Garage Life

ヨーロッパを表現したガレージは、経年変化にも負けない堅牢さが魅力。母屋に合わせて建てた別棟ガレージ。【ガレージライフ】

ヨーロッパテイストのエイジング加工のガレージには、施主の要望でなんと”射座”が設けられ、アンティークな建具も採用された、”趣味の城”

2009年に建築されたS邸の母屋は、約400坪の敷地に輸入住宅メーカーで建てたビルトインガレージ。ガレージにはクルマが4台、オートバイが3台入れられていたという。2021年に新たにマセラティを購入することになり、ガレージにクルマを収納しきれず、ガレージの建築を決意したそうだ。

そこで別棟ガレージを建てるのであれば、と以前からと決めていた、福島県で「GarageLife official Dealer」を務める「TDF」にアポイントを取り、打ち合わせがスタートしたとのこと。

実は、Sさんは以前から家族で福島県の吾妻連峰の山麓に位置する、こだわりの観光スポット「アンナガーデン」を訪れることが多く、「TDF」のオフィスがアンナガーデン前にあったことから「TDF」の存在を認識しており、これまで建築してきた作品を知っていたそう。そして、いつかはこの世界観を自分と共有できたら人生が豊かになるのでは、と想像していたのだという。

TDF・谷津代表の好きなクルマや、雑貨、家具などが、とてもSさんに合う、とご自身ですぐにイメージが思い描けたそうだ。それが大きな理由となり、ガレージを依頼したときに素敵なモノが完成すると確信できたようだ。

【写真18枚】趣味のエアガンの射座も、ガレージとともに手に入れた。 

母屋の隣、高台になった約400坪の敷地にクルマが2台、母屋とのイメージがかけ離れない別棟のガレージ設計を、と依頼。2階にはカフェスペースを設けるなど、居心地のいいガレージを希望していたところ、1枚の素敵な写真を見せてもらった。アメリカに建築された建物でありながら、ヨーロッパテイストの離れのガレージであった。

そのイメージ写真をコンセプトに、S邸のガレージはスタートした。母屋と隣接した土地ではあるが、将来は家庭菜園をすることや、友人たちと時間を共有することを考えてガレージにはミニキッチンやトイレなど住宅の要素を取り入れた、機能美にも優れた設計プランだった。

ガレージは第2の家。居心地のいい空間。
また、Sさんが学生時代から現在まで趣味として続けるエアガンの射座を設けることも、今回のガレージ建築のポイントとなるコンセプトだった。通常は風を避けるために屋内に設計することが多いが、安全性などを考えてガレージの外に設計。

標的射撃用のエアガンは、空気または不燃性のガスの圧力により発射するので、横風を避けるため屋根を延長し、風を巻き込みにくい高さを計算。奥にスチールの扉を設けることで風を巻き込まないように、10mの地点から射撃ができるスペースを確保したという。

要望のあったキッチンは、倉庫のようにならないように高級感を持たせ、壁面にはブルーグレーのキッチン大理石を張るなど工夫。IHのキッチンと、水とお湯が使えるミニキッチンを用意した。

ガレージの床面は、アンティーク加工が施された200mm角のタイルを敷き詰め、躯体となっている木製の柱には、ブラウンとホワイトの塗装を施すことで風合いを演出。照明もアンティークスタイルにするなどバランスを考えての設置となった。まさにSさんが思い描いていた、”TDFが設計、施工したデザイン”となった。

2023年8月に引き渡しとなったガレージは、工期に時間を費やしてしまったが、S夫妻の希望どおりのガレージとなった。「今回のガレージ建設は価値観が同じTDFの谷津さんと、一緒に夢をカタチにできたことが、かけがえのない時間となりました。

谷津さんが大切にしていたアンティークな建具が採用されたのも、嬉しいサプライズです」とSさんは語る。ヨーロッパをコンセプトにして2人の中で同じビジョンを共有して完成したガレージからは、クルマ好きのノウハウが詰まった満足の得られるガレージとなった。

◆PLANNING DATA
 所在地:福島県福島市
 施 主: S邸
 家 族:5人と義母
 構 造:木造2階建て
 敷地面積:約400坪
 外装/内装:ともに漆喰仕上げ
 愛 車:2006年式 マセラティ・グランスポーツ
     2002年式 アルファロメオ・156TS ほか

◆OWNER’S CHECK
・一番気にいっているところは?
 2階から見下ろしたガレージの風景がお気に入りです。念願の射座で射撃ができたり、ポーチで焚火を楽しめたりなど、趣味の時間をマルチパーパスに楽しめるところが気に入っています。
・ちょっと失敗したところは?
 2階の収納をもう少し確保しておけば良かったかな、と思いました。
・次の夢はなんですか?
 これまで仕事中心の生活でしたが、ガレージが完成したことをきっかけに、友人や家族と共有する時間を増やしたいですね。また、ガレージ横のスペースを利用して、家庭菜園やガーデニングを楽しみたいと思っています。

◆COMMENT FROM A BUILDER:株式会社TDF 谷津敏弘さん
今回の施主・S様は、TDFが施工した実例をすでにご存知で方向性が同じだったので、こちらからご提案したものを気に入っていただけ、よかったと感じています。アンティークなステンドグラスや扉など、このガレージのためにアイデアをストックしていたかのような、シンパシーさえ感じることもありました。これからも、このスタイルを含めてエイジングスタイルのガレージなどを提案していきたいですね。

福島県福島市荒井横塚11-100 Phone/024-594-0057
https://www.fukunoki.com/ 
『GarageLife Vol.98』掲載

Photo/Hiroyuki-KONDO(近藤浩之) Text/Jun-ISHIHARA(石原 淳)

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