プライベート・オフィス上海が監修した1点ものの「ファントム ドラゴン」は、中国の龍のモチーフをモダンで繊細にアレンジした”芸術品”
ロールス・ロイス・ブランドの特徴的な強みのひとつは、特定の文化に由来する図像を、独自の革新的な技術とデザイン言語によって解釈し、繊細かつ敬意を持って融合させた製品を生み出すことだ。
すべてのビスポーク車と同様、この壮麗なファントム・エクステンデッドも、当社のビスポーク・デザイナー、エンジニア、職人の技術と創造性の証だ。このオーダーメイドのギャラリーは、ドラゴンがまるで煙のように浮遊しているように見えるのが特徴となっている。
「『ファントム ドラゴン』は上海のプライベートオフィスを通じて、中国におけるロールス・ロイスのプレゼンスの重要性を強調しています。この地域にロールス・ロイスの専門チームを置くことで、ロールス・ロイスは世界で最も重要なラグジュアリー市場のひとつである中国を独自に理解し、つながりを持つことができます。
中国現地の文化と国際的な美学を融合させることで、この特別なクルマのように、深みと実質を備えた真にユニークでコンテンポラリーな製品を生み出すことができるのです」とは、ロールス・ロイス・モーター・カーズ、ビスポークデザイン責任者、マルティナ・シュタルケ氏だ。
「ロールス・ロイス・モーター・カーズは、辰年を記念して製作された世界に1台だけの『ファントム・エクステンデッド』を発表します。中国の目の肥えた顧客から依頼を受けたファントム ドラゴンは、真珠を持つ2匹のドラゴンの古代中国の伝説を現代的に表現しています。
このモチーフは、複雑な象徴性と大きな文化的意味を持ち、東アジア全域の芸術、建築、文学で賞賛されています。このテーマは、依頼主の成功と個人的な哲学を体現しています。ファントムの最高峰を飾るこの壮麗なモデルは、旧暦の辰年の締めくくりとして、また2025年に迎えるファントムの100周年の幕開けにふさわしいものです」
【写真13枚】真珠に絡む2匹のドラゴンを抽象的に表現したヘッドライナー
このビスポーク依頼の核となるのは、ロールス・ロイスが中国の伝統的な図像を繊細かつ深く解釈し、ブランド独自の独創的な筆跡と巧みに融合させたことだ。このような中国文化と国際的な美学の融合は、特にロールス・ロイス・ブランドにますます惹かれている若い消費者の間で、中国の高級品セクターの大きな原動力となっている。
中国を拠点とするロールス・ロイスのクリエーターたちによってキュレーションされたファントム ドラゴンは、この不朽の文化的シンボルへのオマージュであると同時に、依頼主の個人的な感性や嗜好を表現している。この依頼はまた、上海にあるロールス・ロイスのプライベート・オフィスの幅広い価値を示すものでもあり、グッドウッドと中国を結びつけるだけでなく、中国の文化や嗜好をグッドウッドにもたらすものでもある。
「このプロジェクトで私たちが目指したのは、中国の最も敬愛されるシンボルとクライアントの個人的な図像を、インパクトがありながらも敬意を持って表現し、同時にロールス・ロイスのデザインの筆跡をさりげなく取り入れることでした。
このクルマでは、私たちの職人たちがさまざまな媒体を使ってこれを達成し、この地域、クライアント、そしてロールス・ロイス・ブランドの豊かな遺産を表現しています」とは、ロールス・ロイス・モーター・カーズのリード・ビスポーク・デザイナーのシュアイ・フェン氏だ。
龍の舞
ファントム ドラゴンでは、中国の図像が創造的かつ敬意を持って、自動車のインテリアの主要な要素に組み込まれている。このデザインテーマは、3,000年以上前に遡る古代の伝説にインスパイアされたもので、人間界の守護者である2匹のドラゴンが、その善行に対して神々から神の真珠を授かったというもの。
2匹のドラゴンはその宝を貪欲に自分のものにしようとするのではなく、互いに譲り合った。ドラゴンの忠誠心に心を動かされた神々は、ドラゴンに2つめの宝珠を授けたのだ。ドラゴンが力と幸運の象徴であるのに対し、真珠は純潔と完全性の象徴である。この2つの要素が一緒に捉えられるとき、龍の相互作用は陰と陽の調和のとれたバランスを意味する。
伝統的なモチーフ
フェイシアの幅いっぱいに設けられたギャラリーには、297個のパーツと4種類の木材からなるビスポークの寄木細工が飾られている。ホーム・オブ・ロールス・ロイスの職人が3か月かけてこの印象的な装飾を作り上げた。ベニヤの形を複雑に切り抜き、手作業で組み立てて固定する。
このアートワークは、渦巻く雲に包まれた2匹のドラゴンが、ビスポーク・クロックの真珠を守っている様子を表現している。ベースレイヤーはスモーク・ユーカリから作られ、わずか0.5mm幅のシェイプのアウトラインはシカモア単板で表現され、雲のテクスチャーを模した自然な木目を持つ厳選されたアッシュのバリで埋められている。黒いボリバール単板の「影」が作品に奥行きを与え、ドラゴンが表面上に浮かんでいるように見える。
高光沢のスモーク・ユーカリの部材や、天然の開孔スモーク・ユーカリから作られたカナデルのドアパネルなど、卓越した木工技術が依頼作品全体に表現されている。フロントとリアのリクライニング・セレニティ・シートにはそれぞれアーデント・レッドとブラックのレザーが使用され、ヘッドレストには対照的なコットン糸で丁寧に刺繍された中国古来の書道によるお客様のファミリーネームが添えられている。
このテーマは、赤と白で抽象的に表現された2匹のドラゴンが描かれた特注のスターライト・ヘッドライナーにも受け継がれている。この荘厳な天空の構図は、768個の赤と576個の白の光ファイバーライトで構成され、ひとつひとつ手作業で取り付けられ、24個の流れ星に囲まれている。インテリア・スイートのドラマと大胆なコントラストを描く1点もののファントムドラゴンは、特徴的なサテンのきらめきを生み出すアイスド・ダイヤモンド・ブラックで仕上げられている。