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国内メーカー中間決算、やや厳しい状況に

主要マーケットの販売減少に加えて円高の影響も

国内乗用車メーカー7社の2019年度中間決算(2019年4-9月の上期決算)が出揃った。数字は別表の通りだが、トヨタ自動車とSUBARUを除く5社が減収減益。明暗が分かれる結果となる。


トヨタは売上高、純利益ともに上期として過去最高を更新。円高傾向による為替差損は900億円におよぶが、世界販売の増加がそのマイナスをカバー。新型RAV4に代表されるSUVの販売増、新型カローラの投入などが奏功し、メインマーケットの北米を始め欧州、中国を含むアジア、日本とほぼ全世界で販売が増加。別項でも触れているように2019年1-9月の世界販売ではフォルクスワーゲンを上回っており、さらにトヨタお得意の原価低減の効果もあり、ここにきて底力を示した感じだ。
一方で2018年度上期、2018年度通期は過去最高の売上高だったホンダは、二輪車の販売低迷などで一転。売上高の減少に加え円高による為替差損も507億円におよび、営業利益、純利益とも減少。新型N-WGNの電動パーキングブレーキの不具合による生産中断、同じ理由での新型フィットの投入遅れの影響も避けられない状況にあるが、ホンダらしい挽回策
にも期待したいところだ。
日産自動車は2018年から厳しい状況が続いており、2019年上期も売上高、利益ともに減少。販売台数は北米、欧州、日本ともに振るわずグローバルで6.8%減となり、それに275億円におよぶ円高差損が加わって厳しい状況となる。カルロス・ゴーン氏が去った後の社内体制の建て直しも含め、正念場を迎えている。
スズキも2018年度上期は売上高、営業利益、純利益、世界販売ともに過去最高を更新していたが、2019年度上期は一転してすべてマイナスに後退。主力マーケットのインドでの新車販売の減少、日本国内での検査不正による生産減などが影響しており、営業利益が上期にマイナスとなったのは8年ぶり。これに円高による差損が追い打ちをかけた形だ。
マツダも新型車1台当たりの利益は向上しているものの販売台数が伸びずに売上高が減少。これに300億円を超える円高差損が加わって営業利益もマイナスとなる。北米でのSUVの販売増、マツダ3、CX-30といった第2世代の新世代商品群の躍進が回復のカギとなるが、年度後半にその投入効果がどう現れてくるのか注目したい。
このところ順調に回復していた三菱自動車も、日本では軽自動車が好調な半面、中国の景気停滞や北米の販売減で利益率の高いSUVの販売が低迷。それに円高が加わって営業利益、純利益ともに大幅に減ってしまう。大幅なコスト減を打ち出して収益力の回復を図る考えだが、回復にはやや時間がかかりそうだ。
こうした中でSUBARUは2017年-2018年の検査不正、リコール問題などで大幅に落ち込んでいた状況から脱し、増収増益へ転換。新車販売は北米および日本国内で好調を保ち、円高やこの秋の台風19号による操業短縮などマイナス要因も抱えてはいるが、新型レヴォークやインプレッサの投入で勢いを維持する構えだ。
トヨタとその傘下に入ることになったSUBARUの2社が奇しくも好調を保ったが、2019年度通期(2019年4月-2020年3月)の見通しはトヨタ以外の6社が下方修正を余儀なくされている。日本の経済全体にも影響をおよぼす乗用車メーカーの業績だけに、今後も注目していく必要がありそうだ。

ル・ボラン2020年1月号より転載
田畑修

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