コラム

給油規定のピットストップ戦略が明暗を分けたレースは「Studie BMW M4」が今季初勝利! スーパーGT第3戦鈴鹿ラウンドGT300クラスリポート

大胆なピット戦略が奏功した波乱のレース

2023シーズンのSUPER GTは、ロングディスタンスとなる第3ラウンド「SUZUKA GT 450㎞ RACE」を三重県の鈴鹿サーキットで開催。全27台がエントリーするGT300クラスの各マシンは、季節外れの台風一過となった土曜日の予選を経て、6月4日(日)の決勝レースを迎えた。

2万人を超える観客を動員した決勝当日の鈴鹿サーキットでは、三重県警察の白バイ隊とパトカーによる「交通安全啓発パレード」のフォーメーションラップから、定刻の13:30に決勝レースがスタート。長丁場ということもあってか、ポールポジションの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)を先頭に、#11 GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介)、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)、#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)らトップ3以降のマシンも順当に1コーナーをクリアしていく。

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今大会は5月の富士スピードウェイ戦と同様に2回の給油ピットインが課せられる450kmレースということからか、16番手スタートの#7 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝)と予選20番手に沈んでいた#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)がスタートラップで1回目の給油ピットイン。続いて上位グループからスタートの#2 muta Racing GR86 GTも早々に給油ストップを消化するなど、フルコースイエローが多い鈴鹿のロングディスタンスを見越した大胆な戦略に賭けるチームが現れた。
そんなレース序盤の6周目に#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が、前戦と同じようにリアタイヤ脱落でコース上に停車したことでセーフティカーが導入されると、2位以下を着実に引き離していた#61 SUBARU BRZ R&D SPORTは一気にアドバンテージを失ってレースは振り出しに戻る。
このフルコースイエロー解除後のリスタートから、各車1回目の給油ピットインでポジションめまぐるしくが入れ替わる中、スタート早々に1回目の給油ストップを消化済みの#2 muta Racing GR86 GTと#52 GB GR Supra GT、#7 Studie BMW M4の3台がレース中盤でトップ3に躍り出た。

もちろん全77ラップ(GT500)の長距離レースは予断を許さないが、中盤の36ラップ目に3番手の#7 Studie BMW M4と2番手走行の#52 GB GR Supra GTが同タイミングで2回目のピットイン。そのピット作業でポジションを逆転した#7 Studie BMW M4が2回目の給油義務を終えた直後の#2 muta Racing GR86 GTをオーバーテイクすると、GT300全車が給油義務を終えた49周目以降はトップを走る#7 Studie BMW M4を#2 muta Racing GR86 GTが猛追する展開となる。
ところがGT500クラスが59ラップ目を走行中に波乱が起きた。鈴鹿の難所である130Rで3台が絡む展開があり、コントロールを失ったGT500クラスの#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)と接触してマシンが大破、赤旗中断のままレースは終了となった。

この時点まで#2 muta Racing GR86 GTの激しいプッシュを凌ぎきった#7 Studie BMW M4が今季初勝利。#52 GB GR Supra GTも3位表彰台を獲得するなど、想定外のクラッシュが影響したとはいえGT300クラスのラウンド3はピット戦略が明暗を分ける展開となった。
シリーズの折り返しとなるラウンド4は8月5-6日の富士スピードウェイ戦。このインターバルの間にどれだけマシンのセッティングと戦略が煮詰められるかで今シーズンの最終到達点が変わってくるだろう。

スーパーGT公式HP https://supergt.net/

フォト=田村 弥/W.Tamura
CARSMEET web編集部

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