モデルカーズ

幅を詰めるとスゴ味が増す!アオシマ製プラモ「スカイラインGT-R 1970年第2回JAFグランプリ」を大改造【モデルカーズ】

出場4台中唯一のリタイア車をあえてチョイス!

日産が誇る名車、スカイラインGT-Rは、レースのために生まれたクルマだ。3代目スカイラインの2000GTをベースに、「R380のエンジンをデチューンした」という触れ込みの2L 直6DOHC 24バルブ・エンジン、S20型を搭載して1969年に登場したのが、最初のGT-Rであった。

【画像79枚】スマートに生まれ変わったハコスカ4ドアRと、その制作過程を見る!

1969年春の第1回JAFグランプリでレースデビューを果たしたスカイラインGT-R(PGC10)は、トヨタ1600GTに次ぐ2位でチェッカーを受けたが、トヨタの過激なチームプレーが走路妨害と判定され、GT-Rの繰り上げ優勝となった。これがハコスカ52勝の記念すべき1勝目である。同年、GT-Rは出場した11戦全てで優勝したが、トヨタは新たにマークⅡ 2000GSSを投入、マツダ・ファミリア・ロータリークーペも参戦し、1970年シーズンはさらに熾烈な戦いが予想されていた。

1970年5月に開催された第2回JAFグランプリ・TSレースに日産ワークスは4台のGT-Rを投入、本戦ではグリッド最前列に4台が並ぶ絶好のスタートとなった。レース序盤、高橋国光の57号車がスタートダッシュに成功、華麗な高速ドリフトで観客を大いに沸かせたがタイヤトラブルで脱落、その後は3台のGT-Rがファミリアとのドッグファイトを展開。結果、優勝は黒沢元治の58号車、2位に都平健二の59号車が入り、3位のファミリアを挟んで4位にも箕輪真治の56号車が入るという圧倒的な結果となったのである。

アオシマのボディを幅詰めし、さらに前後をフジミと入れ替え!
さて、ここでお見せしているプラモデル作例は、このレースで唯一完走出来なかった57号車を再現したもの。3代目スカイライン、いわゆるハコスカのセダンは、1/24スケールでアオシマとフジミからリリースされているが、当作例はアオシマを使用したものである。このキットは、ハコスカ/ケンメリ/C130ローレルで共通のシャシーのため、その弊害かやたらと幅が広い。そこで、作例ではフジミ製2ドアGT-Rのフロントとリアを移植して幅詰め工作を行なった。

前ドア前端のスジ彫りでノーズを切断したアオシマのボディを、ルーフとリアデッキの左右端で切断して3枚におろし、側面部分をフジミのノーズに接合、左右を削って幅を合わせたルーフとリアデッキを再接合、リアエンドも切り取ってフジミに置き換えている。この方法だとフロントフードやルーフ、リアデッキの中央に接合線が出ないので、経年劣化の影響が出にくく、フジミ製シャシーとの勘合にも都合が良い。インテリアもフジミのフロアを基本とし、アオシマのセンターコンソールやペダル、ダッシュ正面などを移植している。

なお、この時代の日産ワークスカーは機密保持のためかレース終了後ただちにスクラップにされたと言われ、実車は現存せず、資料写真もきわめて少ない。そのため、当時のニュース映像と、日産自身が保有する1969年ワークスカー復元車(レプリカ)を資料に制作したのだが、ロールバーの形状やダッシュボードなど、内外装のディテールは必ずしも正確と言えないことをお断りしておく。

また、1969年復元車を見ながら制作したためか、作者のミスにより、リアガラスの熱線をうっかり除去せずに取り付けてしまっている。復元車には、PGC10(GT-R)には無いはずのリアの熱線がなぜか入っているのだ……。本作例を参考に同型車を制作される読者諸兄は、この点くれぐれもご注意を。その他、工程の詳細については工作中の写真にキャプションとして付してあるので、じっくりとお読み頂きたい。

作例制作・文章=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.273より再構成のうえ転載

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