国内試乗

ジャガー・ランドローバー雪上試乗会報告② 初のSUVはどんなテイスト? ジャガー「Fペース」でスノーアタック!

レンジローバーとはまったく違う

 

続いて試したのはジャガー「F-PACE(Fペース)」。サイズ的にはレンジローバーの「スポーツ」と「イヴォーク」のちょうど中間くらいで、パッと見どちらかのプラットフォームを縮めるか伸ばすかして作ったように思えるのだが、実はどちらも正しくない。Fペースはジャガーの「XF」や「Fタイプ」の兄弟車であり、つまりはFRベースのオンデマンド4WDシステムを持つ、生粋のジャガーブランド車ということになる。

 

JAGUAR F-PACE 4WD SNOW (9)

 

システムの概要はこうだ。基本前後トルク配分は10:90で、トルクのほとんどを後輪に伝達。また加速時は100%リアを駆動してトラクションを稼ぐなど、レンジローバーの4WDよりもオンロードでのパフォーマンスを重視した設定となる。これはフロントタイヤのグリップを「走る、止まる」前後方向ではなく、なるべく「曲がる」左右方向に振り分けたいがため。要はハンドリング重視の4WDなのだ。なお、スリップを予測した場合には瞬時にマルチプレートクラッチを締結、フロントに最大50%のトルクを配分して安定性を高めてくれる。

 

Fペースには先ほどのオフロードコースを囲むように設けられた高速コースで試乗した。試したのはスポーツグレードの「35t Rスポーツ」。こちらのエンジンは340psの3.0リッターV6スーパーチャージャー、税込希望小売価格は849万円である。

 

オフロードコースで右足を思い切り踏み込めなかったストレス(?)もあり、スタートの合図とともにアクセルを大胆に蹴とばしてみる。「さーて滑るのか? 4WDになるのか?」と意地悪な顔をして観察していたのだが、そんな予想は見事に裏切られ、FペースはほぼFR状態のまま猛ダッシュしてゆくではないか。

 

まぁこれは走行モード調整システムの「ジャガー・ドライブコントロール」を「雨、氷、雪」にセットしていたということもあるのだろうが、実は最もスポーティな「ダイナミック」で試してもとっ散らかるような素振りはまるでナシ。ジャガーの”調教”はよく行き届いているようだ。

 

しつけが行き届いていることは特設コースの圧雪路でも十分に感じ取ることができた。Fペースといえばポルシェ・マカンと並ぶスポーツ系SUVの最右翼で、切れ味鋭いハンドリングやアクセルのオン/オフでラインを自在にコントロールできるスポーティさが特徴。それがスリッピーな雪道でも味わえるのだから痛快そのもの。車重は1980kgと決して軽くはないのだが、雪道でもここまで意のままに操れるのは、前後重量配分がほぼ50:50に躾けられているバランスのよさもあるはずだ。

 

だから走行モードをダイナミックにセット、コーナリングでいつもより多めにフロント荷重をかけ、アクセルオンしてやればドリフト走行も楽しめる。もし失敗してフロントからズルズル外側に膨らみそうになった場合には、瞬時に4WDシステムが前輪にトルクを配分。もとのラインに戻るよう全力でサポートしてくれるのだ。

 

というわけでジャガーFペース、ランドローバー/レンジローバーとはまったくキャラクターの異なるSUVに仕立てられていることが確認できた。ジャガーはもともと熱帯に住む動物なのだが、どうやらこちらは雪原を駆け回るのも得意なようである。

 

LE VOLANT BOOST編集部

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