国内試乗

【スノードライブ】日産セレナe-4ORCEを雪上で試乗、緻密な4輪制御はミニバンでも健在

国内ミニバン市場で高い人気を誇る日産セレナに、「e-4ORCE」を搭載したグレードがついに登場。さっそく路面状況がシビアな冬の北海道で、その性能のほどを確かめた!

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緻密なモーター制御で全域で気持ちのいい4WDに

2024年にはミニバンナンバーワンの販売台数を獲得した絶好調のセレナだが、ハイブリッドのe-POWERに新たにe-4ORCE搭載車が追加された。e-POWERの4WDも前後モーターを搭載しているが、e-4ORCEは発展型で前後モーターだけではなく、左右のブレーキも統合制御して各輪の駆動力を最適化するのが特徴だ。

発電用の1.4L直3エンジンは最高出力98ps、最大トルク123Nmを発生。そこに駆動用の前後モーターが組み合わされ、それぞれ前163ps/315Nm、後82ps/195Nmを発揮する。

今回は北海道の雪の林道で試乗したのだが、印象的だったのは滑りやすい路面のコーナーでもアクセルを踏み込むことで曲げていけることだった。一般的なFFや4WDではアンダーステアになってしまうような場面でも4輪が緻密に制御されるので、ステアリングとアクセルの操作に忠実にクルマが応えてくれる。また、アクセルオフで減速しながら入っていく下りのコーナーなどでも曲がりやすくて心強い。回生ブレーキもグリップに合わせて緻密にコントロールされるので、タイヤの止める力と曲げる力を適切に引き出してくれる。回生が強いe-Pedalも滑りやすい路面で、よりありがたみが感じられた。

元々セレナにはe-POWERの4WDが用意されていたが、今回さらにモーター制御を向上させたe-4ORCEが追加。悪路だけでなくオンロードでも乗り心地や操縦性の向上が顕著だった。

またe-POWERはモーターのトルク制御によって前後のピッチングを抑えることを以前からやっているが、e-4ORCEではそれも高度化される。減速時の乗員頭部の前後の動き、カーブでの乗員頭部の左右の動きともに、e-POWERのFFに比べて10%向上したという。今回は除雪された舗装路も走ったが、減速時にはリアモーターが減速度を生むことによってノーズダイブが少なく感じられ、安定感も高く、コーナリングもスムーズで気持ちいい。

非降雪地帯のミニバンユーザーの多くはFFで十分と思っていることだろうが、乗り心地が良くなり、ハンドリングも気持ち良いe-4ORCEには大きな価値がある。FFとの価格差は約35万円だが、十分な満足感があるはずだ。

【Specification】日産セレナe-4ORCE XV
■車両本体価格(税込)=3,958,000円
■全長×全幅×全高=4690×1695×1885mm
■ホイールベース=2870mm
■トレッド=前:1475mm、後:1475mm
■車両重量=1920kg
■エンジン型式/種類=HR14DDe/直列3気筒DOHC12V
■内径×行程=78.0×100.0mm
■総排気量=1433cc
■最高出力=98ps(72kW)/5600rpm
■最大トルク=123Nm(12.5kg-m)/5600rpm
■モーター形式/種類=前:EM57、後:MM48/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:163ps(120kW)、後:82ps(60kW)
■モーター最大トルク=前:315Nm(32.1kg-m)、後:195Nm(19.9kg-m)
■燃料タンク容量=52L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=16.2km/L
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:205/65R16

石井 昌道

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。自動運転や電動化への造詣も深い。

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