCクラスにも、この新しいソフトウェア基盤が導入された。

ガソリン「M254 EVO」とディーゼル「OM654 EVO」へ進化。全車電動化と第4世代MBUXで全方位アップデート

今回の改良で重点が置かれたのは、パワートレインだ。ガソリン、ディーゼルともに4気筒エンジンを基本とし、電動化技術を組み合わせる。開発にあたっては、将来のユーロ7排出ガス規制も見据えた改良が施された。

ガソリンエンジンは、M254 EVOへと進化した。新開発の電動補助コンプレッサーを備え、低回転域から力強い加速を引き出す。48V電源で駆動されるこのコンプレッサーは、ミリ秒単位で高回転まで立ち上がる。ターボチャージャーの過給が十分に立ち上がるまでの領域を補うことで、ターボラグを抑え、アクセル操作に対してリニアな加速フィールを実現する。

ガソリンモデルの出力設定は3種類。C 200は最高出力130kW(177ps)、最大トルク270Nm。C 250は160kW(218ps)と320Nm、C 300は190kW(258ps)と400Nmを発揮する。

プラグインハイブリッド(PHEV)には、ガソリンエンジンを組み合わせた2仕様が用意される。C 300 eのシステム最高出力は326ps、C 400 eは395ps。電気モーターの最高出力はともに100kW(136ps)で、バッテリー容量も共通の19.6kWhとなる。EV走行換算距離は最大100kmに達するという。充電は11kWの交流充電と55kWの直流急速充電に対応し、急速充電では充電率10%から80%まで約30分で充電できる。

ディーゼルエンジンも2種類が設定される。改良型のOM654 EVOを搭載するC 200 dは最高出力120kW(163ps)、最大トルク380Nm。C 250 dは147kW(200ps)と440Nmを発揮する。ディーゼルエンジンはバイオ燃料にも対応する。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンには、第2世代のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が組み合わされる。最大17kW(23ps)の出力と205Nmのトルクをアシストし、48V電源システムによってコースティング走行やエネルギー回生も可能となる。減速時に回収したエネルギーはバッテリーに蓄えられ、再び加速時のアシストなどに利用される。

日本向けのラインアップは、セダンがC 250、C 250 d、C 300 e。ステーションワゴンにはC 250とC 250 dが用意される。

新しいCクラスには、MB.OSを基盤とする第4世代のMBUXが搭載される。ChatGPT、Microsoft Bing、Google GeminiのAI技術も車内のデジタル体験に取り入れられ、音声操作や情報検索などの利便性を高める。

MB.OSはOTA(Over-the-Air)によるソフトウェア更新にも対応。購入後も機能やシステムをアップデートできるため、長期にわたって車内のデジタル環境を最新の状態に保ちやすい。

「C 250」で味わう高速域の静粛性と俊敏なフットワーク。後輪操舵がもたらす2つの顔

試乗はシュトゥットガルト空港を出発し、南へ向かうルートで行われた。最初にステアリングを握ったのは、ガソリンモデルのC 250だ。

アウトバーンでは速度を上げる機会もあり、高速域でも車内が心地よい静けさに保たれることを確認できた。最高速度は248km/h。高速走行時にも大きな不安を感じさせず、安定した走りを見せた。

この落ち着きに貢献するのが後輪操舵だ。100km/hを超える速度域では後輪が前輪と同じ方向に切れ、走行安定性を高める。高速での車線変更でも、ステアリングを大きく切り込む必要はなかった。

アウトバーンを降りて郊外の道へ入ると、今度はコーナーでの身のこなしのよさが印象に残った。ステアリング操作に対する反応はダイレクト。100km/h未満では後輪が前輪と逆方向に最大2.5度切れるため、車体の向きを変えやすく、Cクラスに機敏さと軽快さをもたらしている。

先行車なしでも赤信号で自動減速! 高度な運転支援「MB.DRIVE」と長距離で光るディーゼル「C 250 d」の底力

走り始めて1時間ほど経ったところで、運転支援システムも試してみた。MB.DRIVEは、装備や選択した機能に応じて運転支援機能を利用できる仕組みだ。今回の試乗車にはMB.DRIVE ASSIST PLUSが搭載されていた。

とりわけ印象的だったのは、先行車がいない状況でも、赤信号の手前でクルマが自ら減速したことだ。その際、私はブレーキペダルを踏む必要がなかった。アウトバーンでの自動車線変更も、ウインカーレバーに軽く触れるだけで作動した。

もちろん、その間も手はステアリングに添え、視線は前方の道路に向けていた。運転支援機能が操作を補助してくれることで、ドライバーの負担は軽減される。さらにシートのマッサージ機能を作動させると、残りの試乗時間を実にリラックスして楽しむことができた。

ステーションワゴンでは、C 250 dに試乗した。低回転域からの力強さは、やはり素晴らしい。ディーゼルらしい低いエンジン音も相まって、頼もしい力感が伝わってくる。パワートレインの余裕は十分で、速度を上げてもエンジンに無理をさせている感覚はない。

長距離を走らなければならないユーザーは、今も数多くいる。だからこそ、ディーゼルには確かな存在意義がある。さまざまな場所で、しかも短時間で燃料を補給できることは、多くの人にとって今なお欠かせない利点なのだ。

EV時代でも色褪せない「ミドルクラス・メルセデス」の余裕。快適性と走りの楽しさを高次元で両立

今回のCクラスのモデル改良は、非常によくできていると感じた。電動Cクラスという新たな選択肢が同じブランド内に登場したなかでも、内燃エンジンを搭載するCクラスは独自の魅力を保っている。ミドルクラスのメルセデスらしい余裕のある走りは、簡単には代えがたいものだ。

少人数の家族で使うクルマとしても、ビジネス用途のクルマとしても、Cクラスは魅力的な選択肢だと思う。長距離では快適に走れ、カーブの続く道ではスポーティな走りも楽しめる。1982年の190に始まる系譜が積み重ねてきた1200万台超という実績に、これからも多くの台数が加わっていくことだろう。

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Photo: Mercedes-Benz

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