海外試乗

【海外試乗】車重510kgに190psの衝撃! ラディカルの入門モデル「SR1 XXR」を本拠地・英ドニントンで体感。GTマシンを凌駕しフォーミュラカーに迫る俊敏性と、驚くべき懐の深さとは

ラディカル・モータースポーツ SR1 XXR
ラディカル・モータースポーツ SR1 XXR
ラディカル・モータースポーツ SR1 XXR

見た目はル・マンカー、中身は生粋のレーシングマシン! 聖地ドニントンパークで味わった「おそろしく扱いやすい」異次元の感覚

ラディカル・モータースポーツはイギリスに本拠を置くレーシングカーメーカーである。現在、「SR1 XXR」「SR3 XXR」「SR10 XXR」「RXC」「RXCスパイダー」の5モデルをラインナップしているが、そのいずれもが、ルマン24時間レースを戦うレーシングプロトタイプカーのような出で立ちをしている。

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いや、見た目が似ているだけではない。本格的なレーシングタイヤを装着するとともにロードカーとは比べものにならないくらい巨大なダウンフォースを生み出し、本格的なロールケージなどを備えたラディカルの各モデルは、レーシングカーさながらのパフォーマンスを発揮する。

このうち、今回はエントリーグレードのSR1 XXR(以下、SR1と表記)にラディカルのホームコースともいうべきドニントンパーク・サーキットで試乗したので、その模様をご紹介しよう。

成り立ちはレーシングカーそのもの! トラス構造のスペースフレームに190psの専用チューンエンジンを搭載

シリーズ中もっともコンパクトとはいえ、SR1の成り立ちもレーシングカーそのものといっていい。シャシーは複雑なトラス構造で組まれたスチールパイプ製スペースフレームで、ダブルウィッシュボーン方式を採用する前後のサスペンションレイアウトもレーシングカーさながら。ボディカウルはグラスファイバーで強化したGRP製となるが、そのオープンボディのスタイリングはかつてのLMP2やLMP3などを彷彿とさせる。

コクピットもスパルタンそのもので、いちおうパッセンジャーシートも設けられているとはいえ、ふたりで腰掛けようとすれば、助手席側の乗員は身体を大きくひねってドライビングの邪魔にならないようにしなければいけないほど、そのスペースは限られている。また、メーターパネルはモータースポーツで用いられるデータロギングシステムそのもので、ダッシュボード周りの景色はレーシングカーとまったく変わらない。

おかげで車重は510kgと、ロードカーはもちろんのこと、世の中にあるほとんどのレーシングカーさえ下回るほど軽量。いっぽうで、モーターサイクル用の1340cc 4気筒16バルブ・エンジンをラディカルが独自にチューニングしたパワーユニットは190psを発揮するので、パワー・ウェイト・レシオは2.68kg/psと驚異的な値を誇る。これがどんな動力性能、そしてハンドリングを生み出すのか、想像するのは難しくないだろう。

走りのダイレクト感はフォーミュラカー級! それでいてエンスト知らずの扱いやすさを兼備する懐の深さ

たしかに、SR1を走らせた印象はレーシングカーとまったく変わりなかった。いや、私はこれまでにGTカーをベースとしたGT2、GT3、GT4などのレーシングカーに試乗したことがあるが、車重が1.5トンほどにもなるハコ型レーシングカーとは比べものにならないくらいSR1の反応は機敏で、意のままに走らせることができる。その印象は、したがってGTベースのレーシングカーよりもフォーミュラカーに近いといったほうが正しい。

けれども、そこはエントリーモデルだけあって、本格的なレーシングカーから想像される気難しさはほぼない。発進にしても、車重が軽いおかげもあって、慎重にクラッチペダルをコントロールすればアイドリング回転数でもエンストしないくらい、扱いやすい。ちなみにクラッチ操作が必要なのは発進と停止時だけで、走行中のギアチェンジはすべてパドルシフトで行う。この辺も、ホンモノのレーシングカーさながらである。

小径のステアリングホイールもステアリングレシオがクイックなので扱いには注意が必要だが、全般的なスタビリティは高いので、タイヤさえ温まれば過剰に心配する必要はない。タイヤのウォームアップ性についても、競技で用いられるスリックタイヤに比べればはるかに良好で、ゆっくりサーキットを1周すれば、次のラップはほとんど気兼ねなく走れるくらいのグリップを発揮してくれた。

1.5Gの横Gでも揺るがない圧倒的なスタビリティ! 無理な進入角度でも狙い通りにトレースできる底知れぬタイヤキャパシティ

そこから徐々にペースアップしていったが、15分ほどの試乗では、とてもタイヤの限界には到達できなかった。これは、私自身がダウンフォースの大きなレーシングカーの扱いに慣れていないということにも関係しているが、感覚的に1.5Gほどの横Gが発生している状態でも前後のタイヤはしっかりとグリップしていて、まったく不安を抱かない。

今回のサーキット試乗は、一種のスポーツ走行中に行われたため、私は他のクルマを避けながら走っていたのだが、一度など、追いついてきたクルマに進路を譲ったところ、次のコーナーに無理な角度で進入しなければいけなくなったものの、そんなときでもステアリングを切り増せば狙い通りのラインをトレースできた。つまり、フロントタイヤのキャパシティはまだまだ余っている状態だったのだ。

端的にいえば、おそろしく扱いやすいのに、パフォーマンスは本格的なレーシングカーに匹敵するのがSR1であるといって間違いないだろう。

圧倒的な軽さがもたらす低ランニングコストも魅力! 公道走行キット開発への期待と、ワンメイクレースへと広がる可能性

では、このSR1、誰がどんな目的で走らせるために生まれてきたマシーンなのか?

サーキット走行で腕を上げたいと望むドライバーには、間違いなくお勧めだ。最初のうちはSR1のパフォーマンスを使い切れずにもどかしい思いをするかもしれないが、限界の高いクルマで練習したほうがより高いレベルに到達できるのは間違いない。たとえばフェラーリ・チャレンジやポルシェ・カップなどといったワンメイクレースに出場している選手がさらなるスキルアップを目指すには、うってつけの1台であるように思う。

しかも、車重が510kgと圧倒的に軽いSR1であればタイヤやブレーキへの負担が少なく、ランニングコストは格段に安上がりなはず。万一クラッシュしても、GRP製ボディの補修は難しくないし、前述したスチールパイプ製スペースフレームもいざとなれば修正が可能とのこと。もちろん、本格的なロールケージを備えているので安全性だって十分に高いことだろう。

このSR1、現状ではナンバー取得ができないサーキット走行専用車となっているが、輸入元のラディカル・ジャパンは公道走行を可能とするコンバージョンキットの開発を検討しているので、もしもこれが実現すれば、トランポを使わずにサーキットまで自走できることになる。そのコスト面でのメリットも決して小さくないはずだ。

つまり、SR1は比較的低コストで本格的なレーシングカー走行に必要なスキルを身につけるのに最適なモデルの一例ということになる。さらに、お望みとあらば兄貴分にあたるSR3 XXRを用いたワンメイクレースが来年から日本でも開催されるので、そのままレースの世界にどっぷりとはまるという手も残されている。つまり、SR1はあくまでも出発点で、その先の可能性が大きく広がっているのである。

ラディカル・モータースポーツが取り組むレース活動などについては、別の機会でじっくりご紹介することにしたい。

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Photo: Andrew Coles / Radical Motorsport

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