コラム

ロールス・ロイス「ファントム」100周年。8世代にわたり磨き抜かれた「頂点の哲学」とは

1925年から2025年へ、比類なきラグジュアリーの1世紀

2025年、高級車の代名詞とも言えるであろうロールス・ロイス「ファントム」が誕生から100周年を迎え、世界各地でその歴史を称える祝典が展開された。また、この100周年を記念したコレクションの登場やビスポーク・モデルなど、話題には事欠かない1年となった。ここでは、そうした動きについてあらためて振り返ってみよう。

【画像46枚】100周年の重みをずっしりと実感!記念モデルやイベントの様子

最大のハイライトは25台限定生産モデル

1925年にサー・ヘンリー・ロイスが設計した「ニュー・ファントム」の登場以来、ファントムは8世代にわたり、卓越したエンジニアリングと比類なきラグジュアリーを体現する同ブランドの頂点として君臨し続けてきたと言ってよい。

100周年を記念する最大のハイライトとなったのが、わずか25台のみ限定生産された「ファントム・センテナリー・プライベート・コレクション」の発表である。このコレクションは、スーパー・シャンパン・クリスタルでオーバーコートしたアークティック・ホワイト/ブラックの外装に、ソリッドゴールドの「スピリット・オブ・エクスタシー」を冠し、初期ハリウッド時代のエレガンスを現代に蘇らせんとしたものである。

内装には、100年にわたるメディアの賞賛の言葉を刻んだ「アンソロジー・ギャラリー」や、44万針のステッチで歴史的瞬間を綴った「スターライト・ヘッドライナー」が備わり、さらに3Dマルケトリや24金箔を用いた史上最も複雑なウッドワークが施されるなど、ロールス・ロイスの技術の粋が集められた。

プールに沈むファントムを再現!?

ファントムの歴史は、それを選んだ著名人オーナーたちの逸話とも密接に結びついている。音楽界ではマレーネ・ディートリッヒからエルヴィス・プレスリー、さらには50セントに至るまでのスターたちがそこに名を連ねるが、なかでもザ・フーのドラマーであったキース・ムーンが誕生日にファントムをプールへ沈めたという伝説は、ロックの奔放さを象徴する物語として語り継がれている。

2025年にはこの伝説を再現すべく、リサイクル予定の試作車を英国プリマスの「ティンサイド・リド」に沈めるという大胆なパフォーマンスも行われた。この地は1967年にビートルズが訪れた場所でもある。同年にはジョン・レノンがサイケデリックな黄色のファントムVを披露したことを思えば、ファントムと音楽史の繋がりはさらに強固なものに感じられるだろう。

芸術界においても、サルバドール・ダリが500kgのカリフラワーを積んだファントムでソルボンヌ大学に現れた歴史的な瞬間から、2025年12月26日でちょうど70周年である。また、アンディ・ウォーホルが1937年製のモデルに一目惚れして購入したという1972年のエピソードも忘れ難い。多くのクリエイティブな先駆者たちがファントムに魅了されてきたのである。

アニバーサリーイヤーに生まれたビスポーク・モデルたち

2025年に納車されたビスポーク・コミッションの数々も、この記念すべき年の重要性を象徴している。それらの車両には、オーナー自身100周年に合わせて注文したというものもあったようだ。以下、それらについてすこし述べていこう。

中国の辰年に合わせた「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」は、2頭の龍が舞うマルケトリ・ギャラリーと、1344個の光ファイバーで龍を形作ったヘッドライナーが圧巻であった。また、日本の伝統「お花見」に想を得た「ファントム・チェリーブロッサム」は、25万針を超えるステッチで桜の美しさを表現し、ブランド初の彫刻的な3D刺繍をリアキャビンに採用した。

さらに、クチュール・レースの質感を23万針の刺繍で再現した「ファントム・ダンテル」や、中国・敦煌の古代壁画にオマージュを捧げ伝統技術である彫り進み版画技法をレザーに施した「ファントム・チャイニーズ・ミュラル・アート」など、世界各地のプライベート・オフィスと連携した野心的なモデルが次々と誕生したのである。

世界各地で行われた様々な祭典

ファントム100周年を記念した祝典の舞台はグローバルに広がり、5大陸で開催された。欧州ではイタリアのヴィラ・デステや英国のグッドウッド、スペインのビルバオなどでイベントが実施されている。スカンジナビアからバルト諸国を巡る2000キロを戦前型の車両26台が走破する記念走行も行われた。北米のペブルビーチでは8世代のファントムが一堂に会し、アジアでは東京・麻布台ヒルズでエルメスとの共同制作「ファントム織部」が披露されたほか、シンガポールや上海、中東の主要都市でも特別な展示が行われた。

この記念すべき年について、ロールス・ロイス最高経営責任者のクリス・ブラウンリッジ氏は次のように述べている。

「ロールス・ロイスにとって、2025年は私たちの最高峰の製品であるファントムの100周年を中心とした年でした。これは、このネームプレートの伝説を築いた物語を称える、一世代に一度の機会でした。それぞれの時代におけるエフォートレス・モータリングの極致である素晴らしい自動車そのものから、自身の1台としてファントムを選んだ音楽、芸術、ビジネス、国家運営の分野における巨星たちまでを称えるものです」

「私たちは、この並外れた機会を、今日のブランドの精神と地位を反映した画期的なコミッションと格別な世界的祝典で祝いました。これにより、ファントムの次の100年に向けて、完璧にトーンを整えることができました。」

将来に向けた動きも加速しており、グッドウッドの本社ではビスポーク能力を強化するための3億ポンド規模の拡張工事が進められている。この施設拡張は、新たな素材や芸術的技法のための空間を創出し、ファントムが次の100年も革新のキャンバスであり続けるための基盤となることを目指したものである。

現在2500人以上のスタッフを擁する同ブランドは、2003年のグッドウッド拠点開設以来、英国経済に40億ポンド以上の貢献を果たしたとされる。独立した真のラグジュアリー・ハウスとしての地位は不動のものであると言ってよいだろう。

【画像46枚】100周年の重みをずっしりと実感!記念モデルやイベントの様子

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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