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【海外試乗】あらゆる路面を走破するラグジャリーSUV、レクサスが贈るプレミアムオフローダーの真打「レクサスGX」

この度日本への導入が決まったレクサスGXをついにアメリカ・アリゾナにて試乗する機会に恵まれた。レクサスが送り込む本格オフローダーの実力はいかほどのものなのか? その模様をお届けする。

オンとオフで優れた走破性を両立

フルモデルチェンジを機に日本でも販売されることになったレクサス新型GXを、いよいよ一般道で試乗する機会に恵まれた。舞台は北米アリゾナ。現地には北米仕様の3グレードが用意されていた。

今回試乗したGX550は3.5LのV6ツインターボを搭載。最高出力は354ps、最大トルクは650Nmを発揮する。これ以外にも2.4Lの直4ハイブリッドも用意される予定だが、現段階での日本導入は未定だ。

主にステアリングを握ったのはGX550〝OVERTRAIL+〟である。直線基調の個性際立つボディに18インチサイズのオールテレインタイヤを組み合わせ、前後スタビライザーを電子制御するE-KDSSや、路面に応じてブレーキを最適制御するマルチテレインセレクト、クロールコントロール等々を組み合わせて高い走破性を実現した、新型GXのイメージリーダーである。

GXのイメージリーダーともいえる「OVERTRAIL」は悪路走破性を高めたグレード。ベースモデルよりもトレッドが20㎜ワイド化されるほか、専用のアーチモールも装備され、よりタフな印象を与える。写真のボディカラーはOVERTRAIL専用色である「ムーンデザート」だ。

まず感心させられたのが一般道での快適性だ。通常はスタビライザーを緩めてサスペンショントラベルを確保しつつ、必要とあれば即座にロール抑制に働くE-KDSSの効果は大きく、豊かなストローク感とフラットな姿勢を両立。進化したフレーム構造の車体に高められたボディ剛性、電子制御ダンパーのAVSも相まって、実に滑らかな乗り味を実現している。

プラットフォームには新型の「GA-F」を採用。ラダーフレーム構造をベースにしつつ、サイドレールとクロスメンバーの一部に材質や板厚の異なる鋼材を接合。高剛性を実現している。

フレーム付きにありがちなブルブル感もほぼ気にならない。それでいて大入力はしっかり遮断して、そのメリットを発揮している。
驚いたのはコーナリングの際の反応の正確さだ。アッパーボディ側の剛性もしっかり高め、フレームへのマウントも強化するなどした結果、モノコックに匹敵する一体感が得られているおかげだろう。

レクサス初となるE-KDSS(Electronic-KineticDynamic Suspension System)を採用。電子制御で前後のスタビライザー独立制御し、オフロードでの路面追従性を向上させた。更にアブソーバーの減衰力を4輪独立制御するAVSも装備され、オンロードでの乗り心地も申し分ない。

角度の立てられたフロントウインドーなどから不安もあった静粛性も問題は皆無。風切り音はよく抑えられている。ロードノイズも極小で、高い速度域まで穏やかなドライブを楽しめた。
今回試したGX550のエンジンはV型6気筒3.5Lツインターボ。ユニット自体はLX600にも積まれているものだが、違いはレスポンス重視の小径ターボチャージャーで、おかげで最高出力は354psに留められている。650Nmの最大トルクは変わらない。

タイヤはトーヨーのオープンカントリーを標準で採用する。

力感豊かなのは想像通りとして、唸らされたのは低速から高速まで速度コントロールがまさに意のままなことだ。それは新開発ユニットを使ったブレーキも同様で、要するに極限のオフロードを重視した躾けが、日常域の無類の扱いやすさにも繋がっているのである。
続いてはオフロード走行。特設コースは、日頃こうした試乗会に用意されるものとは桁違いの険しさだったが、新型GXは、サスペンションストロークの長さ、リアリジッドサスペンションやE-KDSSがもたらす高い接地性にクロールコントロールなどの電子デバイスの相乗効果で、片輪が浮き上がるような状況でも確実にクルマを前に進ませ、転がり落ちそうなほど傾いても安定感を崩さず、絶大な信頼感の下に走り抜けることができた。一度これを体験したら、惚れ込むこと必至である。

メーターはフル液晶で、センターコンソールには14インチの大型タッチディスプレイが備わる。

あとの2グレードにも軽く触れておこう。〝LUXURY+〟は3列シートを備える最上級グレードで、シャシーは22インチオールシーズンタイヤ+AVSという仕様。走りはシャキッとしていて、一体感もより高まる印象だった。そして何よりスタイリッシュだ。
AVSは備わらず、タイヤは18インチオールシーズンとなる〝PREMIUM+〟は言わば、素のGX。重厚感より軽快感が強調された乗り味は想像以上の小気味よさで、基本性能の高さを実感させてくれた。実は一番気に入ったかもしれない。

ドライブモードのセレクトスイッチ周辺には、オフロード専用の「マルチテレインセレクト」や一定速度での走行を可能にする「クロールコントロール」スイッチが備わる。

オンロードでの洗練された走りと、そこからは想像できないほどの逞しい走破性を両立させて、どんな舞台でもこれぞレクサスと実感させる新型GX。日本仕様の詳細は未定だが、発表までにはそう時間はかからないはずだ。

二駆・四駆の切りかえと副変速機のHIGH・LOW選択もコンソールから行なえる。

【SPECIFICATION】レクサスGX Overtrail+
■車両本体価格(税込)=—
■全長×全幅×全高=5005×2000×1935mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド=前1687、後1688mm
■車両重量=2480-2570kg
■エンジン形式/種類=─/V6DOHC24V+ツインターボ
■内径×行程=85.6×100.1mm
■圧縮比=15.1
■総排気量=3445cc
■最高出力=354ps(260kW)/4800-5200rpm
■最大トルク=649Nm(66.2kg-m)/2000-3600rpm
■燃料タンク容量=80L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=—km/L
■トランスミッション形式=10速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:4リンク/コイル
■ブレーキ(前/後)=—
■タイヤ(ホイール)=前後:265/70R18
問い合わせ先=レクサスインフォメーションデスク TEL0800-500-5577

フォト=レクサスインターナショナル ル・ボラン2024年4月号から転載
島下泰久

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