一般道でも自動運転に必要な50cm以下の相対地図精度を確認
トヨタの自動運転ソフトウェアの先行開発を行なうトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)は、コストの問題から広範囲での網羅が難しく自動車専用道路に限られていた高精度地図生成に対する効果的手法を追及。このほど複数のパートナーと実証実験を実施し、それを通じて自動運転に必要な相対精度50cm程度以下の地図生成が可能であることを確認した。
今回の実証実験では、「専用の計測車両を使用せずに、衛星や一般車両から得られる画像データなどを元にして自動運転用の地図情報を生成する」、「TRI-ADの自動地図生成プラットフォームである”AMP”上の車両データのデータ形式を変換し、アルゴリズムを補正することで他社のプラットフォームで活用する」といった2点を検証。いずれも高精度地図生成に有効であるという結果を得た。これらの実験成果を活用することで、自動運転用地図の更新期間の短縮、エリアの拡大、作成および維持コストの大幅な削減が期待できるという。
実際に行なわれた実験の概要だが、宇宙技術ソリューションをリードするマクサー・テクノロジーズ社(Maxar)と日本のITサービスを牽引するNTTデータとTRI-ADは、2019年4月25日より3社合同で高解像の衛星画像を用いた自動運転用高精度地図の自動生成に向けた実証実験を実施。その中で、衛星画像に写る自動車や影、建物の倒れこみによる遮閉などの地図以外の要素を自動で解析、除去、補正することで必要な地図情報を自動抽出することに成功。東京23区と海外6都市で、自動運転制御に活用できる相対精度25cm程度の地図生成を実現し、自動運転用地図として有用であることを確認している。
一方、道路インテリジェンスのプラットフォームを提供するCARMERAとTRI-ADは、東京23区と米国2都市で一般車両にも搭載可能なドライブレコーダーを使用した自動地図生成技術を検証。ドライブレコーダーのデータのみで自動運転に必要な相対精度40cm程度の地図生成に成功している。両社が連携、CARMERAと同じマシンラーニング技術などを使用することで自動運転に必要な最新情報を判別しHDマッピング・システムに送信、更新することが数分でできるようになるという。これにより、AI認識に必要な画像データを収集し、幅広いエリアの地図生成の可能性について実証できた。
さらにTRI-ADは、位置特定技術をリードするTomTomと新たな実証実験も実施している。ここでは、TRI-ADが集めたAMPの車両データの信頼性を検証。TomTomのクラウドベースの地図生成プラットフォーム用にデータ形式を変換し、TomTom独自のアルゴリズムを活用して入力することで自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成と更新に成功している。
また、TRI-ADは新たに世界をリードする位置情報データと位置情報技術のプラットフォームを提供するHEREとの共同実証実験も実施。TRI-ADの車両データの位置誤差をHEREの高度セルフヒーリング技術で補正することで、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成に成功した。車両データをHEREプラットフォームに入力することで、HERE独自のアルゴリズムで高精度の一般道地図を自動生成することができる。同社のHDライブマップは、すでに世界有数の自動車メーカーのレベル3自動運転開発プログラムにおいて採用されている。