
豊富なノウハウがあるからできる安定感があり安全なカスタム
ジムニーのカスタムの手法は、実はJB23/43である程度完成した感がある。ユーザー側にも「手を加えたジムニーとはこういう形」というひとつのイメージがあると思う。が、JB64/74があまりにノーマルで完成度が高いクルマゆえに、イジるのに高度なノウハウが必要になったことも確かだ。
だが、ピストンウィッツのJB64を見るかぎりでは、それは杞憂なようだ。先代のカスタムで蓄えた豊富なノウハウを基に、「乗りやすく安全でスタイリッシュなカスタム」を標榜した。
まず足回りのチューニングだが、同社オリジナルの2インチアップのサスキットを使っている。ビルシュタイン製ダンパーをコアに、コイルや補正パーツをキット化したものだ。現行ジムニーは、リフトアップ量によっては見た目のバランスが悪くなるため難しさがあるが、2インチアップというチョイスは見事に成功している。
さらに、同じくビルシュタイン製のステアリングダンパーを装着することで、リフトアップやタイヤ&ホイールのサイズアップによるハンドリングの悪化を改善した。
タイヤは定番のジオランダーM/T。185/85R16と少々控えめなサイズを採用しているが、自然なハンドリングに加えて、無理のない見た目のバランスを実現している。
エクステリア用のドレスアップは意外と少ない。ジムニー用パーツではスタンダードなアピオのタクティカルグリルに、ハイブリッジファーストのフェンダーシルガード、サイドシルガードを装着。ノーマルの外観の良さを崩すことなく、さりげなくモディファイした。
チューニングは、スロコンの装着をはじめ、走りやすさを最優先に。どこを取っても質実剛健な1台だ。
吸収性はピカイチ! すでに熟成の足まわり
ハイレベルオールラウンダー。この言葉は、どこのショップも称されるのを望んでいる。しかし、実際はバランスこそ優れていてもイマイチ。武器がないのだ。武器というのは、他と違う決定的な優位性。それがあってこそ、ハイレベルオールラウンダーという敬称を吟味する土俵に名乗りを上げることが許されると思う。
ウィッツのJB64も目指すはハイレベルオールラウンダー。では、武器は? ウィッツにはビルシュタインという武器がある。江頭氏は、JB23から培ってきたビルシュタインマイスターとしての実績がある。今回のJB64ではかなり苦労したと聞いている。
では実走して検証だ。まずオンロード。今回の仕様は2インチアップのスタビ付き。回頭性はニュートラル。レスポンスは小気味よくクイックすぎない。しっとりとしたハンドリングが好感持てる。クルマの挙動が穏やかで、多少の荒れた路面でも気にせず走れる。基本的に乗車フィールは柔らかく、乗り味はいい。ハードな印象は皆無と言っていい。それでいて一定量のロールで車体姿勢が決まる。これはスポーツ志向のユーザーが乗っても楽しく走れる。
次にオフロード。江頭氏の要望で、ダートをチョイス。当日の路面は、かなり荒れ放題。「いいの?」と聞くと、「どうぞ!」という返答。遠慮なしにアクセルをWFO。サスペンションがよく動いていなしてくれる。ギャップの吸収性が良い。安心感が高く、ドライバーにゆとりを感じさせてくれる。
クロカンステージも走ってみたのだが、さすがにスタビ付きではフロントのストロークは期待できない。しかし、接地感が分かりやすく扱いやすい。
現状、トータルバランス的にハイレベルオールラウンダーの最右翼と言えるサスペンションだ。
SHOP’s VOICE
サスペンションキットとホイール&タイヤをセットにした新車コンプリートカーの販売が、お客様からご好評いただいております。ジムニー専門店として培った20年のノウハウを注ぎ込み、お客様によって違うニーズを形にしていきたいと思います。
TUNER’s VOICE 江頭裕司さん
かなり苦労しましたけど、ようやくJB64用1インチUP/2インチUPと、JB74用2インチUP/3インチUPが完成しました。乗って楽しく、快適なサスペンションとなっていますので検討してください。