LE VOLANT モデルカー俱楽部

まずはガラス部品をボディに接着! フジミ製「ヨタハチ」プラモをイマドキ流の作り方で仕上げてみよう! 第1回【LE VOLANT モデルカー俱楽部】

名作キットを現代流に、ディテールも作り方もアップデート

これまでも数多くの車種についてプラモデル制作の詳細をお伝えしてきた「LE VOLANT モデルカー俱楽部」だが、今回からトヨタ・スポーツ800の制作をお見せしていくこととする。今なお最高の再現度を誇りつつ、設計の古さも否定できない旧ニットー(日東科学)金型のフジミ製ヨタハチを、現在ならではの作り方で組み上げてみようという趣向だが、まずは、制作を行うプロモデラー・北澤志朗氏に、その狙いなどを語っていただこう。(編集部)

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愛嬌あるスタイリングとバタバタ音が魅力

先ごろ開催されたジャパンモビリティショーで、トヨタは新たなフラッグシップ・スポーツカーとしてトヨタGR GTを発表し、大きな話題を呼んだ。MR2やセリカの復活もウワサされる昨今、トヨタは日本のスポーツカー好きの心を最も激しく揺さぶるメーカーとなっている。その原点といえば、やはり1965年に登場したトヨタ・スポーツ800であろう。トヨタ2000GTの弟分として語られることの多いスポーツ800だが、実はそのデビューは2000GTに2年先駆けていた。

トヨタ・スポーツ800はトヨタの系列会社である関東自動車工業が、大衆乗用車パブリカのコンポーネンツを使用して開発した小型スポーツカーだ。わずか790ccの空冷2気筒エンジンが発する限られたパワーを最大限に生かすため、車重わずか600kgと超軽量で、空気抵抗を低減したスタイリングは他に類を見ない個性的なものとなっている。プロトタイプではルーフごと前後にスライドするキャノピーを装備していたことからも、航空機技術の応用がみてとれる。

私が小学生だった頃、トヨタ・スポーツ800はまだ路上で頻繁に見かけるクルマのひとつだった。丸く愛嬌あるスタイリングや、バタバタと独特のエンジン音を立てて走り回るその姿は、「カッコいい」というよりは「面白い」と感じるものだったが、成長して自動車雑誌の試乗記や浮谷東次郎のレース活動の記録などを読むようになると、非力なエンジンを軽量なエアロボディでカバーするというそのコンセプトに心打たれ、ヨタハチが大好きになった。

1980年代初頭に登場したフル・ディスプレイの名作キット

今回から新たに製作するのはこのキット、フジミ製1/24スケール・プラモデル「トヨタS800」、いわゆる「ヨタハチ」である。もともとはニットーが1980年代初頭にリリースしたキットで、童友社を経てフジミに金型が移管されており、現在(2025年12月)も入手可能。レースカーやカスタム仕様など、数種類のパッケージがあるが、これはインチアップシリーズで、ノーマルなロードカーのパッケージだ。

さて、今回制作するキットは、1980年代初頭にニットー(日東科学)がリリースした1/24スケールのプラモデルだ。まだモーターライズの走行玩具が主流だった自動車プラモデルの世界に、エンジンまで再現したフル・ディスプレイ・モデルという画期的なコンセプトで衝撃をもたらした「1/24名車シリーズ」のひとつである。

同シリーズには他にホンダS800Mとダットサン・フェアレディ2000があり、1985年の日東科学の廃業後は、いずれも童友社に金型が移管され、さらにその後フジミへと金型が移った。そこで細部の改修や部品の追加などを経て、現行品として入手可能だ。

傑作として名高いキットではあるが、40数年前の金型ということで、今の目には旧さを感じる部分も少なくない。今回の制作では、そのあたりをきっちりアップデートしつつ、トヨタ・スポーツの原点たる名車の魅力を机上に再現していきたいと思う。どうか完成までお付き合いいただきたい。

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北澤志朗

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カーモデルを中心に模型専門誌で活躍するプロモデラー。実車に対する深い造詣に裏打ちされた作品・解説で幅広く支持を得ている、この道30年以上のベテラン。過去には模型店を経営していたことも。

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