モデルカーズ

クラシック・ホットハッチの代表格!イタレリ製プラモ「ルノー5アルピーヌ」を本気で作り込む【モデルカーズ】

瀟洒なハッチバックにほんの少しの熱血をプラス

アルピーヌとは、レーシングドライバーにしてルノーのディーラーであったジャン・レデレが興したチューニング/コンプリートカーの製作メーカーである。A110などのモータースポーツ活躍で不動の地位を築き、1973年には完全にルノー傘下となったが、そのアルピーヌ初のコンプリート・チューニングモデルとして、1976年5月に登場したのが5アルピーヌだ。

ゴルディーニが前年アルピーヌに経営統合された(これが後のルノースポールになる)ことにより、「ALPINE」の名称が商標権の関係で使えない英国ではゴルディーニを名乗ったが、実際に8ゴルディーニの後継モデルとも言える。搭載エンジンは1379ccに排気量アップしたブロックに圧縮比10の専用クロスフローヘッドを組み合わせたもので、シングルキャブながら93馬力を発生。このパワーは5速マニュアルを介して175Km/hの最高速を発揮した。サスペンションも強化されワイドタイヤを装備し、オプションでアルミホイールも用意。

外観はエアダム一体のフォグランプ付き大型バンパーと専用ストライプが特徴で、インテリアは専用ハイバックバケットシートに革巻きステアリングを装備。ゴルフGTIと共にボーイズレーサーの先駆けとして勇名を馳せ、モデル末期の1982年にはターボ化(110馬力)、さらにこのエンジンをチューンナップしてミッドシップにした5ターボ(WRCグループB参戦モデル)へと発展した。1985年のフルチェンジでシュペール5となってからはアルピーヌの名はなくなったが、ホットハッチとしての後継モデルはその後も連綿と連なっている。また、2024年にEVとして復活するという話もあるようだ。

ここでお見せしているのは、イタレリ製1/24スケール・プラモデルの5アルピーヌを組み立てた完成品である。元はエッシーによるもので1980年代前半にリリース、当時のグンゼ産業(現GSIクレオス)から日本語版も発売されていた。ノーマルだけでなくラリーバージョン数種類、さらにポリスカー仕様もあったが、エッシーの廃業により再販は長いこと行われず、金型を受け継いだイタレリが2018年末、ついに再リリースしたものだ。ラリーバージョン一種とアルピーヌというバリエーションになっているが、イタレリ製となってからはガラスパーツの透明度が上がり、デカールも新しくなるなどアップデートされている。

やはり30年以上前の設計ゆえ、組み立ては今のキットのようにすんなりとは行かず、摺り合わせや加工が必要な所がどうしても出てくるようだ。実車と異なる箇所の修正も含め、以下、その制作過程を見ていこう。

顔つきや足周りの修正でさらにそれらしく
ボディ周りの加工は基本的に5TLと同じだ。加えて、ヘッドライト位置が実際はもう少し中央寄り、つまりフェンダーに食い込む部分が実車は少ないと気付いたので、プラ板で埋めて成形。ヘッドライトが小さく反射鏡もないので、レンズをBEEMAXのボルボから、リフレクターはフジミ製ジャパン後期のパーツから流用した。外枠としてプラ板で囲い内側はグレー、外側はブラックで塗装。フロントバンパー灯火類のリフレクターは、当該箇所にリューターで窪みをつけミラーフィニッシュを貼り付け。フォグランプのネジの入る部分は切り欠かれているのでやすりで整形、孔を開けて虫ピン1番を植えた。

フロント足周りの軸が細くモロいので、伸ばしランナーに置き換え太くした。ロアアーム側の軸位置は外側にズラし(写真は横にして見た状態。左が加工後)、アーム自体も外側に延長し孔を開け直す(右が加工後)。ホイールは表面の荒れが気になるのでディスク部を切り離し、リューターで回転させながらヤスリを当てて均した。リムはフジミのアルト・ワークスの部品から切り出して組み合わせる。

ナットも一緒に削れてしまうので、事前に穴を開けておきボルトを植えた。エンジン周りはデスビと配線を加え、エアクリーナーの取り付け角度を修正しパイプを追加。このパイプのエキマニ側付け根部分に遮熱板が付き、その傍にマスターシリンダーとヒーターブロアモーターつきの室内空気取り入れ口があるので、これらも再現した。エアクリーナーケースとキャブレターの間の蛇腹はタミヤ製ハコスカのエアクリーナーから加工流用、パイプはプラ棒に伸ばしランナーを巻き、遮熱板はプラ板の箱組み。ブロアモーターはルノー4のエアクリーナーとバッテリーで自作した。

インテリアはキットのままでもかまわないのだが、メータクラスターが小さく形も似ていないのと、ステアリングホイールも小径である点が気になるので、作例では自作や流用で対処している。
作者曰く、「今回は、以前のTLで到らなかったところの修正をメインに、出来る限りの加工をしてみたつもりですが、また新たに挑戦してみたくなる、そんな魅力のあるキットだと思います。この作例から皆様にとって何かしらのヒントが見つかれば幸いです」とのことだ。

作例制作=森山琢矢/フォト=服部佳洋 modelcars vol.280より再構成のうえ転載
CARSMEET web編集部

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